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美容業界に関する情報・調査を集めた「Beauty総研」サイトに過去掲載されていたインタビュー記事をご紹介いたします。

2013.05.21

新たな文化やトレンドを生み、変化し続ける街、シブヤ。
2000年、情報サイト「シブヤ経済新聞」を開設。以降、シブヤの変化をウォッチし続けてきた西氏をお迎えし、シブヤの旬のキーワードを、お話しいただきました。

PROFILE

西 樹(にし たてき)

1960年兵庫県生まれ。青山学院大学経済学部在学中、インターカレッジのイベント・ネットワークの発起人のひとりになる。大学卒業後に大手PR代理店・株式会社オズマピーアールに入社。3年で退職し、1988年、株式会社花形商品研究所を設立。各種企業や新商品・サービスのコミュニケーション戦略の立案・代行を多数手掛ける。2000年4月、学生時代より継続的に関心があったという広域渋谷圏を舞台に、ビジネス&カルチャーニュースを配信する情報サイト「シブヤ経済新聞」を開設、同年7月にはデパ地下をテーマにした情報サイト「デパチカドットコム」を開設。「シブヤ経済新聞」は全国各地に広がりをみせ、「みんなの経済新聞ネットワーク」として、海外6エリアを含む全80エリアに拡大中。

|第4章|これからのシブヤを語る6つのキーワード

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1:ライブ
 アミューズの社長をインタビューする機会があったんですが、今や音楽はダウンロードコンテンツでCDショップはしんどいけれど、その一方で、野外ライブや夏フェスはすごく人が入って盛り上がっている、と。ふだんの曲がデジタルな分、実際に聴くことの価値が高まっているんですね。本屋も同様です。パルコの中にあった本屋が、「パルコブックセンター」という個性的な本を集めるスタイルだった昔の名前で復活しました。シブヤのライフスタイルを凝縮した個性的なセレクトショップを目指しています。ここに行かないと出会えない本があるというコンセプトに、また戻したわけです。

 LOFTも9月にリニューアルして「ほしいもの+α」がキーワード。従来の機能とか用途別ではなくて、テイストやテーマを切り口にしている。LOFTも今やあちこちにできて、渋谷LOFTが埋没してしまったんですね。だから他と違うマーチャンダイジングをして、品揃えを変えた。タワレコ(タワーレコード)も2012年11月に、「世界最大の360°エンターテイメントストア」を打ち出してリニューアルしました。各フロアにライブストリーミングスタジオ、カフェ、イベントスペースなどを作って、そこに行かないと体験できないものを大きく増やしました。

 
 みなさんの商売はリアルなサービスなので比較的影響が少ないかもしれませんが、物販をやっているところは本当に大変で、「どうやって足を運ばせるか」をみんな工夫しています。これらのキーワードを紐解くと、「ライブ感」「原点回帰」。1店目を作ったときのように、品揃えを独自にこだわって、店に足を運ばなくちゃいけないないようなものを作る。お客さん個別のセレクト感、個性化がますます強くなる中、そこを突破する難易度は高くなっていると言えるでしょう。

2:シェア

 モノを“所有”するスタイルから“共有”するスタイルへますます変わっていきます。SNSは要は情報のシェアだし、「車はみんなで持てばいいじゃないか」と、マンションやオフィスもカーシェア付きの物件が出てきています。あと、シェアハウスやシェアオフィス。渋谷はコワーキングスペースがたくさんある。複数の人が物を売るシェアショップもある。シェアという概念は、言葉としては新しいけれど、もともとシブヤ的なライフスタイルと合っているんです。10年ほど前にすでにボックスレンタルというのがあって、作家さんが1ボックス借りて、売れたら手数料を払う形式でした。

 コワーキングスペース的なものが渋谷圏に出てきたのは、2008年。北参道近くの勉強カフェ。2011年の6月にはWi-Fiを備えたジェリージェリーカフェができて、今や20カ所ぐらいあります。こういったものがこんなにある街は少ないですね。トランジットグループがやってる「ポータルポイント」はシブヤっぽい空間だし、「ターミナル」はオシャレな空間でクリエイティブな人が集まってる。朝座禅みたいなことをやってるスペースも出て来たし、差別化して、いろんな工夫で人を捕まえようとしている。空間だけでなく、ゆるいつながりが生み出す新たな価値観があるのが面白いんですよね。「一緒にやろうよ」で別の仕事が生まれたり、偶然性だったり、違う価値観を持った人との時間だったり。

 私が八芳園に入社した当時は、とくに「自分と未来は変えられる」を自分に言い聞かせていました。スタッフにこうしたことを伝えても、当初はほとんど無関心。誰も動かないので、自分で館内を走り回ってやりました。
例えば、お客様が下見に来られても、会場にはイスが積み上げられたままになっていました。それを、テーブルもイスもきれいに並べて、クロスをかけてと、なるべく結婚式当日に近いイメージを見ていただけるようにしていったんですね。
こうした時に支えられたのが、「自分と未来は変えられる」です。自分から改革しようと乗り込んだのに、スタッフが何もしないと、つい人のせいにしてしまう自分がいました。そんな時に、「自分がここへ来たのは、志を持って自分の未来を変えるためだ。過去と他人は変えられないんだ」と考えたんですね。そうしていくと、少しずつ、一緒に動いてくれるスタッフが出てきました。

3:小商い

 今注目しているのがコーヒー専門店が増えていること。若い人が個人で豆をローストして、スタバみたいな業態を10坪ぐらいのスペースでやってるんです。『BRUTUS』のコーヒー特集では、千駄ヶ谷から池尻大橋までを新しい「東京コーヒーベルト」と名付けています。小さい空間だけど、外で飲んでもいいから坪効率がいい。狭いから自分のカラーを思い切り出せる。

 シブヤの特徴って「小商い」。小さな商いがニューウェーブとして登場してくる。その手前にコワーキングがあるんですよね。いろんな人の知恵がくっついた結果、小商いが生まれる。そういうことを許容する面白さ。丸の内じゃ物件が手に入らない。変な地形とか、変な三角地帯とか、変な建物とか。物件があることがいろんな商売を駆り立てる土壌になってるんだと思います。

4:コミュニティ

 深夜のNHKニュースのキャスターとして、コミュニティデザイナーの山崎亮さんが出演されています。京都造形芸術大学の教授で、どうやったらコミュニティを作れるか研究と実践をされている。鹿児島で、三越の後のビルの再生をどうするかという事例では、山崎さんがからんで、各フロアに大小のコミュニティスペースを作りました。それが奏功して、いろいろな趣味の人、NPOなどが話をする場として盛り上がっています。

 コミュニティ活動が活性化すると、トークの場が増えます。お店がハブとなってトークイベントを企画するというのも面白いんじゃないでしょうか。今までだと会場を借りてたくさん人集めなくちゃという感じだったのが、お店で10人ぐらい集まって話し合う、とか。たとえば定休日に使ってもらうでもいい。みんなの経済新聞ネットワークでも、商店街の再生として、地方でそれぞれの店で、店主がトークイベントやってる例があります。こういうのを同時多発的にやったら面白いですよね。

5:デザイン

「Fab Cafe」というものづくりカフェがあります。レーザーカッターがあって、物を作れる。今、Fab(fabrication…製造する)が世界で話題になっている。 「CUBE」という3Dプリンタのショールームでは、3Dの全身スキャナーがあって、フィギュアが作れるんですよ。今、3Dプリンタは世界的なテーマです。ここから何を作り出すか。デザインというのはイメージを形に落とせないといけないけれど、それを素人でも落とし込める場所があるのが渋谷の面白いところ。レーザーカッターなんて一般の人には関係ないけど、「マカロンに彫刻する」なんて、やわらかいイベントもやっています。アイデアがあるところが形に近づける可能性が高まっている。そういう街に一歩近づいてきています。

6:国際化
 渋谷区と東急で、「国際都市 渋谷を目指そう」という取組みがあって。シブ経で2年前の夏休みに40日間、ハチ公前で観光案内所をやりました。「i」マークをモチーフにしたノボリだけ作ったところ、これを頼りに外国人が道を聞きに来たんです。カウンターにパソコン置いてネイティブクラスのバイリンガルとシブヤに詳しい人の2人で。英語だけで53カ国の人に対応できました。

 好印象って、面白かったかというより、「行ったときにハッピーだったか」という気分の問題なんですよね。日本人は英語ができないから、「ここは言葉が通じる」ことがかなりの安心感となって、リピーターになる。ちなみに、日本の中で、多くの外国人がリピートで行きたいのが飛騨高山なんですよ。それは、商店街のおばさんやおじさんも英語がしゃべれるから。商売のために英語をやってるし、レクチャーする会社もある。

 神宮前にある「ロゼッタストーン」という英会話ソフトの会社がある商店会に入ると、無料で教材が借りられます。こんな風にいろんな策を講じて、英語への対応力を高めて行く必要があるかな、と。

 これから渋谷にもどんどん観光案内所ができていく。それに応える形でみなさんのお店も紹介される。English Spokenの店かどうかの仕分けもあるはず。そのときにそう言える店作りも今後の課題だと思います。

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