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美容業界に関する情報・調査を集めた「Beauty総研」サイトに過去掲載されていたインタビュー記事をご紹介いたします。

2012.01.30

2011年10月にオープンしたルミネ有楽町店。数々の有名ブランドがひしめく中で、ひと際注目を集めているのがセレクトショップ「パリゴ」です。世界中から買い付けた400以上のブランドを取り扱い、売上げはこの10年で約4倍に。「パリゴ」を展開する株式会社アクセの副社長・高垣孝久氏は一体どのようにして、尾道の小さなセレクトショップを現在の大きな成功へと導いたのでしょうか。

PROFILE

髙垣 孝久(たかがき たかひさ)

広島県尾道市生まれ。1991年早稲田大学商学部卒業後、サントリー株式会社(現サントリーホールディングス株式会社)入社。チェーン系ホテル、JR、Jリーグなど広域飲食店の営業、大手コンビニエンスストアのチェーン本部を担当。1996年家業である有限会社高垣洋装店(現株式会社アクセ)入社。同社取締役副社長として経営企画・人事・店舗開発・財務・経理など幅広いマネージメントを行うほか、ファッションビル「アクセ広島」のテナントリーシングも手がけている。尾道商工会議所常議員・同商業委員会副委員長・商業部会長、尾道市長の諮問機関である尾道みらい会議座長などを務めている。

|第4章|経営者のように考え、行動する社員を育む

経営者のように考え、行動する社員を育む

 私たちの会社では、ティーチングとコーチングの性質の違いを理解したうえで社員教育を行うことを心がけています。ティーチングとはこちらから相手に一から教えること、それに対してコーチングは、相手から答えを引き出す問いかけをすることです。何も分かっていない人に、いきなりコーチングをやっても効果はありません。ティーチングが一通り終わったところで改めてコーチングを行うことで、社員は自ら考えて行動を起こせるようになっていきます。

 特に男性の経営者に多いのですが、問題解決を急ぐあまり、悩みを抱えている社員にいきなり結論をぶつけてしまう傾向が見受けられます。これは、社員が成長するための貴重な機会の芽を摘んでしまうことにもなりかねません。彼らに一度、悩みをじっくり考えさせることが必要なんですね。

 また、社員一人ひとりに経営参画意識を持ってもらうことも大切です。経営者のように会社のことを考え、前向きな努力を惜しまない社員が増えれば増えるほど、会社の経営は自然と安定します。ですから、私たち経営者は、そういう社員をいかに生み出すかを真剣に考えなくてはならない。

 私はアクセで16年間、「社員全員によるマーチャンダイジング」という概念を伝え続けています。トップの言うことをただ従順にこなすのではなく、一人ひとりが経営者的な視点で、ある局面ごとに的確な判断を下していく。「“自分も経営の一翼を担っているんだ”という感覚で仕事をしてください」と、いつも話しています。

 社員教育の難しさもさることながら、いかに離職率・転職率を減らすのかといった課題も、多くの経営者を悩ませています。私たちの会社ではその問題への対処として、労務管理の徹底的な見直しを断行しました。具体的に言えば、タイムカードどおりに残業代が社員にきっちりと支給される仕組みを作ったんですね。15分単位で課金されていくので、経営者的にとってはかなり大変です(笑)。

 でも、この取り組みには、思いがけない副次的な効果もありました。会社はコストを抑えるために、残業を減らす努力を社員に求めます。すると、社員は仕事を効率的に行ったり、スピードアップをしなくてはならない。つまり、労務管理の取り組みが、結果的に生産性向上にも貢献したのです。

 美容業界ではよく、サロンが終わってからスタッフの勉強会をやっていますよね。私が通っている美容院も、夜11時くらいに通りかかるとまだ明かりがついていて、その熱意に感心したことがあります。こうした勉強会は、一人前のスタッフになるための技術習得に欠かせない要素ではありますが、労務管理という視点で見た場合、社員の精神的な負担になっていることも少なくありません。例えば、開店前に勉強会を行い、夜は早く帰る完全朝型に変更するなど、ほんの少しだけ今の仕組みを変えてみてはどうでしょうか。企業側のちょっとした工夫で、離職・転職する人の数はかなり減るのでは、と思います。

 それからもう1つ重要なのは、社員のモチベーションが上がるようなコミュニケーションを心がけること。特に若い社員に多いのですが、毎日、同じような仕事を続けていくと、「果たして私はこのままでいいのだろうか?」と、どうしても気持ちが揺れてしまうんですね。しかし、その暗いトンネルを抜けなければ、本当のやりがいや仕事の醍醐味を味わうことはできない。「今の地道な努力こそが、将来の大きなリターンにつながっている」と、未来への夢を感じられる言葉を社員にきちんと伝えることで、彼らのモチベーションはグンと上がるはず。すべての社員と対話をする機会を持つのはなかなか難しいのですが、私もできるだけ、こうしたコミュニケーションを絶やさないように努めています。

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