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美容業界に関する情報・調査を集めた「Beauty総研」サイトに過去掲載されていたインタビュー記事をご紹介いたします。

トータルビューティ

2014.07.31

「エステティックサロン ソシエ」を全国に54店舗展開するほか、「ビューティアベニュー ソシエ」「ルグラン ソシエ」「ネクスト ソシエ」「ソシエ245」「タルゴ」のサロンブランドで展開し、トータルビューティを提案。ヘア部門もくつろぎのリラクゼーションサロンからファミリーサロンまで展開。パリ、台湾、上海へと海外進出もしているソシエ・ワールド。創業54年目を迎える老舗ブランドが考える成長戦略と業界のこれからについて、代表の須藤さんにお話をうかがいました。

PROFILE

須藤 政子(すどう まさこ)

1973年2月、株式会社ソシエ・ワールドの前身である株式会社髙橋商事の理容室に入社。1981年、第一号店「ソシエdeエステ銀座ワールド店」店長に就任。1982年、営業部長に就任。1985年、エステティック事業部担当常務取締役に就任。1992年、専務取締役に就任。2002年、代表取締役専務に就任。2007年6月、代表取締役社長に就任。現在に至る。
(一社)日本エステティック業協会常務理事。(公財)日本エステティック研究財団理事。認定NPO法人 日本エステティック機構理事。(一社)人日本エステティック試験センター評議員。
株式会社ソシエワールド webサイト → http://www.socie.jp/

|第4章|ソシエの成長戦略・トータルビューティ

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須藤 また、ヘッドスパ・ネイルと、事業の柱を増やし、部門化してトップの人間に任せていっています。

野嶋 トータルビューティを標榜し、一人のお客様に提案をしていくという時に、必ずや連携が必要になると思います。そのときに、事業部制の弊害というようなことはないのでしょうか。

須藤 ちょうどいま、新しいモデルをつくりにいこうとしています。おっしゃったような、事業部制の弊害でうまく歯車がかみあわないというのは理由があって、その部門だけが自分の責任だと思うから。

ヘッドスパひとつとっても、10年も前から、「エステにはいかないけれど、ヘアサロンには1か月半に1度おでかけになるお客様がたくさんいる。そして、美容師に髪を整えてもらって癒されている。そういったお客様はカットカラーだけでは満足しない。頭をマッサージしてもらう、ヘッドスパで癒される時代がくる」ってずっと言ってきたんです。

でもね、ヘア部門の美容師の人たちは全然やろうとしなかった。自分たちの仕事がカット・カラーだと、自ら範囲を決めてしまっているから。だからもう痺れきらして、エステでメニュー化しちゃったんです。すると、平均単価1万8千円とれるようになったんです。エステでやるとフットから入って、ヘアまで全部ですからね。すごく好評でしたよ。
 
そうやってエステで成果が出ているのを見て、ヘアの人たちがメニュー化し始めたんです。そのうち、「ヘッドスパで売り上げあがってきました」って報告があがってきました。
最初は個室じゃなきゃだめだ、シャンプー台を変えないとだめだ、照明を暗くしなくちゃだめだって、お金がかかる話ばっかりするんですよ。でも、本気で取り組んでやってみたら、そんなことしなくてもできた。ヘッドスパがメニューとなって、客単価が1万円弱とれるくらいになってきたんです。

野嶋 それはすばらしい成果でしたね。

須藤 そこで私、ずいぶん学びまして。昨年、ウィッグを本格的にやりたかったんだけれど、また直接、美容室に言ってもだめだから、まず、ファッションウィッグを事業部にして、既成事実をつくりました。すると、目論みどおり、ウィッグの売り上げがあがり始めた。

ウィッグ事業部が注文をとってきて、寸法をとるための予約を美容室にとりにいくという流れです。美容師も、いままではなかった、ウィッグの施術を体験することで、ずいぶん意識が変わってきました。そして、たまたまお客様にウィッグを紹介してみたら、「欲しかったのよ。こんなに安いの?」なんていう反応が出た。美容師のほうがびっくりしちゃったんですよ。
これはどういうことかというと、お客様の「最近、髪のコシがなくなった、薄くなってきたのが気になる」というつぶやきを聞き逃しているわけです。
われわれ経営者は、「通ってくださるお客様が5万人弱もいるんだからビジネスになるだろう」なんて思うわけですが、数があっても、お客様のほんとうの情報をつかんでいなければ、ビジネスにならないわけです。そういうことをすごく勉強しましたね。

野嶋 顧客を通じて自ら、実感したこと、聞いたことでないと、なかなか動けないということですね。

須藤 そのとおりです。今年1月に顧客300人を招待してパーティーをやったんです。私ね、最後にお客様の前で、サプライズでウィッグを外したの。そうしたらすごくうけて、そのあとお客様からどんどんウィッグの注文がきちゃった(笑)。「社長がパーティーでウィッグをはずしたのよ。私もつけたいんだけど」って。新宿の高島屋で、私も実際に何人ものお客様にウィッグをセールスしたんですが、お客様がほんとうに喜ぶんですよ。
ウィッグは知っていたけれど、ウィッグを使ったらどうなるのか、具体的にどういうものか知らなかったって。

商売ってね、自分たちの利益のことばかり考えていると何もアイデアがでないけれど、お客様の喜んでくださる姿を考えるとアイデアが湧き出る。これ、きれいごとみたいだけれどほんとうです。「エステ」「ヘア」っていう既存の枠組みから出られないんですよね。

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野嶋 よくわかります。

須藤 お客様がね、「このごろのエステティシャンはつまらない。私に話していることと、隣で話していること一緒でしょう。マニュアルもいいけれど、顧客一人ひとりの話を聞いて、引き出すことを教えてあげないとだめよ」って言ってくださったんです。

それでいま、「マニュアルのないマニュアルをつくれ」って言っているんです。一度、マニュアルを外せと。まず、そのお客様だけを真剣に見つめると、質問の形態が変わってくるんですよね。そういうことも全部、お客様に教えられてきました。
商売を金勘定しちゃうとだめになる。いや、金勘定しなきゃいけないんだけれど、自分たちの使命を忘れちゃだめですよね。

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