女性が活躍するサロン100

女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣

結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを、100サロン紹介していきます。

vol.89スタッフ30名中ママ5名、そのうち店長が3名!
相互の助け合い意識を生む「評価制度」とは?

フォーレディ

東京都、群馬県前橋市

東京都内と前橋市に4店舗を展開する、ボディケア専門サロン「フォーレディ」。それぞれのお客さまに合わせた独自のプログラムが評判のエステティックサロンです。スタッフ30名のうち産休中も含めて5名のママが在籍し、そのうち3名が店長。中でも全社実力No.1の店長が率先して2度の産休を取り、復帰後も正社員として活躍しているそう。「子育てしながら、無理なく働けるのを当たり前のことにしたい」と語る代表取締役の三並さんに、どんな環境づくりをしているのか伺いました。

1取り組み

時短勤務は実働5時間からOK。ママのいる店舗は開店時間を早めて、働きやすく。

どんな取り組み?

 出産する社員スタッフが産休・育休後に職場復帰するときは、職場に復帰するときは1日実働5〜6時間からの時短勤務ができる。その際は給与計算を時給ベースに変更するだけで、社会保険の加入などはフルタイム社員と変わらない。また、ママの在籍する店舗はオープン時間を11:00から30分早め、スタッフは10:00出勤とした。勤務は完全週休2日のシフト制だが、ママスタッフは特に希望がなければ、日祝を休みにしている。

メリットは?

 10:00〜16:00、ないしは17:00までの勤務であれば、子育て中も保育園の送り迎えが無理なくできる。保育園の休園日である日祝に必ず休むことができれば、ママスタッフやその家族の負担も軽くなる。給与はフルタイム社員より減るが、時短によって正社員のままで仕事を続けることが可能だ。
 また、サロンのオープン時間を早めることで、朝型のママスタッフが少しでも長く勤務できるようにした。「ご主人と共働きで生活を支えることを想定すれば、時間給でも6時間勤務で最低限の年収を取れるようにしたい。だいたい年収300万円を目標にしています」(代表取締役・三並敬明さん)。

「ママの仕事と生活、収入のバランスが取れるよう、会社としてももっと考えていきたいと思っています」(三並さん)

「ママの仕事と生活、収入のバランスが取れるよう、会社としてももっと考えていきたいと思っています」(三並さん)

2取り組み

完全予約制で指名は受けず、サロン全体でお客さまに対応。

どんな取り組み?

 来店は完全予約制だが、指名は受けておらず、その日に勤務しているスタッフがそのつどお客さまを担当する。そのシステムを維持するために、スタッフ全員のスキル向上と、詳細なカルテによるお客さま情報の共有を欠かさない。

なぜそうした?メリットは?

 いちばんの理由は、指名制にするとスタッフの負担が大きくなること。サロンに定休日はなく、スタッフはシフト制なので、お客さまの希望をすべて優先すると週2日の休みを取るのも難しくなる。特にママスタッフは子どもの病気などによる急な欠勤や早退もあるので、指名は精神的な負担が大きい。シフトを基準にし、その日のスタッフで対応できる人数を上限にして予約を取り、全員で担当するシステムなら、人手が足りない日ができることがない。子どもを預けて働くママスタッフも安心だ。
 また、お客さまにとっても良い面がある。「ずっと同じスタッフが対応していると、万一そのプログラムがお客さまに合わない場合でも修正されません。それに対して、複数の目でひとりのお客さまを見れば、より適切な選択ができることもあるんです」(三並さん)。

恵比寿/代官山店を率いる、ママ店長の塚田洋美さん。お客さまからは人気だが、指名は取らないので、限られた時間で店長としてのびのび働くことができるという

恵比寿/代官山店を率いる、ママ店長の塚田洋美さん。お客さまからは人気だが、指名は取らないので、限られた時間で店長としてのびのび働くことができるという

3取り組み

休日や夜間の勤務など、ママをサポートする周囲のスタッフの働きを給与に反映。

どんな取り組み?

 スタッフ評価は「接客や施術の技術」「売上」「チームワーク」などで行うが、そのほかに勤務時間の長さも考慮している。接客数で歩合を付けるだけでなく、サロンが忙しい土日祝の出勤日数や、19:00以降の遅い時間の接客が多いことも評価の対象とし、給与に反映させている。

なぜそうした?メリットは?

 慢性的なスタッフ不足が続く中、時短勤務をするママがいる一方で、日曜日や祝日に多く出勤し、19:00以降に残業してサロンを支えてくれる若手もいる。そうした頑張りを会社として正当に評価することは大切だ。待遇面で違いがあれば、「自分は遅くまで頑張っているのに、なぜママは早く帰れるのか」という気持ちが生まれにくい。それにより、働き方を超えて互いに協力し合う風土づくりに役立つ。

「待遇面で違いはありますが、だからといってママスタッフ自身は“早く帰れるのは当然”と思っていません。後輩たちへしっかりと気配りしていますね」と三並さん

「待遇面で違いはありますが、だからといってママスタッフ自身は“早く帰れるのは当然”と思っていません。後輩たちへしっかりと気配りしていますね」と三並さん

代表取締役インタビュー

代表取締役の三並敬明さんは、20代は演劇青年。30歳を過ぎてからアイ・ユナイテッド株式会社を創立し、14年前に恵比寿でエステティックサロン「フォーレディ」を開店。着実に事業を拡大してきた

Q. スタッフが短時間で働ける環境を整える理由は何ですか?

A. 安定したサービスを提供するには、それが必須だからです。

 今は社員が時短勤務を選べることに加え、未経験パートも週4日から採用しています。もし働く人がもっと多ければ、ここまでやる必要はないかもしれない。でも世の中の流れとして、「短時間でも働きたい」という女性を戦力にしていくのは、会社として必須です。そうしないとお客さまに安定したサービスが提供できません。特に人生経験豊富なママ世代はいちばん欲しい人材。結婚・出産のタイミングでやめないで、働き続けられるようにしたいんです。
 ただ前提として社会保険や産休・育休などの制度はあるのが当然。必要なときに使えるのも当たり前ですが、もっと大切なのは、女性が働くうえでの課題をスタッフ全員が共有することだと思います。ママに対して他のスタッフが不公平感を抱くのではなく、「復帰して戦力になってくれて助かる」と考えることです。幸い、我が社のママ第一号は誰もが実力を認める店長で、今は彼女が率先して時短勤務をしています。若いスタッフに将来像を見せる、良いお手本になっていると思います。

Q. スタッフが長く働き続けるために、今後取り組みたいことは?

A. 将来は社宅をつくって「職住近接」を目指したいです。

 制度や施設整備は、スタッフのニーズに合っていることが重要です。今のところは、働ける時間が短くても必要十分な給与が取れるようにすることが第一の目標。ここを削って、その分の費用を制度づくりに当てるのは、少し違うような気がします。
 ひとつ構想としてあるのが、会社で初期費用を出してサロンの近くに社宅を持つことです。ママ店長の塚田は長女が生まれたときに、英断してサロンの隣にマンションを買いました。このことによって、彼女の育児と仕事の両立がかなり助けられたようです。これからは「職住近接」が、働くママにとっての強力なサポートになるのではないかと思っています。

Salon Data

フォーレディ恵比寿/代官山

アクセス
JR山手線恵比寿駅から徒歩3分
創業年
2003年
店舗数
4店舗
設備
ベッド5台
スタッフ数
7名
URL
http://www.forlady.jp/

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