「バーバー」人気の理由

今「バーバー」が人気の理由

近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。

DEAR BARBER(大阪府大阪市)

散髪後にスーツのオーダーも可能。
大人の男が信頼を寄せるバーバーとは?

大阪の「DEAR BARBER」は、30代以上の男性がターゲット。「紳士」をキーワードにする通り、店内にはお酒が飲めるバーカウンターが用意されています。さらに驚くのは、スーツやジャケットがオーダーできること。理容室の枠を大きく飛び越えた付加価値が生まれた背景は何なのか。代表取締役COOの川村弘樹さんに話を伺いました。

大人かつ紳士が集うバーバーを目指す。

バーカウンターがお客さま同士の交流のきっかけに。

ドアを開けると正面に、粋なジャケットを羽織ったトルソーが。傍らには革張りのハイチェアーを組み合わせたバーカウンターが置かれている。店舗はビルの2階にあり、通りすがりに中の様子を覗けないロケーション。だから看板だけを頼りに初めて足を踏み入れた人は、バーバーらしからぬ雰囲気にとまどうことだろう。コンセプトは「30代からの大人紳士のための理容室」。ウェイティング用のソファのかわりにバーカウンターを設けた理由について、代表取締役COOの川村弘樹さんはこう話す。「昔から理容室は地域の情報が集まり、人と人の交流が生まれる場所。もう一歩踏み込めば、ビジネスの発展にもつながるはずなんです」。なるほど、カウンターの片隅には名刺ホルダーがあり、見れば法律事務所や建築関連など仕事の分野は実に多彩。それらはこの店舗に通う顧客のもの。必要なときには店を通して紹介してもらえる、ユニークな取り組みだ。

高品質なオーダーメイド服を手頃な価格で提供。

バーカウンター以上にユニークなのが、理容室でありながらオーダースーツをつくれることだろう。店内の一角には採寸用のジャケットがサイズ別に並び、色も柄もさまざまな生地見本が積まれている。上下揃いのスーツだけではなく、ジャケットだけのオーダーも可能。オーダーメイドは手間がかかりファッションの上級者向けというイメージだが、簡易化したパターンオーダーを採用し、実際のコーディネート案を写真で用意するなど、初めての人でもわかりやすいシステムを構築した。「アパレル専門店では言いにくいことも、通い慣れた理容室なら気軽に相談できる。そんなお客さまが多いことに気づいたんです」と川村さん。高級インポート生地や国内工場での縫製など品質には徹底的にこだわり、オーダージャケットが1万9800円~という驚きの価格設定。「あくまでも本業は理容室なので採算度外視です」と笑う。

  • カットの前や終了後にくつろげるバーカウンター。ソフトドリンクのほかビールやウイスキーを楽しむことができる

  • 穏やかな照明の中、バーバーチェアをゆったりと配置。BGMにジャズが流れる大人の空間だ

  • 採寸用のジャケットを羽織り、自分にあったサイズをチェック。店員に測ってもらう必要がないパターンオーダーで作業を簡易化した

  • 生地は問屋を通さずに購入するなど、品質の良いものを低価格で入手するためにさまざまな工夫をこらす

お客さま目線の考え方がすべての基本に。

おしゃれへの潜在的願望をかなえる店づくり。

バーカウンターの設置やオーダースーツの販売。奇をてらった理容室だな、と思う人もいるだろう。だが、川村さんにとっては特別なことではない。すべては「困っていることを解決できる店にしたい」という思いから生まれたアイデアだからだ。ベースにあるのは「カッコよくなりたいけれど一歩を踏み出せない人に対して、理容室は何ができるのか」という考え。例えば、ヘアスタイルが決まれば洋服にも興味が湧いてくる。でも、おしゃれに苦手意識を持つ30代以上の男性は多い。そこで上質かつ手頃なオーダージャケットを提案し、気に入ってもらえればお互いがハッピーになれる。「お客さまが潜在的に求めているものを提供しているだけなんです」と川村さんはいう。

労働対価を考えて価格を設定。

料金設定にも独自の哲学がある。新店をオープンする際はエリアに見合った料金に決めがちだが、川村さんは「労働時間に見合った賃金をスタッフに払いたい」と考える。弾き出したのは1時間6000円という数字。とはいえ、お客さまに納得していただけなければ本末転倒だ。そのため、コースを主体にメニューを考案。例えば所要1時間のクラシカルコースでは、シャンプー&カット、シェービングに加え、ヘッドスパもセットにした。ヘッドスパに興味を持っていても、オプションでは二の足を踏む人が多い。セットに組み込み、金額的にもお得感を出すことで、気軽に体験していただけるのではないか。その予想は当たり、クラシカルコースの人気がナンバーワン。お客さまが内容に満足していることを示している。オープンして5年目、フリーのお客さまも受け入れているが、連日予約でほぼ埋まっている状況が続く。「今、理容室が何を求められているのか。常にお客さま目線で考えていきたい」と川村さん。その姿勢がしっかりと顧客の心を掴んでいるようだ。

  • 最初のカウンセリングに時間をかけるだけでなく、常にお客さまが求めることに耳を傾けるのが基本姿勢

  • バーカウンターの奥には30代以上を意識した理容関連商品を陳列。オリジナルで開発したシャンプーも好評だ

  • 会員証はカードではなくカジノのチップというのもユニーク。年間利用額に応じたランクがあり、サービス内容が変わる

  • ビルの2階という立地ながら稼働率は80%以上を誇る。半径5km以上離れた場所から通う人がおよそ半数を占める

代表取締役インタビュー

代表取締役COO・川村弘樹さん(右)、代表取締役CEO山下雄也さん(左)。大阪市内の理美容室で14年間ともに働いたふたりが独立、2012年に「DEAR BARBER」を創業。主に会社のマネージメントを川村さん、現場のオペレーションを山下さんが担当する

Q.実際にジャケットをオーダーするお客さまはいますか?

A.はい、大変ご好評いただいています。

セルフ式オーダーという簡単な仕組みを考え、15~30分で注文できるようにしました。外部のスタイリストにコーディネートを相談するシステムもあるので、利用したお客さまは圧倒的なコスパの良さに驚かれます。髪型だけでなくファッションも含めて「家族や知人の評判が良かった!」という声を聞くと、店にとっても自信になりますね。(山下さん)

Q.従業員に対して気をつけていることは?

A.労働環境に配慮しています。

この業界は労働時間が長くなりがちです。だから無駄に早く出勤したり遅くまでいたりする場合は、こちらから注意します。現在、この店は9時間勤務ですが、8時間にできるよう画策中です。実際、系列店では8時間勤務を実現しています。お客さまが困っていることを解決し、従業員には働きやすい環境を整える。そんな、みんなが幸せになれる店を目指しています。(川村さん)

Salon Data

DEAR BARBER 【ディア バーバー】

アクセス
地下鉄谷町9丁目駅より徒歩1分
創業年
2012年
店舗数
2店舗
設備
セット面4席 ※DEAR BARBER
スタッフ数
5名 ※DEAR BARBER
URL
http://dear-barber.com

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