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「バーバー」人気の理由

今「バーバー」が人気の理由

近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。

KINGSMAN TOKYO(東京都多摩市)

あえて郊外を狙ってバーバー開業。
ゼロからスタートし、成功した理由とは?

多摩センターの「KINGSMAN TOKYO」は、開業3カ月を過ぎたころから予約数がグングン増加。1年後にはスタイリストを増やすなど、順調に業績を上げています。内装はシックで、ロンドンにありそうな店をイメージ。そんな男性専用のバーバーが、なぜこの地で受け入れられたのか。今後、何を目指しているのか。代表の吉田奈津樹さんに話を伺いました。

あえて郊外で開業した理由とは?

最初の就職先で経営の面白さに開眼。

2016年5月、多摩センターに颯爽と登場し早くも人気店となった「KINGSMAN TOKYO」は、ちょうど2年目を迎えたばかり。今春からスタイリスト2名体制にしたものの、席は予約でほぼ埋まってしまう状況が続く。代表の吉田奈津樹さんが独立して初めて構えた店だが、まだ25歳と聞けば驚く人もいるだろう。「バーバーを開くのになぜ多摩センターを選んだのか、どうして早く独立したかったのか。それぞれ、ちゃんと理由があるんです」と吉田さん。もともと理容技術の奥深さに魅了されてこの道に入り、コンテストでの受賞歴も多数。だが、最初に就職した店で新店のプロデュースを任されたことがきっかけで、技術を磨くことに加え経営の面白さにも目覚めたという。

マーケティングの結果を大切に。

独立する際に決めていたのは、男性専用のバーバーにすること。「美容室は女性ばかりで入りにくいけれど、髪型はちゃんとこだわりたい。そんな男性って意外に多いですから」と吉田さんはいう。では、どこで店を開くのか。原宿や表参道など気になる場所に足を運び、いろいろと見たうえでたどり着いたのが多摩センターだった。「この街には美容室がたくさんあるけれど、バーバーは意外に少なかった。競合する店を意識したマーケティングリサーチの結果です」。都心部にしなかったのは、コンセプトとの兼ね合いもある。メインターゲットは30歳前後を想定しつつ、どんな年代でも気軽に来店してもらえる店が吉田さんの理想。店主の個性を強烈に打ち出し、そのセンスをよしとするお客さまだけが来てくれればいい、というやり方もあるが、「突き抜けた個性は、競争が激しい都心部なら武器になる。でも、それは自分のスタイルではない。だから、郊外に向いているのだと思いました」。

  • 壁や床のオフホワイトを基調に、ダークブラウンの木目柄が映えるシックな内装。店内にあえて雑誌を置かないのは、お客さまとの会話を大切にしたいから

  • スーツ姿でヘアカットする吉田さん。髪型はショートからロングまで幅広く対応し、オプションのヘッドスパは3コース用意する

  • 店で販売する理容商品は、ネットでも手に入りにくいものを中心にセレクト。オランダやカリフォルニアなど海外製のポマードは人気が高い

内装や道具、技術など、こだわりが顧客満足を生む。

必要な部分にはしっかりと投資。

従来型のバーバーと差別化を図るための工夫も凝らす。外観や内装は、ロンドンにありそうなバーバーをイメージ。スタイリッシュな雰囲気の中、スタッフはスーツ姿で接客をする。その他、ハード面で大切にしたのは「お客さまが直接体に触れる部分」と吉田さん。例えば椅子だ。美容室とは異なり、カットもシャンプーも同じ椅子に座ったまま進めるのがバーバーの世界。「椅子が良くなければリラックスしてもらえない。だからフルフラットになるのはもちろん、レッグヒーターも備えるなど最上級の椅子を用意しました」。髪を切る際にお客さまの体に巻くカッティングクロスも、上質なものをセレクト。限られた開業資金の中から、妥協できぬ部分にはしっかりとお金をかけることで、顧客満足度のアップを狙う。

こだわりの技がお客さまの信頼を生む。

技術面でのこだわりも、店の人気を支えている。例えば、近年よく見かけるようになったフェードスタイル。「刈り上げの一種で、アメリカで主流の技なのですが、フェードカットの時はアメリカ製のバリカンを使います。もちろん性能的には日本製のバリカンも悪くない。でも、日本製では仕上がりの質感が微妙に変わってしまいますから」。また、美容室では相談しにくいという男性も多い薄毛対策にも力を入れる。「薄毛は伸ばした方が目立たないと考えるお客さまが一般的。ところが、実はカットが正解というケースも多いんです」。まずは名前で興味を持ってもらおうと、“薄毛補正カット”と命名。実際、お客さまから好評で、「思い切って試してよかった」と感謝されるそう。そんな吉田さんは、繁盛している現状に満足しているわけではない。若くして独立したかったのはなぜか。それは、最初から2店目、3店目と規模を拡大していく計画があったからだ。「まずは地域で一番必要とされる店に。いずれは海外にも進出したい」とまっすぐ前を見ながら語る吉田さん。今後の飛躍が楽しみだ。

  • フルフラットになるバーバーチェアはレザー張り。座りやすいだけでなく、高級感もある

  • カッティングクロスはバーバー専用のアパレルを手掛ける中村商店のもの。首の部分にレザーをあしらうなど細やかなこだわりがある

  • フェードカットに使うアメリカ製のバリカン。カットする長さやお客さまの髪質に合わせて数種類を使い分ける

  • 夜のエントランスは間接照明で重厚な雰囲気に。大型のサインポールが傍らで回る

代表インタビュー

代表・吉田奈津樹さん。1991年生まれ、福井県出身。大阪の高津理容美容専門学校を卒業後、都内の理容室に就職。その年の7月にスタイリストとしてデビューし、12月には月間売上100万円を達成。24歳で独立し、「KINGSMAN TOKYO」をオープン

Q.とても順調のようですが、開業当初もあまり苦労はありませんでしたか?

A.ゼロからのスタートだったので、最初は大変でした。

独立に際してそれまでの顧客を連れてきたわけではなく、多摩センターは個人的に土地勘もない場所。最初の月の売上は、わずか3万円でした。広告代もなく、できることは自分でチラシをポスティングすることくらいでしたが、クチコミなどで認知が広まり、3カ月後には1週間先まで予約が入るようになりました。やはり、このエリアでは現代的なバーバーが求められているはず、という事前のマーケティングリサーチが正しかったのだと思います。

Q.経営の勉強をされたのですか?

A.本を読み漁るなど、独学です。

以前勤めていた店のオーナーは経営が好きな人で、バーバーでのビジネスがとても上手でした。そこで受けた影響は大きいですね。実践としてはその店で新店のプロデュースに携わり、店長も任される中で学びました。あとは本から学んだことが多いですね。いろいろと読んで気づいたのが、業種によって具体的な手法は異なるものの、経営には勝てるルールがあること。例えば、ユニクロやニトリが郊外から攻めて大きくなったように。理容師としてカットなどの技術は大事ですし、今も追求していますが、できることはそれだけじゃない。早く独立したかったのは、1店で満足せず大きなグループに成長したいという夢があるから。まずは郊外で店を増やし、地域ナンバーワンとなれるよう努力したいと思います。

Salon Data

KINGSMAN TOKYO 【キングスマン トウキョウ】

アクセス
多摩センター駅より徒歩6分
創業年
2016年
店舗数
1店舗
設備
セット面3席
スタッフ数
2名
URL
https://beauty.hotpepper.jp/slnH000363646/

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