「バーバー」人気の理由

今「バーバー」が人気の理由

近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。

FRANK’S CHOP SHOP(福岡県福岡市)

NYで絶大な人気を誇るバーバーが日本出店。
福岡を選んだ理由と、描く未来像とは?

ニューヨークで絶大な人気を誇り、バーバーブームを牽引する店として知られる「FRANK’S CHOP SHOP」。その海外初の店舗が福岡でオープンして2年が経ちます。どのようにして福岡が選ばれたのか、そこでどのような未来像を描いているのか、現地で話を伺いました。

カリスマ的オーナーが発信する、バーバーの新しい形。

NY本店はアーティストが集う大人の社交場。

ニューヨークのロウアー・イースト・サイドで「FRANK’S CHOP SHOP」がオープンしたのは2006年のこと。レトロとモダンが融合する居心地の良い空間、そしてクオリティの高い技術は瞬く間に評判を呼び、新時代のバーバーとして脚光を浴びることに。その存在に刺激を受けた業界関係者は多く、現在のバーバーブームへの呼び水になったと言われている。ただ、店が注目されたのは創業者であるマイク・マルボンさんの力も大きい。彼はストリートカルチャーに関するメディアグループを設立し、その世界ではカリスマ的な人物。「FRANK’S CHOP SHOP」の顧客にはヒップホップを中心に著名なアーティストが名を連ね、名声はやがて世界へと広まっていった。

福岡を選んだ理由は街のサイズ感と、人と人とのつながりの濃さ。

アメリカでの成功を踏まえ、マイクさんが海外初出店の地に選んだのは日本だった。その理由について尋ねると、「マイクは日本が大好きなんですよ」とスタイリストの藤井岳志さんは笑う。「候補地を探すために、数カ月かけて国内各地をまわったそうです」。ニューヨークでの開業から10年目の2016年1月に福岡市の中心部で「FRANK’S CHOP SHOP」をオープン。最初の店が東京などの大都市ではなく、なぜ福岡だったのか。理由は3つある。まず、アジア進出の拠点として各都市へのアクセスがしやすいこと。それから、コンパクトで生活しやすい街のサイズ感が気に入ったこと。最後に、人と人とのつながりの濃さを感じたこと。それは例えば何かを手に入れるとき、“有名だから”だけでなく“友人がすすめてくれたから”ということを大切にする価値観。「それがマイクの心に刺さったようです」と藤井さん。

  • 店の入口に陳列されたオリジナルキャップの数々。アメリカの著名ミュージシャンも愛用している

  • イラストの人物はアメリカの開拓者であるベンジャミン・フランクリン。店名の由来のひとつ

  • 待合の椅子はアンティーク。敢えてシートがほつれたものを選ぶのがオーナーのセンスだ

  • 店販で人気のジェルポマード。アメリカからの輸入品で日本では取り扱いがまだ少ないという

10年先を見据え、着実な成長を目指す。

NY同様の自由で個性的なスタイルで勝負。

福岡で開業するにあたり、インテリアはニューヨーク店の雰囲気をできるだけ再現した。レンガ模様の壁。クラシカルなバーバーチェアー。そして強烈な印象を残す白黒チェック柄の床。再現するのは視覚的な要素だけではない。店のドアを開けると、大音量のヒップホップ・ミュージックが流れ出す。小さな声では会話ができない程のボリュームに驚くが、「ニューヨーク店を知っているお客さまは、このBGMで『向こうと一緒だね』って言ってくれます」と藤井さん。そんなストリートカルチャーへのリスペクトはスタッフも共通しており、決められた制服はなくカジュアルなスタイル。接客も丁寧でありつつ、フレンドリーだ。その空間は従来の理容室では見られない、自由な空気に満ちている。

まずは口コミで顧客を広げ、地元で愛される店に。

ニューヨーク店は著名⼈を顧客に持ち、世界的に注⽬されているものの、その効果は限定的だった。「オープン当初はお客さまが少なかった」と藤井さんは⾔う。もちろん福岡でオープンする前から「FRANKʼS CHOP SHOP」の存在を知っていたり、北海道からわざわざ訪れるようなコアなファンも中にはいる。だが、その後少しずつ増えていった顧客の多くは友⼈の紹介など⼝コミでこの店を知った人々。しかも、⼀度サービスを受ければリピーターになる確率が⾼い。間もなく3年⽬を迎える現在は4⼈のスタイリストで⽉に700〜 800⼈のお客さまに対応する。「10年後、⽇本で最も成功しているバーバーになる」。これは福岡店の開業時にオーナーが残した⾔葉。⼀過性の⼈気を求めるのではなく、着実に地元で受け⼊れられながら成⻑する店を⽬指す――。知名度の⾼さとは裏腹に、地に⾜をつけた⽅針で将来を⾒据えている。

  • アメリカから取り寄せたバーバーチェアーはオリジナルデザイン。シートは幅広でゆったりとした座り心地

  • バリカンでミリ単位のグラデーションに仕上げるフェードスタイル。来店客のほとんどがこのカットをオーダーする

  • 壁にずらりと並ぶアート作品は気に入れば購入できる。年に数回アーティストを入れ替えている

  • 道路側は全面ガラス張りのため初めてでも入りやすい雰囲気。天神の繁華街まで徒歩圏内だ

スタイリストインタビュー

スタイリスト・藤井岳志さん。大阪府出身。高校生の頃、好きなアーティストの影響でニューヨークに「FRANK’S CHOP SHOP」というバーバーがあることを知る。専門学校卒業と同時に、当時オープンして間もない福岡店に就職

Q.どのようなお客さまがいらっしゃいますか?

A.20~30代の方が中心です。

70代のお客さまにもご来店いただいていますが、年齢層としては比較的若い方が8割程度を占めています。カットとしてはフェードスタイルが圧倒的に人気ですね。フェードスタイルに興味のあるお客さまが美容室で当店を紹介されて来たケースもあります。サービスメニューはシンプルで、パーマやカラーはありません。フェードスタイルは3500円~で、シャンプーとシェービングが各500円となっています。

Q.カット以外にどのような特長がありますか?

A.オリジナルキャップを販売しています。

「FRANK’S CHOP SHOP」というブランドを象徴するアイテムで、大変好評です。アメリカはニューヨークとロサンゼルス、日本は沖縄にも姉妹店があるのですが、いずれもオリジナルキャップを扱っています。それから壁に飾ってある絵は主にアメリカのアーティストのもので、購入可能。店内はギャラリー的な要素もあるんです。

Q.今後の展開について教えてください。

A.日本国内での店舗を増やしていく予定です。

今年3月、鹿児島で国内3店舗目をオープンすることが決まりました。新たにメンズグルーミング商品やポマードの開発を進めつつ、今後は東京や京都での展開を視野に入れています。どの店でも目指すのは、お客さまがずっと通いたくなるような居心地の良い空間とサービスを提供すること。現代社会におけるジェントルマンの社交場でありたいと考えています。

Salon Data

FRANK’S CHOP SHOP 【フランクス チョップ ショップ】

アクセス
地下鉄赤坂駅より徒歩5分
創業年
2016年
店舗数
4店舗
設備
セット面4席
スタッフ数
4名
URL
https://www.frankschopshop.jp/

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