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「バーバー」人気の理由

今「バーバー」が人気の理由

近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。

barbershop apache(北海道旭川市)

日本バーバー文化のリーダー。
アメリカも注目する北海道のバーバーとは?

旭川駅から車で20分ほど。静かな住宅街の一角に、日本のバーバーカルチャーを牽引し続ける名店があります。名前は「barbershop apache」。アメリカンカルチャーに心酔するオーナー・川上昌博さんが、自身の考える「かっこよさ」を形にしたこのバーバー。北海道内各所はもとより、本州や海外からもお客さまが訪れます。
さらに川上さんは店舗経営だけではなく、イベントの主催や各種セミナーでの講演などを通して全国にバーバーカルチャーを発信しています。国内外で精力的に活動を続ける川上さんに、その思いや店舗経営の秘訣を伺いました。

25年前、日本のアメリカンバーバーの先駆けとして誕生。

定めたテーマはシンプルに“かっこいい”こと。

理容師である両親の元に生まれ、「中学生の頃から髪をいじるのが好きだった」という川上さん。そのままに理容師になり、旭川市内の理容室で働き始めた。それから3年後の1993年、独立して休業状態だった実家の理容室へ。その際、まずは明確なコンセプトを設定した。それは「かっこいい男を作る店」。川上さんが以前より熱中していたアメリカンバイクや音楽といったアメリカンカルチャーを、自身の理容室にも取り入れることを目指した。

SNSのない時代。最初の集客は口コミから。

川上さんが独立した当時は、現在のようにSNSも発展していない時代。オープンに当たってまず大切にしたのは口コミだった。「車好き、バイク好きの友達が、その友達を呼んでくれました」と振り返る川上さん。当時は若い世代が経営する理容室が少なかったこともあり、趣味を同じにする若者たちが集いだしたのだ。口コミの効果は絶大で、「オープンからすぐ忙しくなった」という。音楽やファッションをバックボーンにした、当時としては珍しいバーバーは、こうして少しずつその名を轟かせはじめた。

  • 旭川市郊外。決して便利とは言えない場所だが、遠方から次々とお客さまが訪れる

  • お客さまが自分専用のカミソリを置く“マイレザー”。これもまた川上さんが考える“かっこよさ”のひとつ

さまざまなイベントを通して、日本のバーバー文化の発展を目指す。

渡米を機に訪れた転機。学んだのは“変えないこと”の大切さ。

店舗も軌道に乗った29歳の頃。川上さんに突然、「本物を見に行かなくてはいけない」という衝動が芽生えた。思い立った川上さんは、カリフォルニアにある「HAWLEYWOOD’S BARBER SHOP」に、ドニー・ハーリーを訪ねた。ドニーはアメリカンバーバーカルチャーの第一人者で、当時から人気だったレイライト・ポマードの開発者でもある。そんなドニーだが、アポイントもなく訪れた川上さんを温かく迎えてくれたという。「雰囲気、音楽、会話、全部が衝撃でした」と川上さん。では日本に戻った川上さんはドニーの店を真似たのか、というとそうではない。「ドニーから学んだのは自分のスタイルを貫くこと、自分が思う“かっこよさ”を追求すること」。本場を目にした川上さんはその模倣をするのではなく、それまでのスタイルをいっそう深く追求しはじめたのだ。

  • 川上さんが開発に携わったブロッシュのポマード。店舗経営以外のさまざまな観点からバーバー文化を考える

  • 国境を越えて親交を深める川上さんとドニー氏。この出会いが日本のバーバー文化に与えた影響は大きい

今では一大イベントとなったバーバーバトルの誕生。

その後も繰り返しアメリカを訪れた川上さん。2010年には親交を深めたドニーを招き、バーバー文化を伝えるイベントを開催。これはバーバー文化の浸透とともに、志を同じくする理容師同士の親交も生んだ。そして2014年には、ショーアップされたイベントで理容技術を競う第1回バーバーバトルを開催。川上さんは「最初は出場者が集まらず無理やり9人集めました」と笑うが、事前の予想に反して会場は大盛況。それ以降も続くバーバーバトルは、現在では都道府県予選の後に東京で決勝を行うほどの大規模イベントに成長し、日本のバーバー文化に多大な影響を与えている。

  • バーバーバトルはバーバー文化の浸透とともに、理容師の技術向上の役割も担っている

  • ビッグイベントの仕掛け人として多忙な日々を送る川上さん。その内にはバーバーへの熱い思いが潜む

原点に立ち返ることで、さらなるバーバー文化の浸透を目指す。

2017年、シンプルな内装にリニューアル。

現在の店舗は、白壁と木の床という飾り気のない造り。奥には川上さんの趣味を反映したアパレル・グッズのショップも併設されているものの、施術エリアはいたってシンプルだ。実はこの内装は2017年冬にリニューアルしたばかりのもの。「以前はコアになり過ぎてしまい、新規の方が入りにくい雰囲気になっていました。一旦真っ白に戻り、そこからまたどうなっていくかを楽しみたい」と川上さん。現在の来店客は月間650名ほどで、内30名ほどが新規のお客さま。シンプルなスタイルにリニューアルすることで、さらに多くの方にバーバーの良さを知ってもらうことを目指している。

  • リニューアルを経てシンプルに生まれ変わった店内。遠方からのファンだけでなく、近隣のシニア層や学生も訪れる

  • 店舗奥には川上さんがセレクトしたアパレル・グッズのショップが併設されている

大切にするのは、日本らしい技術やサービス。

アメリカンカルチャーをテーマに据えた店舗ではあるが、その根底に“日本の職人”としての誇りがあるのもここ「barbershop apache」の特徴。「アメリカでハサミの技術セミナーをした際、その細かな技術に驚かれました」という経験から、昔ながらの日本の理容技術の良さを再発見したという川上さん。ほぼ100%のお客さまが頼むというシェービングも、硬い毛質の人が多い日本だからこそ、独自の柔らかいタッチで行うのだという。「昔ながらの“職人”の意識を忘れずに、日本ならではのバーバー文化を作っていきたい」というのが次の目標なのだという。

  • 細やかなハサミの技術や丁寧な接客など、日本らしさを大切にして独自の文化の形成を目指す

  • 随所に見られる昔ながらの理髪店の面影は、職人としての川上さんの誇りでもある

オーナーインタビュー

川上昌博さん。1969年、旭川市生まれ。1993年に実家を引き継ぐ形で独立し、自身の趣味であるアメリカンカルチャーを取り入れたバーバーをオープン。渡米を繰り返し本場の文化に触れながら、日本ならではのバーバーカルチャーの形成を模索する

Q.サービスに関して意識していることを教えてください。

A.フランク過ぎず、状況にふさわしい節度を持つ。そんな日本らしさを大切にしています。

常連のお客さまには砕けた対応も必要ですが、やはり基本はきっちりとしていること。そういう日本の接客のスタイルは世界的にも高い評価を得ていますから、そこは重視していきたいですね。また、たとえ手が離せなくてもお帰りになるお客さまにはしっかり視線を送るなど、ちょっとした男同士の心のやりとりも大切にしています。

Q.理容師として大切にされているのはどんなことですか?

A.ファッションや生き方も含めて、自分自身がかっこよくあること。

技術はもちろんですが、やはりかっこよくあることも大事。若い子たちは理容師の生き方そのものを見ています。そんな子たちの憧れの存在となるためには、信念を持った生き方が必要です。かつて常連さんのお子さんが当店のスタッフに憧れて、理容師になりました。そうやって次世代にかっこよさを伝えていくことができたらうれしいですね。

Salon Data

barbershop apache

アクセス
旭川駅より車で約20分
創業年
1993年
設備
セット面5席
スタッフ数
4名

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