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第2章美容師が「核」だからこそ広がる、他分野への可能性

「お客さまとの距離が近い美容師だからこそ、
 “真のライフスタイル提案”が可能になる。」

アーペの初めてのヘアサロンでもある複合店舗「ape beauty WORLD 水戸店」は、最初から順調なスタートとはいかなかったとか。そこからどうやって、支店を開くまでに成長したのでしょうか?

水戸店はカフェ、雑貨、ヘアサロンの3つのスペースが1つのフロアにあります。入口もあえてわけずに1カ所だけにして、店内に入ったお客さまが自然と各スペースを回遊する構造にしました。この水戸店がオープンしたのはアーペ1号店誕生から8年後。おかげさまでアーペのファンもできていたので、カフェ・雑貨スペースはオープン当初から連日大盛況でした。

ところがヘアサロンはガラガラで(笑)、2~3カ月は苦しい状況が続きました。それはきっと「雑貨屋がヘアサロンをやるの?」という違和感がお客さまにあったからでしょうね。ですが、別の企業がやっている無関係のサロンではなく「アーペのヘアサロン」であることは、のちのち強みになります。カフェ・雑貨スペースに来店するたびに自然とヘアサロンを目にし、「アーペブランドの仲間」として徐々に認識してもらえると、お客さまはアーペに対する安心感・信頼感とともに見てくれるようになります。そして一度受け入れてくれたアーペファンのお客さまは簡単には離れず、2度3度と来店してくださるようになりました。

それはグループとしてのファンがいる強みですね。カフェや雑貨の売上で店舗全体としての利益が確保できるのは利点だと思いますが、そのほかにも複合店舗であるメリットは感じますか?

サロン単体とは比べものにならない「集客力」ですね。都内と違って茨城という土地柄、みなさん車で来ます。そんな状況で新店をオープンさせても、たまたま店の前を通りかかって認知してもらえることはほぼなくて、集客は販促活動が頼みの綱。しかしアーペのカフェや雑貨店は、顧客を1万人ほど抱えています。つまりカフェや雑貨店と併設することで、「1万人がヘアサロン前を通行する立地を自ら生み出す」ことができるんです。

また、ヘアサロンの来店頻度は2~3カ月に1回程度が一般的だと思いますが、カフェや雑貨店はもっと日常的に利用されています。つまり、アーペの雑貨を見に来たついでにヘアサロンにも立ち寄るという流れができ、自然とお客さまの来店周期が短くなっています。

「カットのついでに雑貨やカフェへ」といったお客さまの流れもありそうですね。

そうですね。美容師は施術の合間の会話を通して、お客さまの趣味嗜好を知ることができる立場にあります。そうして得た貴重なパーソナルデータは、一般には美容サロンの売上を高めるために活用されると思います。ですが当サロンでは美容だけでなく、グループ内の他分野に活かすことができるんです。

たとえば母娘で愛用していただいている方も多いのですが、来店された娘さんのカット中に「母親の誕生日プレゼントを何にしようか悩んでいる」なんて会話があったとき、担当美容師が「そういえば、お母さまの好きそうな雑貨があったよ」と施術後に雑貨スペースへお連れしたり・・・。

アーペグループが手がける住宅のモデルルームも併設した那珂店では、リフォームや新築を考えているお客さまをモデルルームへご案内することも。これはむりやり売り込んでいるわけではないんです。お客さまから信頼を得ている美容師だからできる、ご提案のひとつともいえます。美容師に対して、お客さまは「おしゃれな人」「自分を理解してくれている人」というイメージを抱いています。その相手からすすめられるから、お客さまもすんなり受け入れてくださるのだと思います。

考えてみると、美容師は1回の施術で2時間ほどお客さまと接するわけで、それはすごいことですよね。その間に得た情報を他の場所でも活かせる。
一方で美容師がお客さまに住宅の提案をするというのは、専門外ですよね。スタッフの方に、何か特別な教育はされているのでしょうか?

サロンのスタッフは、なにも住宅や雑貨に関して専門知識を持っているわけではありません。大切にしているのは、お客さまから信頼を得るための教育です。「トータルビューティー」という考え方がありますが、アーペでは「トータルライフコーディネート」を目指しています。単に美容技術や雑貨を売っているのではなく、すべては「女性の豊かなライフスタイルを実現する」という同じ理念が根底にあってのこと。そこさえスタッフに浸透させることができれば、お客さまへの対応も間違ったものにはなりません。

お客さまのパーソナルデータは、宝ともいえますね。他に活かしている場面はありますか?

実際に異業種の他社さんとの取り組みにも活用しています。すでに終了したものでは、2014年にネッツトヨタ茨城さんとコラボしたコンパクトカー「ape×vitz(ヴィッツ)」の特別仕様車を販売した際。これはアーペが車の内装やエンブレムのデザインを担当したのですが、同車のターゲット層である30代~40代の女性へ向けてDMを発送する際に、アーペのお客さまで該当される方に、ご案内させていただきました。

現在は、人気の宿泊施設と協力して宿泊ツアーの企画を検討中です。これまでアーペではお客さまサービスの一環として「プレゼント企画」などをちょこちょこ実施していましたが、同じ予算ならば「旅行にご招待」と大きく一括で還元したほうが喜ばれるのでは?というのが始まりです。今回組む宿泊施設も、アーペとターゲット層が重なるところからコラボする話がうまく進みました。

  • 住宅モデルルームもフロアの一角にあるため、内覧に対する心理的ハードルがぐっと低くなる。飾られている小物もアーペの雑貨店で取り扱っているものが多いので、気軽に購入できるのがうれしい

  • 住宅のデザインから施工までグループ企業が担当。アーペの店の雰囲気を好むお客さまにとっては、好きなものが詰まった空間を自分の住まいにできる

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