サロンで働く先輩女性たち

長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください！

vol.37

ハサミを持ち続けることで壁を乗り越え、店長に。
笑顔のママスタイリストになるまでの道のりとは？

祖父、父、兄と妹、いとこたちも美容師という美容師一家。そんな環境で育った寺岡さんにも、スタイリストとしての技術がついていかず、「ハサミを持つのが怖い」という時期がありました。寺岡さんはそれを乗り越えるために、「やるしかない」と覚悟を決めて突き進みます。そんな彼女の一生懸命な姿は、周りのサポートを生み出すことに。スタイリストから店長へ。そして今、出産を経てママスタイリストとして笑顔で働く寺岡さんに、これまでの道のりと想いを伺いました。

Staff Data

寺岡ひとみさん 32歳

スタイリスト。
felice【フェリーチェ】勤務（神戸市中央区）
スタイリスト歴12年。1歳8カ月の女の子のママ。
水〜金曜日は11:00～16:00、土曜は10:00～16:00の時短勤務。

寺岡さんのLife History

★…ターニングポイント

19歳

広島の高校を卒業後、寮のある関西の大手ヘアサロンに入社。神戸の店舗でアシスタントとして働きながら、通信制の美容学校で学ぶ。
３年目にジュニアスタイリストとしてデビュー。
22歳

将来を考え、大阪のサロンに転職。アシスタントから再スタートする。
ヘアショーなどを行う刺激の多い職場だったが、プライベートな時間がない厳しい面も。
アシスタントとして3年間働き、退職を決意。
25歳

★退職した直後に、前のサロンの先輩であった中村さんが自身のサロン「CUORE」をオープン。お店に誘われ、スタイリストとして入店する。
スタイリストとしてお客さまを担当するのは楽しい反面、できない自分に悩むことも多かった。四苦八苦しながら、お客さまに向き合う日々。
26歳

2店舗目となる「felice」がオープン。店長を任される。
新規客も多く忙しい中で、店長として鍛えられる。
27歳

結婚。オーナーに相談し、通常より早く帰れる時短勤務に。
31歳

女の子を出産。
産前2カ月から産休に入る。
32歳~

長女が保育園に入り、産後10カ月でスタイリストとして復帰。
仕事と子育てを両立しながら、楽しく働いている。

21歳でジュニアスタイリストとしてデビューした頃。レッスンは厳しかったが、イベントの多い寮生活は楽しかった
店長を任された26歳の頃。広島の実家での1枚
愛娘の1歳のバースデーに

寺岡さんへのインタビュー

寺岡さんは、オーナー中村さんが「女性が働き続けるための制度」を考えるきっかけになった人物。彼女のがんばりが周りのサポートを生み出すことにつながっていた

Q. 美容師人生の中での転機は？

A. オーナーと出会ったこと。美容師をやっていく自信を失ったときに支えてもらい、成長させてもらいました。

　今のサロンオーナーと出会ったことで大きく変わりました。まずは美容師として成長させてもらったこと。「CUORE」に入って1、2年目は技術がついていかず、お客さまの髪を切りすぎてしまったことがありました。お客さまの気持ちを考えると本当に申し訳なくてものすごく落ち込みましたが、次の日もお客さまが来るのが美容師の仕事。ハサミを持つのが怖くなってしまった私の悩みをオーナーは聞いてくれ、レッスンをしてくれたんです。それからは「やるしかない」と決めて、突き進むことができました。
　そうして技術がついてきた頃に2店舗目の店長を任され、いろんなことを学びました。給与面のサポートもあるので、結婚、出産も乗り越えられました。今まで続けてこられたのはオーナーのおかげ。本当に大きな存在です。

「お店に出てお客さんと話すことが本当に楽しいんです」と寺岡さん。近くの店舗で美容師として働く、同じくママの妹さんの存在も、大きな助けになっているそう

Q. 子育てと仕事の両立で大変なことは？

A. どちらもあるから楽しい。今できることを精一杯がんばろうと思っています。

　両立にはそれほどストレスを感じていないんです。ちょっと忙しい方が楽しいタイプなので、仕事をしている方が合っているんだと思います。それでも、育休中は「もう少し子供と一緒にいたいな」と矛盾した気持ちもありました。でも、保育園が決まって復帰したらやっぱり楽しい。今は仕事のない毎日は考えられないほどです。
　これからまた、産休・育休でお客さまに迷惑を掛けてしまうことがあるかもしれない。そのジレンマはありますが、目の前のお客さまに喜んでもらえるように、今できることを頑張っていきたいと思っています。

若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします！

　辛くて「辞めたい」と思うこともあると思いますが、美容師を続けていれば「いいこと」がいっぱいあります。だから「もう無理だ！」と思ったとき、もう1回しっかり考えてほしい。「本当にそれでいいの？」と考えて出した結果なら、美容師と違う道を選んでもいい。ただ、感情的に辞めないでほしいんです。
　私自身も辛くて「辞めたいな」と思ったことがあったので気持ちも分かります。でも、私は続けてきて楽しかったし、技術職なのでやればやるほどうまくなります。そうすれば、いいことも楽しいこともある。そのことを今、がんばっている方には伝えたいです。