サロンで働く先輩女性たち

長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください！

vol.69

3度の出産・育休を経た3児のママ。
16年間仕事を継続できた理由とは？

住宅街にたたずむ、おしゃれでアットホームな「Plus」。10歳の長女を筆頭に3児の子育てをしながら、ほぼ週休2日でフルタイム勤務している樋口さん。樋口さん以外のメンバーもすべてママスタイリストというサロンで、のびのびと働く樋口さんの仕事観についてうかがいました。

Staff Data

樋口真央さん 36歳

スタイリスト。
Plus 稲野店（兵庫県伊丹市）勤務。
スタイリスト歴12年。
10歳と8歳の女の子と、5歳の男の子の３児のママ。
定休日（日曜・祝日）と月曜日が休日、9:00〜17:00でフルタイム勤務。

樋口さんのLife History

★…ターニングポイント

20歳

専門学校卒業後、お客さま目線で見て居心地の良さそうなサロンだった「CREER」（「Plus」の母体サロン）に就職。
2店舗目をオープンした直後で、アシスタントとして2店舗を行き来する日々。
24歳

中学時代からの憧れだったスタイリストデビュー。
25歳

専門学校時代からおつきあいしていた彼と結婚。ご主人もサービス業で生活リズムが同じだったため、無理なく仕事を続ける。
26歳

★長女を妊娠。
オーナーに妊娠を報告すると「おめでとう！出産後はいつ復帰する？」と聞いてくれた。できるだけ早く復帰したい気持ちを伝える。
27歳

長女が生後3カ月の頃に、週2日のパートとして復帰。幸い保育園がすぐ見つかったため、生後4カ月で週5日、9:30〜17:00の時短勤務で本格復帰。
28歳

次女を妊娠。再び、産休、育休に入る。
29歳

次女が運良く長女と同じ保育園に入れ、生後3カ月の頃に仕事復帰。
31歳

長男を妊娠。3度目の産休、育休に入る。
長男出産後も生後3カ月の頃に仕事復帰。
34歳~

オーナーから、「ママスタイリストだけを集めた店舗をつくったら行く？」と聞かれ、「はい」と答えたら、「Plus 稲野店」がオープン。ママスタイリスト3名とともに、気兼ねなく働く日々。

中学生の頃からなりたかった美容師を目指して、「CREER」の面接を受けた頃
結婚式のとき。ご主人とは小学校の頃からの顔見知りだったそう
長女出産直後。仕事にはなるべく早く復帰したいと思っていた
ママスタイリストだけの店舗「Plus 稲野店」がオープンした頃
3人の子どもたちと。子どもは最初から3人ぐらいほしかった

樋口さんへのインタビュー

合宿ミーティングで、お客さま、仕事、レッスンに対しても熱意を持って取り組んでいくという想いを「情熱」というテーマで決意表明

Q. 3人の子育てをしながらの仕事との両立はいかがですか？

A. 恵まれた環境なので、ありがたく、マイペースで働けています。

　母体である「CREER」では、私が入社したときからオーナーの奥さまも子育てしながら働いていらして、オーナーがママスタイリストに対して理解がとてもあります。奥さまが私たちのロールモデルでもあったのです。
　うちの会社は毎年2回、合宿ミーティングがあって、社員全員が「10年後の夢」を発表するのです。その夢のために、5年後、3年後、1年後には何をしているかをさかのぼって書いて、実現させるプランを発表します。オーナーは「みんなの夢をかなえるのが僕の夢」と宣言して、各スタッフがどういう人生を歩みたいかを把握し、応援してくれているのです。私は結婚した段階で、「子どもができても仕事を続けたい」とプランに入れていたので、それができる環境を用意してくださいました。
　具体的には、育休からの復帰後は9:30〜17:00の時短勤務で働かせていただいていました。子どもが急な熱を出したときなどは、「他のスタッフに迷惑をかけているな」と思うこともありましたが、合宿の効果で他のスタッフも理解を示して協力してくれました。私自身も若いスタッフにお菓子を作っていくなど、胃袋をつかんで（笑）心もつかむ努力もしていました。

「Plus 稲野店」のママスタイリスト仲間と、オーナーの蓑輪さんと

Q. オーナーから「ママスタイリストだけの店をつくる」と言われたとき、どう思いましたか？

A. うれしい反面、デメリットもあると思いましたが、結果はよかったです。

　現在の「Plus 稲野店」がその店舗なのですが、オーナーから「ママスタイリストだけで、予約を受け付けない店をつくったら行く？」と言われました。「CREER」にいた頃から、3人の子育てをしながら両立できていて、指名のお客さまもいたため、正直「どちらにも良し悪しがあるな」と思いました。予約制ではないので、子どもが急に熱を出したときに指名のお客さまにご迷惑をおかけする心配がない反面、「CREER」での指名のお客さまを手放すことになるからです。けれど、「Plus 稲野店」は営業時間は9:30〜17:00、定休日は日曜・祝日。「CREER」にいた頃とは違って準備や片付けも参加できるので、まわりに気兼ねなく働けてよかったです。やはり以前は、他のスタッフにしてもらうことばかりで、ひけめがあったんですよね。

「今は小学生の娘たちの宿題を見るのが大変」と明るく語る

Q. 恵まれた環境とはいえ、やはり3児の子育てとの両立は大変そうですが、どう克服されていますか？

A. 軸足はあくまで家庭と割り切って、それを受け入れてもらえていることに感謝しています。

　子育てって、実はひとりでも3人でも大変さの量は同じなんです。大変さの形が変わるだけ。ひとりめのときは自分が子育てになれていなくて、子どもの相手をするのも自分しかいなくて大変でした。子どもが増えると、子ども同士で遊んでくれる間に家事ができたりするのです。
　それよりも悩んだのは、スタイリストとしてコンテストに出る時間がなかったり、会社のスタッフたちと交流する時間が持てなかったりすることでした。無理してやろうと思えばできたことですが、自分にとっての優先順位は仕事より子どもだったのです。そんなスタンスの私でも、温かく受け入れてくれる会社には本当に感謝しています。

若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします！

うちの会社はオーナーがスタッフの考えを聞く場を設けてくれていますが、そういう場がない場合は、「自分はこう考えていて、こうしていきたい」ということを上司に意識して伝えておくといいと思います。言ってみて考えを受け入れられなかったら、そのとき次の行動を考えればいいのです。伝える前に「オーナーは受け入れてくれないだろう」などと思い込んだり、逆に期待しすぎるのは意味のないこと。妄想せずに、実行した結果で考えてほしいと思います。