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第3章100年後も残るため美容サロンが担うべき役割

「美容サロンは、生きていくうえで不可欠な存在。
他企業とも連携して、地方創生につなげたい。」

この数年の急成長を見ると、今後の展開にも期待が高まります。10年後の目標は?

10年後の姿としては、2025年までに100店舗、売上高600億円という目標値を社員全員が集まる場で発表しています。もう一つ大きな枠としては、「100年続く企業」という目標を掲げています。

アメーバ出店方式は他地域でも有効な方式でしょうね。

店舗展開は、東海地区でしか考えていません。東海地区だけで、その目標数字をおいています。なぜなら、地元に恩返しをしたいから。経営理念にしたように、自分を育ててくれたこの地域の「美的生活を豊かにする」ことが、僕の望みです。

ただ、この方式を他地域の発展に活用してほしいという思いはあります。それはうちのフランチャイズである必要はなくて、僕と同じ志を持っている企業に出店システムやノウハウを提供していけたらと考えています。

地元の岐阜もそうですが、若者はみんな都会へ出ていって地方都市はシャッター街だらけです。「美的生活を豊かにする」というのはお客さまのことだけでなく、まず「美容で働く人を地方に増やすこと」が使命。そのためには国家資格が必要なヘアに限定していると人が限られてしまう。この点からいっても、トータルビューティを展開することが大事なんです。

拡大路線は継続されるようですが、目標達成へ向けて、新たに思い描いているプランは?

美容サロンを、「人間が生きていくうえで欠かせないプラットフォーム」にしたいですね。それは可能だと考えています。美容室はすべての年代の人が定期的に通う場所であり、病院よりもかかわる機会が多い場所。さらに一般的な美容室では3カ月ごとの来店が多いでしょうが、うちは事業を増やしたことで、ヘアカットに来る間の期間にネイル、リラクゼーションと利用していただき、現在すでに「1人のお客さまが1~2週間に1回の頻度でどこかのサロンを訪れている状況」を実現できています。なかには「3日に1回来る」なんてお客さまもいるんですよ。

定期的に通う人をどんどん増やしていければ、「予防医学」にかかわる場所としても活用できます。医療だけでなく、さまざまな「ビジネスの場」として活用すれば、美容サロンが生きるために不可欠な場所になれるんです。理想としてはお客さまと一生涯お付き合いすること。そのためには「家を買ってもらえばいいんだ」なんてことも考えています。家は一生ものですからね。だから「新しい街づくり」にも興味がありますよ。

それは自社で住宅販売を展開するということですか?

自社ではなく、うちの役割は医療や住宅といったいろんな業種の「ビジネスをマッチング」すること。そのマッチングする場所、つまり「プラットフォームとして美容室を提供する」という意味ですね。そうして地域の他業界が発展する場に活用してもらえれば、先ほど話した「地方創生」にひと役買うこともできます。

コアである美容サロンビジネスがしっかりとしていれば、ビームズさんとしても様々な事業展開が描けるわけですね。

そうなんです。そして美容サロンをビジネスの場に活用してもらう相手は、地元企業だけでなくうちのお客さまも想定しています。年間数万人のお客さまがいて、みなさんの職業もさまざま。主婦だけどカリスマブロガーとして人気の方もいて、そういう人が何かしら利益を生む場所にしてもらうこともできます。そうすれば、これまでお客さまにお金を支払ってもらう場であった美容サロンが、逆にお金を稼いでもらう場所にもなれるんです。

すごい発想ですね。

僕は単に「美容室」を経営しているつもりはありませんから。今後100年で世の中がどうなるかはわかりません。人口が半減したとしても、たとえカットの売上がゼロになったとしても、「利益が出る仕組みづくり」が重要です。そのためにはさまざまなビジネスのプラットフォームになるほか、美容室としても従来とは集客の入口を変える工夫も必要でしょう。たとえばセルフフェイシャルのサロンだけど、入ってみたら奥でヘアカットもできるとかね。

カット自体は10分で終えられるものですから、実質価値は1000円くらい。いまはそれにカウンセリングやシャンプー、トリートメントといった「付加価値」をつけてお金をいただいています。だから極端な話、カットだけなら0円にするのもアリなんですよ。代わりにほかの商品を利用してもらって収益を得て、カットはそのオマケとして無料で提供することもできるかもしれない。

従来の美容サロン像とはかけ離れていますが、これまでの実績を見ると失敗しなさそうに思えます。

いままでも失敗ばかりですけどね。新しいことを始めたときは、たいてい思い通りにはいかないものですから。ただ始めてから1年目は失敗しても、その間にうまいやり方を探して改善すればいいんです。僕は何かを始めるときは必ず目標を設定しています。先ほど言った「失敗」とは、あくまで「目標達成ができないこと」です。僕の最終的な目標は「100年企業」になること。うちの会社が100年続いたときに初めて、僕が成功したかどうか、わかると思っています。

  • この9月1日に、女性専用サロン「kapua(カプア)」2号店目を名古屋・千種区にオープン。営業時間は17時まで、託児所つき。ビームズは美容業界では初となる「女性活躍推進企業」として国から認定されている(写真は岐阜にある1号店のスタッフ)

  • 地元の雇用創出のため99%が地元採用。企業理念に共感して入社し、「自分の未来像」として手本にできる既婚女性スタッフも多いため、離職率は約5%という低さ。ヘアもボディケアもできる「ビューティシャン」育成にこだわるためスタッフの9割が女性だが、「断っても、入りたいと言ってくる男性も多い」という

「尊敬する人は?」との問いに迷わず、「父親」と答えた坂之上さん。
坂之上さんのお父さまは、ビームズグループの会長でもあります。
「昔も今も、本当にかっこいい。子どもの頃、授業参観とかで
父親をみんなに自慢したかったんですけど。美容師として忙しくしていたから、
行事になかなか来てくれなくて。」と笑いました。

 父親が「圧倒的なカリスマ性」でやってきたのに対して、
坂之上さんは「理念」でここまできたと言います。
視線の先にあるのは、100年後。
「そこにはもちろん、父親も自分もいないけれど。
そのゴールから逆算して、今、何をやればいいのか。
今日やるべきことがわかるんです。」

 ビューティーの仕事を、地域の子どもたち・若者が
「働きたい職業No.1」にあげていること。
地方創生のビジネスモデルをつくり、世界から注目されていること。

 100年後の夢の実現に向けて、
坂之上さん、そしてビームズグループの挑戦は続きます。

「お互いが尊重し合い、ぶつかりながらも譲り合い、二人三脚で前に進むことが理想。どこまで行っても親は超えられませんから。」と坂之上さん(写真右がお父さま)

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