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「バーバー」人気の理由

今「バーバー」が人気の理由

近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。

The Premium BarBer Dampfer(京都府京都市)

リピート率8割超を叶えた、究極ターゲティング。
京都の人気バーバーの戦略とは?

まるでバーのような外観。新技術も次々と導入される多彩なコース。丁寧なカウンセリングと、それぞれの状態に合わせたスタイリング。独自の路線を貫き、明確な個性を放つこのバーバーには、わざわざ高速道路に乗って遠方から訪れるお客さまが後を絶ちません。
仕事の傍らセミナーの壇上にも立つオーナー・岡部裕さん。そんな岡部さんにコンセプトや集客の秘訣について伺いました。

恩人との出会いで人生が一変。そして自らの店のオープンに至る。

考え方を一変させた、ひとりの理容師との出会い。

オーナー・岡部裕さんは、江戸時代から続く老舗理容室の5代目。しかしかつては、家業でもある理容業界を「もっさい(ダサい)ものだと思っていました」と振り返る。転機が訪れたのは2013年。偶然訪れたセミナーで、バーバー「JUNES」の代表・BOWEさんと出会ったのだ。「この業界にこんなキラキラした人がいるなんて。もっさいのは業界ではなく、物の本質を知ろうとしない自分の方だと気づきました」。まさにその日を境に、岡部さんの考え方は一変。今まで趣味に没頭していた休日をセミナー受講に費やし、さらに情報を聞くだけでなく必ず実践して自らの力とした。その甲斐あって2017年春には、ずっと構想を温めていた「The Premium BarBer Dampfer」をオープンするに至った。

  • 理容師が「カッコイイ」と伝えるためには、自らがスタイリッシュでいることも大切。店だけでなく、自身のスタイルも日々磨き続ける

  • 今でも心の支えとなるのは、開店直前に亡くなられた父。師でもある父親が愛用したハサミは額装され、岡部さんの仕事を見守っている

自分自身の「楽しさ」が店内環境に良い影響を及ぼす。

メイン客層は30代、来店頻度は4週間に1回を推奨。カット&シェーブ5400円とやや高めの価格設定ではあるが、リピート率は驚異の8割に上る。次回予約も多く、半年先まで取っているお客さまもいるほどだ。人気の理由はスタイリッシュなインテリアや豊富なメニュー、高い技術水準やスタイリングのセンスもあるだろう。しかし岡部さん本人は、より内面的な理由を感じている。それは「僕が仕事を楽しんでいることが大きいかもしれません。今はバリカンを握るのが楽しくて仕方ない。それが伝わっているのでしょうか」ということ。自らの心持ちが良い環境作りに影響を及ぼしているというのだ。そしてそんな理容室の在り方を伝えるべく、現在は自らも頻繁にセミナーの壇上に立ち、その技と信念を伝えている。

  • 岡部さんの姿勢が、店に不思議なあたたかみを加える。若手スタッフも、その姿に学ぶところが多いという

  • 仕事の合間を縫って日本全国を飛び回り、セミナーで講演。「自身がそうであったように、この講演が誰かの変化になれば」と岡部さん

まず明確にしたのはターゲットとコンセプト、そして経営方針。

想定ターゲットは“自分自身”。それが揺るがぬコンセプトの「芯」となる。

コンセプトは「世間の荒波に揉まれた男性がほっと一息くつろげるバーのようなバーバー」。蒸気船を意味する店名「Dampfer」のように、社会に揉まれた男たちが安らげる場を目指す。そして開店に当たり想定したターゲットは“岡部さん自身”だった。インテリアは完全に自らの趣味。「酒好きだから」という理由でバーカウンターも設えた。あえて自分自身の趣向を見つめ直してみることで、状況や顧客層が変わっても揺らぐことのない「芯」を見出したのだ。バーを思わせる店構えも同様に自身の好みの反映。だが街に溶け込むことのないこの個性的な外観は多くの人の目に留まり、新規集客にもつながっているという。

  • 窓はあるものの外からカットスペースは見えず、一見バーのような店構え。あえて入店のハードルを上げ、興味をひくことが狙い

  • バーカウンターでは施術後にソフトドリンクをサービス。ここでの会話を通して、店販品が購入されることもあるという

確かな価値が満足につながり、売上にも反映されていく。

店舗設計では個室の設置は外せないこだわりだったという。個室利用料金がかかることから最初は不安もあったが、現在は予約が取れないほどの人気ぶり。その理由を岡部さんは「男性が重視するのは金額の多い少ないではなく、そこに価値を見出だせるかどうか。まさに必要な方にご納得いただけたのでしょう」と分析する。専用BGMが流れ、照明も落とされた個室は、お客さまがリラックスできるサードプレイスとして、価値を確立しているのだ。店販品についても同様で「自分たちが売りたい物を売るのではなく、お客さまに必要なものをおすすめする」という。長期的な満足度を重視することで徐々に信頼関係が生まれ、売上にもつながるのだ。

  • 個室は照明を抑えて落ち着いた雰囲気に。まずはヘッドスパをきっかけに、個室を継続利用する常連も多い

  • 店販品の一番人気はシャンプー。カウンセリングで頭皮の状態を明確に伝えることで、ニーズを掘り起こせる

カットとシェービングで90分。重視するのは回転率よりも顧客満足度。

まずは時間をかけたカウンセリングからスタート。

カットとシェービングで90分。時間に余裕を持たせるのも、店のこだわりのひとつだ。入店するとまずはソファに座り、マイクロスコープ診断とカウンセリング。自らの頭皮や髪の状態を知った上で、スタイリングの話となる。たとえばお客さまの希望のスタイルがあろうと、それが髪の状態と合致しないものなら別の選択肢を提示する。何も店のエゴを押し通しているわけではない。「髪の状態に合わせた、もっとも自然なスタイル。つまり髪自体がどうなりたいかを形にすること。それがスタイリングの基本です」。頭皮の状態、シャンプーの仕方、スタイリングの方針、日常のセット方法…すべて丁寧に説明している。当然お客さまの満足度は高まり、リピート率の上昇につながる。

  • まずはソファに座ってマイクロスコープで頭皮診断。ここから状態に合わせたカウンセリングをして行く

  • 髪の長さに応じて使い分ける多数のバリカン、石鹸ではなくクリームで剃るシェービングなど、各所に細やかな気遣いが潜む

メニュー説明はポップに頼らず、すべて口頭。説得力ある言葉が心を動かす。

シンプルなカット&シェーブから炭酸シャンプー、フェイシャルエステまでさまざまなコースがあるが、店内にはポップを貼らず説明はすべて対話。コミュニケーションを通してお客さまの情報を収集し、状態に合ったコースを提案する。1回5400円の育毛コースの利用も多いという。実は、お客さまに提示する育毛施術例のモデル写真は、岡部さん自身。自ら体験し、その効果を実感しているからこそ、メニュー説明も説得力を持つのだ。

  • 育毛コースは週1回の来店を推奨。それに見合う価値を感じるからこそ、多くのお客さまがこのコースを希望する

  • カットやシェービングのほか、育毛、エステ、ヘッドスパなど。絶え間ない勉強を通し、新技術も次々に導入

オーナーインタビュー

岡部裕さん。老舗理容室の跡継ぎとして生まれるも、かつては家業に愛着が持てず悩んだことも。しかし恩人との出会いで心機一転、現在は「The Premium BarBer Dampfer」のオーナーとして働く傍ら、セミナーで講演し後進の育成にも励む

Q.日頃の接客で意識していることは?

A.お客さまの希望を100%聞き入れるのではなく、プロとしての意見は明確に伝えます。

似合う、似合わないだけではなく、来店頻度や日頃のケア、ご本人からは言い出しにくい育毛の話など…理容師としての意見は、はっきりとお伝えしています。むしろ新規のお客さまとは世間話はなく、頭皮や技術の話ばかり。もちろん丁寧に説明し、ご納得していただくことが前提ではありますが、イニシアチブが店側にあるように意識しています。それがやがて信頼関係につながっていくと思います。

Q.理想とする理容業界の未来は?

A.理容師が今よりももっと「カッコイイ仕事」になることです。

理容業界が、子供が憧れる仕事になって欲しい。それが常々考えていることです。そのためには、今よりももっとスタイリッシュなバーバーが増える必要がありますし、若い世代の理容師もさらに増えなくてはなりません。その土台作りが、現役理容師の務め。個人の技術向上やセミナーでの講演など、日々できることから少しずつでも進めていきたいと思っています。

Salon Data

The Premium BarBer Dampfer

アクセス
JR六地蔵駅より徒歩10分
創業年
2016年
店舗数
2店舗
設備
セット面3席
スタッフ数
4名
URL
https://beauty.hotpepper.jp/slnH000350789/

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