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「バーバー」人気の理由

今「バーバー」が人気の理由

近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。

GOLD SCISSORS(愛知県名古屋市)

連日朝から予約でぎっしり。
男性客の心を掴んだ名古屋のバーバーとは?

ヨーロッパのクラシカルなバーバーを彷彿とさせる空間は、まさに大人の男がくつろげる場所。名古屋で2012年に開業、予約困難な店として知られる「GOLD SCISSORS」は、姉妹店を出すほど順調に業績を伸ばしています。何が名古屋の男性の心を掴んだのか、これからどのような展開を目指すのか、代表の鈴木新さんに話を伺いました。

天然木材の上質な空間で、本物へのこだわりを表現。

街の中心かつホテル内というステータスがある立地。

「GOLD SCISSORS」があるのは、名古屋の中心部・栄。繁華街であることに加え、シティホテルの中というステータスを感じさせる好立地だ。天然木の上質な風合いを生かした外観は、どこか高級アパレルショップのよう。入口のサインポールがバーバーであることを教えてくれるものの、昔ながらの理容室とは異なる洗練された雰囲気に満ちている。よく店の前を通り過ぎる人は、ガラス窓から覗ける店内に客が絶えないことを知っているはずだ。オープンして5年目の現在、バーバーチェア2つの店でふたりのスタイリストが連日フル稼働。帰る時に次の予約を入れる常連が多く、1カ月先までスケジュールがぎっしり埋まることも珍しくない人気店だ。

改装に資金を注ぎ込み、男性好みの空間に。

代表の鈴木新さんは、名古屋の老舗理容室での修業を経て「GOLD SCISSORS」を開業。カリスマ美容師ブームを知る世代だが、自分が仕事を始めてからは「理容師の方がかっこいいと思った」という。それでも、修業時代は男性客が美容室へ流れていくのを肌で感じていた。常に考えたのは、「どうすればそんなお客さまが理容室に振り向いてくれるのか」ということ。そして独立する際、最も力を注いだのは空間デザインだった。「あの場所で髪を切りたい。まずはそう思ってもらえなければ。だから、外観と内装は徹底的に作り込んだのです」。イメージしたのは、ヨーロッパ調のオーセンティックな雰囲気。“本物”へのこだわりを感じてもらうため、壁や棚は廉価な化粧材に頼らず天然木でオーダーした。そのため、店は6坪という小さなスペースながら工事費がかなりかさむことに。「施工会社の人には今でも坪単価トップの仕事だと言われます」と鈴木さんは笑う。

  • 木の重厚感ある外観は、ホテル内で隣接する他のショップと比べても存在感抜群。思わず目が惹きつけられてしまう

  • エントランスのドアの中央にはカミソリをモチーフにした木のオブジェが。店名入りのオリジナルだ

  • ハサミは刃物の本場・岐阜県関市のメーカー製を使用するが「ブランドにこだわるより腕を磨くことのほうが大事」と鈴木さん

  • 白地がベースのユニフォームは、古き良き時代のアメリカでバーバースタッフが着ていたデザインを復刻したもの

すべてはバーバー文化復権のために。

理容室らしくカットとシェービングで勝負。

ターゲットは20~30代を中心とした働く男性を想定。「仕事から離れたひととき、落ち着いて過ごせる場所を提供したかった」と鈴木さん。天然木を使い、穏やかなブラウンで統一した空間は、ハイセンスなバーバーとして徐々に地元の男性に知られていく。軌道に乗ったのはオープンして1年を過ぎた頃から。以来、安定した経営が続く。メニューの核となるのはカットとシェービングで、近年流行中のフェードカットにも積極的に対応する。意外なのはカラーとパーマの利用者が少なく、全体の1割程度であること。でも、「それでいい」と鈴木さんはいう。「カットとシェービングは理容室の本分といえるもの。だから、何よりも大切にしたい。美容室が得意なカラーやパーマに力を入れるより、理容室らしい技術で勝負したいんです」。

目指すのは“バーバー=かっこいい”という意識の定着。

ひとりでスタートした店はやがて従業員を雇えるようになり、2017年12月には初の姉妹店もオープンした。場所は名古屋市内に店を構えるセレクトショップ「Road」の中。その名にあやかり、店名は「Golden Road Cut Club」とした。変えたのは名前だけではない。男性専用の「GOLD SCISSORS」に対し、こちらは女性もOK。ファッションとバーバーのコラボによる相乗効果を狙う。「バーバーは接着剤になれる」というのが鈴木さんの考え方。「ファッションはもちろん、バーなど飲食系との親和性も高い。2つの業態を組み合わせることで、人と人を繋ぐコンテンツになりうるんです」。新たなスタイルを模索するのも、すべてはバーバー文化復権のため。「バーバーに通うのはおしゃれなこと。誰もがそう思える世の中にしたい。それが習慣となれば、生活サイクルに組み込まれていく。そのためには小規模で魅力的な店をいろいろな場所に展開するのが理想ですね」。名古屋に新しいバーバーの潮流を作るべく、鈴木さんの挑戦は続く。

  • 店の入口にある看板と、タワー型の木製サインポール。クラフト感溢れる装飾の一つひとつが、男性の本物志向を刺激する

  • バーバーを題材にした絵画はアメリカのタトゥーアーティストが描いたもの。木のぬくもりがある店内にしっくりと馴染んでいる

  • 壁のフックにはウォール社製のバリカンがずらり。ミリ単位で側頭部を刈るフェードカットも鈴木さんが得意とするところ

  • カットクロスは中村商店製で店名を入れたオリジナル。「お客さまをかっこよく見せてくれるのがいい」と鈴木さん

代表インタビュー

代表・鈴木新さん。愛知県出身。高校卒業後、当時名古屋市内で数店を展開していた理美容店に就職。理容師として約13年を過ごし、店長を任されることで経営的な経験も積む。2012年、満を持して「GOLD SCISSORS」をオープン

Q.経営が軌道に乗るまで、どのような苦労がありましたか?

A.最初の半年は売上が見込めない状況でした。

開業当初、主な宣伝手段はホームページとSNS、チラシの配布でした。セールスポイントは、男性のためのスタイリッシュなバーバー。だから店周辺のアパレルや飲食店などおしゃれに敏感な人がいそうな場所に足を運び、直接魅力を伝えるよう心がけました。店は地域に根づいてなんぼ、という考えも根底にあります。そんなことを繰り返すうちに、少しずついい流れが出てきましたね。面白かったのは、初来店客のほとんどがホームページを見ていたこと。当時はホームページがあるバーバーは珍しかったようで、行ってみようかなと思わせる効果があったのだと思います。

Q.社員教育で大切にしていることは?

A.最終的に自立心を育むことでしょうか。

まず、理容師は1にも2にも技術ありきだと考えます。クオリティを追求しない限り、お客さまに「また来たい」とは思ってもらえません。それから「お客さまをしっかり見て」という話はします。例えば顔についた毛を丁寧に払ったり、タオルを優しく巻いたり。当たり前のようですが、一つひとつの積み重ねを大事にすることで信頼関係が結ばれていくものです。基本が身についた後は、自立心を育むために自分の店のつもりで働いてもらう。それが責任感につながり、成長する早道だと思います。

Salon Data

GOLD SCISSORS 【ゴールドシザーズ】

アクセス
地下鉄栄駅より徒歩7分
創業年
2012年
店舗数
2店舗
設備
セット面2席
スタッフ数
2名
URL
http://goldscissors.jp

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