“完全個室のプライベート空間で、究極睡眠に導くヘッドスパ”をコンセプトに、東京都内に4店舗を展開する「head CONCIERGE(ヘッド コンシェルジュ)」。スタンダードコース(90分)で1万6280円と高価格帯でありながら、独自の手技に“気持ちよくて眠ってしまう”とリピーターが絶えない人気サロン。「どのスタッフにあたっても大丈夫」と言い切れる技術レベルの統一は、なぜ可能なのか?
オーナー/滝村 晃平さん
IT系企業4年、インテリア会社に4年従事。仕事を通じてマーケティング・組織運営を学ぶなかで「モノが売れない時代になってきたので、体験・サービスに価値を見出したい」と思うように。そんな折、ある美容室で出会ったヘッドスパに「これはいける!」と衝撃を受け、ビジネスとしてやっていくことを決意。2019年3月に「ヘッドコンシェルジュ株式会社」を創業。現在、東京の青山・銀座・新宿・二子玉川に4店舗、2022年5月には池袋に出店と、快進撃を続けている。
指名制ではないからこそ、技術レベルの統一を!
ー最近ヘッドスパ専門サロンが増えていますが、「head CONCIERGE」の特長を教えてください。
施術スタッフは全員、美容師の資格を持つスペシャリスト。髪をシャンプーして行う「ウェットヘッドスパ」を、完全個室で提供しています。お好みのアロマでリラックス効果を高めながら、深層筋アプローチと呼ばれる頭のツボ押しをすることで自律神経が整い、副交感神経を優位にします。その気持ちよさから、お客さまの8~9割くらいは、眠ってしまいます。
ーホットペッパービューティーの口コミを拝見しましたが、技術に関して絶賛のコメントが多いですね!「どのスタッフにあたっても、ハズレがない」という声もチラホラ…。
うちは指名制ではないからこそ、高いレベルでの「技術統一」を意識しています。デビュー間もないスタッフと、自社の技術講師を務めるスタッフとの間に差がない、と言えるくらいに。
まず、入社すると「計55時間の教育プログラム」を受けてもらいます。これは、ヘッドスパのプロフェッショナルである社員と、ゼロから作りあげたもの。技術だけではなく接客マナー、睡眠メカニズム理論の講習もあります。
ーその講習を受けたらデビュー、ということでしょうか?
最終チェックで合格したらデビューとなりますが、合格レベルに達しない場合は講師が個別にレクチャーします。講師からは「細かい技術的な部分」、僕は美容師の資格は持っていないので「お客さま視点」でのフィードバックをします。
上達してくると、受けている側が“境地”に達する瞬間があるんです。「指で施術してもらっているのに、指ではない何かに触られている新体感」というか…、うちではそれを「指武装(ゆびぶそう)」と呼んでいます。それができると、より「寝落ちする感覚」「頭のツボを通して全身に染みわたる感覚」が得られることが多いですね。
また、スタッフ同士でモデルになり何回も練習しているうちに、徐々に「頭の凝り方」がわかるように。それぞれのタイプに対して「どのようなアプローチをするのが効果的か?」というのを、みんなで共有し、さらなる技術向上を目指しています。

「head CONCIERGE」創業メンバーであり自社の技術講師も務める、稲穂さん。以前、美容室に勤務していた頃から「シャンプー・ヘッドスパが大好きだった」という
ー口コミに『いつも行っている新宿店で予約がとれず、初めて青山本店を利用しました。顧客情報がきちんと共有されているようで、何の問題もなく対応してもらえました』といった内容の声がありました。これは、“ブランド”にファンがついている証拠ですね。
スタッフ個人ではなく、「head CONCIERGEというお店にファンがつく」ことを意識しています。ホットペッパービューティーにマイナスの口コミが入った時も、そのお客さまを担当した“個人”を突きとめるのではなく、あくまでも“店舗として”、今後どうするかを全店で共有し、改善につなげます。
ただ、集団として強くなるためには、個々の力がすごくないとダメ。一人ひとりが影響力を持てるようになって欲しいので、仕事でもいろんな経験をしてもらいたいなと…。ホットペッパービューティーのブログ更新などは「向いていそうだな」と思うスタッフに任せますし、自ら希望して、InstagramやYouTubeで発信している子もいます。撮影や動画編集は、何も教えなくても、みんな僕より断然上手(笑)。
ヘッドスパニストではなく、“コンシェルジュ”でありたい
ーメニューは、60分:1万780円~、スタンダードの90分:1万6280円~と、ヘッドスパとしては高めの金額設定ですよね。
東京都内だとエリアにもよりますが「ドライヘッドスパで、60分7,500円」くらいが相場でしょうか?現在、うちの平均客単価は1万4000円~1万5000円なので、約2倍。ドライヘッドスパに比べてシャンプーがついているから?うちの技術が優れているから?…きっと、それだけではなく「ホスピタリティ」の部分も、支持してもらえているのでは。
スタッフには、ヘッドスパニストというより、店名にもなっている「コンシェルジュ」であって欲しい、と伝えています。目指すは、「ザ・リッツ・カールトン」のような一流ホテル。技術はもちろん、接客面でもハイクオリティでありたい。競合が「一流ホテル」と考えると、そこに勝つためには「完全個室」「1対1での丁寧な接客」が必要です。
スタッフみんなのがんばりもあって、口コミでも『スタッフさんと話をしたら、体だけでなく心の疲れもとれた』『やさしい話し方に癒された』『どのスタッフさんもすごく技術が高く、愛嬌もあって、来るのが楽しみのひとつ』など、うれしい声をたくさんもらっています。
ーリピート率は、どのくらいですか?
いずれの店舗も、約8割のお客さまがリピーターです。一度体験して良さを実感してもらうと、定期的に通ってくださいますね。20代・30代の方もいますが、単価が安くはないこともあってか、リピートするのは30代後半~50代の方が多いです。

完全個室にくわえて、「選べるアロマの香り」「施術後のハーブティー」など、リラックスできる要素が随所にある
他人を思いやることができる「人事評価」とは?
ー先ほど「指名制ではない」とのことでしたが、その理由は?
1店舗目を立ち上げた時から「将来的には多店舗展開=全国30店舗」を宣言して、すべてを設計しました。指名制だと、シフト調整の面でも効率的ではありませんよね?美容師としての勤務経験があるスタッフほど「残業が一切なく、休みがしっかりとれる」という今の環境に、魅力を感じてくれます。
子どもが熱を出して、ママさんスタッフが急に休むことになっても、他のみんなでフォローする体制ができています。スタッフは、基本的に1店舗のみに勤務するのではなく、近隣店舗を掛け持ちしてもらうスタイルであることも、柔軟に対応できる秘訣ですね。
また、指名がないので「個人売上」はみていません。うちの人事評価は、「取り組む姿勢などをみる自己評価・他者評価」や「店舗全体の売上」。空いている時間、ボーっとしていたら評価されないので、自主的にものごとを捉え、行動してくれます。店舗売上を伸ばすために「みんなで技術をもっと磨こう」と切磋琢磨したり、「他人を思いやり、チームとして働く文化」が根付いていますね。
―今後の目標を教えてください。
1店舗目のオープンから、3年が経ちました。東京都内の一部では、「head CONCIERGE」というブランドの認知が広まり、ファンがついてくれたと思います。今後はさらに、全国に広げていきたい。いつか、“ヘッドコンシェルジュ”という仕事が、憧れの職業になることが目標です。
ヘッドスパの技術・知識はもちろん、美容・健康・睡眠のプロフェッショナルであり続けられるように。そのためには、スタッフ自身も健康でないといけません。しっかりした休暇制度や体をケアするサポート、定期健診+婦人科健診も導入し、長く働ける環境を整えています。
そして、一人でも多くのお客さまに、唯一無二の”最高の癒し”を届けることができたら、うれしいですね。
SALON DATA
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head CONCIERGE 青山本店【ヘッドコンシェルジュ】
- アクセス
- 東京メトロ千代田線・半蔵門線・銀座線「表参道駅」より徒歩3分
- 創業年
- 2019年
- 店舗数
- 4店舗
- 設備
- ベッド4
- スタッフ数
- 40名(一部スタッフは店舗を掛け持ちするため、系列4店舗での合計人数)