Z世代のスタッフがサロンを辞める本当の理由は?業種別にみるホンネ

「新しく入ったZ世代のスタッフが、なかなか定着しない…」 「昔と比べて、若手が辞める理由が掴みにくくなった」

こうしたお悩みはありませんか? 今回はホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査2025年」をもとに、Z世代の美容サロンスタッフが「なぜ」辞めてしまうのか、その”本当の理由”と、離職を防ぐためにサロンができることを深掘りします。

※Z世代は一般的に1990年代後半から2010年代初頭に生まれた世代と言われています。今回は20代以下のデータを「Z世代」のデータとして解説します。

(ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子)

美容学生は増加傾向。しかし若手の早期離職は大きな課題

ホットペッパービューティーアカデミー「数字で見る美容」

まず、美容業界への「入口」のデータを見てみましょう。美容専門学校の生徒数は、2020年の3.46万人から2024年には3.83万人と、微増傾向にあります。理容学校の生徒数も同様です。業界への「新しいなり手」自体は、確保できている状況と言えます。

※美容師免許保有者かつ学校卒業後の初職が美容師の人が回答(n=4,806)

ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査2025」

しかし、問題は「定着率」です。 美容師免許保有者かつ学校卒業後の初職が美容師だった人に絞って「初職の就業期間」を聞いたところ、2025年調査では「1年未満」が11.6%、「1年以上3年未満」が27.2%。 合計すると、38.8%が「3年未満」で最初のサロンを離職している計算になります。約4割が3年以内に辞めてしまう、これが美容業界の大きな課題です。

Z世代が辞める理由は「給与」より「プライベートとの両立」

※20代の美容サロンスタッフ(n=174)・複数回答
ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査2025」

では、なぜZ世代のスタッフたちは辞めてしまうのでしょうか? まず、サロンで働く「20代以下」の退職理由を見てみます。

1位は「勤務先のサロンでは仕事とプライベートの両立が難しいと感じたから」(33.3%)、 2位は「サロンの雰囲気やテイストが合わなかったから」(32.8%) となりました。

Z世代のスタッフは、「プライベート時間の確保」と「自分らしさ(価値観)とのフィット感」を非常に重視する傾向にあります。

※全年代の美容サロンスタッフ(n=1,283)・複数回答
ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査2025」

全年代の平均データと比較すると興味深い結果が見えてきます。全年代では「給与に関して不満があったから」(21.0%)が2位、「結婚・妊娠・出産のため」(15.9%)が5位にランクインしています。

しかし、20代以下では「給与に関して不満があったから」は4位(23.6%)に留まり、さらに「結婚・妊娠・出産のため」はトップ5圏外(12位)です。(「結婚・妊娠・出産のため」は、女性のデータのみ取り出しても、20代の退職理由の12位です)Z世代は、全年代で見られるような「給与」や「ライフステージの変化(結婚・出産)」といった理由よりも、「このサロンは自分に合っているか?」「ここで、自分らしい生活が送れるか?」という点をシビアに見ていると言えるでしょう。

※美容サロンスタッフ(それぞれの職業を辞めた理由)・複数回答
ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査2025」

※美容サロンスタッフ(それぞれの職業を辞めた理由)・複数回答
ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査2025」

年代別に退職理由を比較しても、「結婚・妊娠・出産のため」は20代以下がどの年代よりも最も低く、逆に「勤務先のサロンでは仕事とプライベートの両立が難しかったから」「サロンの雰囲気やテイストが合わなかったから」は20代以下が最も高くなっています。