【後編】美容診断の資格は必要?サロンワークでどう活かす?

美容診断に関する調査の後編です。診断にはさまざまなものがありますが、適切に行うには特定の団体が認定する資格を取得する必要があるものもあります。受けるべきか、検討しているサロンスタッフの方もいるかもしれません。

後編では、サロンにおける現在の各種資格の取得状況や、それにかける期待について調査し、サロン運営のヒントを考えます。

(ホットペッパービューティーアカデミー研究員 江頭茉里)

美容診断の資格取得率は10%以下

出典:美容診断に関する調査【サロンスタッフ】(ホットペッパービューティーアカデミー)

前編でも解説したように、美容診断とは、肌の色や骨格、顔立ちなどの生まれ持った個性を客観的に分析し、自分に似合う色やスタイルを診断するサービスです。

この記事では特に、パーソナルカラー診断、骨格診断、顔タイプ診断、メイクアップ診断の4つを中心に見ていきます。

美容サロンのスタッフにおけるこれらの資格の認知度は非常に高く、70%を超えることがわかっています。

診断ごとの詳細については、前編をご参照ください。

認知度は非常に高い一方、実際に「資格を取得している」と答えた人の割合は、どの診断でも10%以下に留まるという結果になりました。

この背景には、資格取得には学習する時間もコストもかかることがあげられます。また、現状でも十分に対応できていることから、必要性を強く感じていなかったり、他の業務の優先度の方が高かったり、といった理由も考えられるでしょう。

今後、ニーズや環境の変化に応じて資格取得を検討するケースも増えていくかもしれません。

美容サロンに関連して、いわゆる美容診断に含まれるものや検定などはこの4つ以外にもたくさんあります。何らかの診断資格の認知や取得状況についての自由回答では、「カラーコーディネーター」や「ヘアケアマイスター」、「アロマテラピー」「着付け」などさまざまな資格や知識の名前があがりました。また、特定のヘアケアブランドの製品を扱う資格に対する言及も見られました。

どの程度の人が実際に保有しているかは明確ではないものの、幅広い知識に対して関心を持っていることがうかがえます。

美容診断ができると、どんなメリットがある?

出典:美容診断に関する調査【サロンスタッフ】(ホットペッパービューティーアカデミー)

次に、美容診断ができることによって実際に何らかの効果を実感したことがあるか、資格を取得したらどんな効果が期待できそうか、について尋ねました。

実感と期待にランクインしたものは大きくは変わらず、美容診断というものを比較的現実的にとらえている傾向がわかります。

また効果の具体的な内容のトップ3は「お客さまのタイプに応じた施術ができる」「お客さまのタイプに応じたアドバイスができる」「お客さまのとのコミュニケーションが円滑になる」といった、お客さまとのコミュニケーションや関係性に関わる回答が多く見られました。

この傾向から、診断スキルを得ることで「技術力そのものが上がる」というよりは、お客さま理解を深めたり提案に説得力を持たせたりする「信頼構築のきっかけができる」ことを期待されている側面が強いことがうかがえます。

サロンにとっては、新しいお客さまを呼び込むだけでなく、既存のお客さまとの関係性を深め、満足度を高める手段の1つとして診断を活用する価値がありそうです。