まだ続く「運動不足」
コロナ禍後の運動事情はどうなった?

新型コロナウイルスの流行をきっかけに、私たちの生活はさまざまな面で変わりました。

中でも、外出の制限による運動習慣や健康意識への影響は大きく、運動不足に陥りがちな方も多かったのではないでしょうか。新型コロナウイルスが5類に移行されてから2年以上が過ぎましたが、私たちの生活にさらなる変化はあったのでしょうか。

今回は、運動に関する意識について調査しました。

(ホットペッパービューティーアカデミー研究員 江頭茉里)

約半数が現在でも「運動不足」を感じている

出典:運動に関する調査(ホットペッパービューティーアカデミー)

この調査ではまず、「新型コロナウイルス蔓延時に運動不足を感じていたか、またそれは現在では解消されているか」を尋ねました。

結果としては、約半数の方が「コロナ禍の時に運動不足を感じており、現在も感じている(グラフ内「ずっと感じている」と表記)」と答えました。運動不足は一時的な問題ではなく、多くの人にとって「慢性的な課題」だと考えられていることがわかります。コロナ禍における生活制限の影響は依然として大きく、その後に生活をもう一度変化させたり、運動を習慣化し直したりすることの難しさが垣間見えます。

出典:運動に関する調査(ホットペッパービューティーアカデミー)

年代別で特に大きな差が出たのは「コロナ禍の時に運動不足を感じていたが、現在は感じていない(グラフ内「当時だけ感じていた」と表記)」と回答した人の割合です。

10代では30.4%がこの傾向を示しており、生活や習慣がコロナ禍以前のような形に戻る中で運動不足を自然に解消した様子がうかがえます。一方、年代が上がるとこの割合は低くなる傾向にあり、30代は12.4%、40代では13.6%と、年齢による適応の差が見られました。

若年層では、通勤・通学などの外的な要因や個人的な外出を含め、新しい生活スタイルへの再適応が早かったと考えられます。また、具体的に運動を行わなくても、日常生活の中での活動量が増えたことで、運動不足が解消されたと感じやすい傾向にあるのかもしれません。

一方で、年齢が上がるにつれて健康維持や体力管理に対する意識が高まり、より積極的に運動する習慣をつけたい一方、実際には取り組めていないことから、「運動不足が続いている」と感じる方が多かった可能性があります。

身近で手軽に取り組みやすい運動から再開の兆し?

出典:運動に関する調査(ホットペッパービューティーアカデミー)

2023年5月より新型コロナは5類に移行し、行動制限などが大幅に緩和されました。これを機に始めた運動について聞きました。

最も多かったのが「自宅でトレーニングやストレッチなどをする(グラフ内「自宅でトレーニング」と表記)」で、2割ほどの人が開始しています。

その他、「活動量計・歩数計(器具・アプリ)を利用する(グラフ内「活動量計・歩数計」と表記)」が13.2%、「家の周りや公園でランニングやウォーキングをする(グラフ内「自宅周辺での運動」と表記)」が14.0%と、身近な環境でできる運動を選んでいる人が多いことがわかります。

5類に移行したとはいえ、以前とまったく変わらない生活に戻ることには不安を感じていたり、外出を面倒に感じるようになったりした方もいるでしょう。そんな背景から「まずは家やその周辺でできる運動から始めよう」と、手軽に運動を再開・習慣化したい気持ちがあるのかもしれません。

出典:運動に関する調査(ホットペッパービューティーアカデミー)

「自宅でトレーニングやストレッチなどをする」についてより詳しく見てみると、特に10代での人気が顕著(27.2%)であることがわかります。

最近では、SNSや動画配信サイトなどで情報を得やすくなり、デジタルに親和性の高い世代ほど、自宅で手軽に運動を始められるのかもしれません。