【あん摩・鍼灸・接骨】市場は減少も、男性需要が好調のワケ。若年層・女性を取り込むカギは?

2025年のあん摩・鍼灸・接骨市場(あはき柔整市場)は前年から減少したものの、男性利用者の増加やネット予約の浸透など、前向きな動きも見え始めています。

あはき柔整市場の変化をどう読み解き、サロン経営にどう活かすか。ホットペッパービューティーアカデミーの「鍼灸・接骨院に関する利用動向調査2025」(2025年7月)をもとに、これからの可能性を探ります。

(ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子)

市場全体は前年から減少も、男性は2年連続で成長

※保険適用なし

※15~69歳男女、出典:鍼灸・接骨院に関する利用実態調査2025(ホットペッパービューティーアカデミー)

2025年の「保険適用なし」市場規模は3947億円となり、前年比で8.4%減少しました。この背景には、特に女性市場の減少(前年比 -21.0%)が大きく影響しています。しかし一方で男性市場は前年比+4.5%と2年連続で伸長しており、男女での動きに大きな違いが見られました。

男性市場が伸びるワケ。健康・美容意識の高まりと「入りやすさ」がカギ

男性市場が拡大している背景には、健康・美容意識の向上があります。コロナ禍以降、在宅勤務の定着やスマホ利用時間の増加にともない、肩こり・腰痛などの身体的ストレスが顕在化し、施術ニーズを刺激していると考えられます。

※1年以内の施術利用者・複数回答、出典:鍼灸・接骨院に関する利用実態調査2025(ホットペッパービューティーアカデミー)

実際、2025年調査における男性の利用目的を見ると、1位は「頭痛・肩や首の痛み、腰痛などの解消(34.1%)」ですが、それに続いて「体のメンテナンス」が34.0%で前年より1.5ポイント増加しており、日常的なケアの意識が高まっていることがわかります。

※1年以内の施術利用者・複数回答、出典:鍼灸・接骨院に関する利用実態調査2025(ホットペッパービューティーアカデミー)

また、利用理由の中では「費用対効果が良い」が前年比+2.7ポイント(24.3%)と伸びており、“価格に見合った体感価値”を求めている傾向も見受けられます。

また「接骨院・整骨院」は美容サロン等に比べると、男性が入りやすい雰囲気がある点も、初回利用のハードルを下げる要因になっていると考えます。「不調があれば行きたい」と感じられる場であることが、男性層の受け入れやすさにつながっているのかもしれません。

こうした傾向から、男性市場は今後も「入りやすさ × 継続しやすさ」を軸に広がる可能性があります。「通いやすい価格設計」「予約のしやすさ」「効果の実感」の3点を意識した打ち出しが、定着につながるヒントとなりそうです。