研修制度が採用の差別化に?今こそ整えたい「サロンの学び」の環境
最近、復職や転職時に「研修制度がしっかりしているサロンを選びたい」というスタッフの声が増えてきています。
実際、HOT PEPPER Beauty WORKの採用成功事例を集めた連載記事「サロンの採用成功ストーリー」でも、応募の決め手として“学べる環境”を挙げるスタッフが目立つようになったと感じます。
復職・転職を考える人たちの「不安」や「ニーズ」から見えてきたのは、サロンにおける“学びの場”の重要性です。今回はホットペッパービューティーアカデミーの「美容サロン就業実態調査2025年」をもとに、今なぜ研修制度が注目されているのかを考えていきましょう。
(ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子)
目次
復職ニーズはある。でも最大の不安は「ブランク」
復職意向について
※過去、就業経験のある職種について、「この職業に復職したい」または「条件によってはこの職業に復職したい」と答えた人の割合
美容職を一度離れた人の中にも、「もう一度この仕事をしたい」と考えている人は少なくありません。とくに理容師(58.6%)やリラクゼーションセラピスト(54.4%)などの職種では、半数以上が復職に前向きな意向を持っていることが、調査データからも見えてきました。
復職に対する不安
※美容サロンの各職種で、復職意向がある人が回答
一方で、復職を考える人の96.0%が「何らかの不安がある」と回答しています。
復職に対する不安(TOP5)
※美容サロンの各職種で、復職意向がある人が回答
その中でも最も多かったのが、「技術や接客スキルのブランクがあることへの不安」(50.3%)でした。美容サロンにおいては、施術こそが業務の中心であり、いわば“仕事そのもの”。
そのため、ブランク期間があることで「技術に自信が持てない」「接客の感覚が鈍っていないか心配」と感じるのは、ごく自然なことだと言えるでしょう。
求職時に知りたい情報ランキングで「研修制度」が6位に
求人メディアを利用して転職先・就職先の店舗を探す際、どんな情報を知りたいですか?
美容サロン従事者・複数回答
復職や転職を考えるとき、求職者がどんな情報を重視しているのか。就業実態調査によると、求人メディアで「知りたい」と回答された情報のうち、「研修・教育制度」は6位にランクインしています。
上位にランクインしているのは、「店舗の特徴・こだわり」など、サロンの「中身」や「雰囲気」「評判」を重視する傾向がうかがえます。そうした中で、「研修・教育制度」が6位に入っていることは、見逃せない動きです。
なぜなら、「研修制度」は入社前にすぐ見える要素ではなく、“入社後の自分の成長”や“働き続けられる安心感”に関わる情報だからです。
求職者が「このサロンで学べるのか」「ブランクがあっても安心して働けるか」といった点に関心を持っていることが、この結果から読み取れます。
職種別回答「研修・教育制度」を知りたい割合
美容サロン従事者・複数回答
さらに職種別で見ると、エステティシャンやリラクゼーションセラピストでは、全体平均よりも高い割合で「研修・教育制度」を知りたいと回答しており、専門性の高い技術や幅広い施術メニューに対応する上で、学びのサポート体制を重視する傾向がより顕著です。
今はまだ「研修制度の有無」が採用の絶対条件になっているわけではありませんが、これから先、他サロンとの差別化ポイントとして学べる環境があるかどうか”が採用力を左右する時代が来るかもしれません。
いまのうちから整えておくことが、将来の採用活動に効いてくるはずです。