訪問理美容の利用率が3年連続UP!利用者ご家族の47.1%が介護状態の改善を実感
急速な高齢化に伴いニーズが高まる一方、ヘアサロンにおけるサスナテビリティの取り組みとしても注目されている訪問理美容。ホットペッパービューティーアカデミーが1月に発表した「訪問理美容サービスに関する利用実態調査」(調査実施2023年10月)から、コロナ禍で見えた訪問理美容の「変化」と「兆し」について、お伝えします。
(解説:ホットペッパービューティーアカデミー研究員 服部美奈子)
訪問理美容の利用率が3年連続UP!
【全国】訪問理美容の利用率(直近1年以内に利用あり)
出典:「訪問理美容サービスに関する利用実態調査」、全国、要支援・要介護の方と同居されているご家族
訪問理美容の利用率は3年連続でUP。在宅で介護を受けている方の28.0%が直近1年以内に訪問理美容を利用している状況です。「意外と少ない」と感じる方もいるかもしれませんね。訪問理美容の認知が進んでいないためでしょうか?次のデータを見てみましょう。
【全国】訪問理美容の認知率・利用率・満足度
出典:「訪問理美容サービスに関する利用実態調査」、全国、要支援・要介護の方と同居されているご家族
訪問理美容の認知率は84.9%と、非常に高い状態です。認知していても利用していない方がまだまだ多いことが課題といえます。一方で、訪問理美容を利用している方のうち、満足している方は89.4%。満足度が高いので、一度利用すればリピートしてくださる可能性が高いといえますね。
訪問理美容が介護度の改善につながる?
訪問理美容を利用して、要支援/要介護度の改善につながったと思いますか?
出典:「訪問理美容サービスに関する利用実態調査」、全国、要支援・要介護の方と同居されているご家族
訪問理美容の利用者ご家族のうち半数近くの47.1%が、「要支援/要介護度の改善につながった」と思っていることがわかりました。訪問理美容の力の大きさ、影響力の強さが感じられますね。具体的にはどんな「良い変化」があったのが、次のデータで見ていきましょう。
訪問理美容サービスを受けた後の変化
出典:「訪問理美容サービスに関する利用実態調査」、全国、要支援・要介護の方と同居されているご家族
1位が「笑顔になる」49.5%。続いて「鏡を何度も見返す」「活力があふれた様子になる」など、訪問理美容を通じてイキイキとされる様子がうかがえます。心身ともに辛さを感じることもある介護生活の中で、訪問理美容が良い変化をもたらしてくれるというのは、ご家族にとっても嬉しいことなのではないでしょうか。
訪問理美容の利用メニュー、平均料金は?
利用したことのあるメニュー
出典:「訪問理美容サービスに関する利用実態調査」、全国、要支援・要介護の方と同居されているご家族
訪問理美容の各メニュー利用率は、カットが最も高く96.7%。シャンプーが43.5%と続きます。ご自宅の洗面台やお風呂場、移動式シャンプー台などを利用して施術を受けていらっしゃるようです。カラーやパーマ、ネイルやエステなどのプラスメニューはまだまだ伸びしろが大きい状況です。
1回あたりのカット料金(通所型介護施設)
1回あたりのカット料金(在宅)
出典:「訪問理美容サービスに関する利用実態調査」、全国、要支援・要介護の方と同居されているご家族
通所型介護施設(デイサービスなど)のカット平均料金2,079円で、昨年より68円ダウン。在宅(個人宅)のカット平均料金は2,942円で、昨年より173円アップ。介護施設では1度の訪問で数名施術するケースが多く、おひとりあたり15~20分ほどでカット。一方で在宅では1度の訪問で1~2名程度の施術が多く、所要時間が長くなる傾向にあります。その分、介護施設より在宅のほうが料金を高めに設定している事業者が多い状況です。ひと昔前は「訪問理美容はボランティア」というイメージをお持ちの方もいたかもしれませんが、現在は価格帯もサービスも多様化してきています。
訪問理美容を利用したくない理由は?
Q.今後、訪問理美容サービスを利用したいと思いますか?
出典:「訪問理美容サービスに関する利用実態調査」、全国、要支援・要介護の方と同居されているご家族
現在、訪問理美容を利用していない方(非利用者のご家族)のうち、45.2%は「今後利用したい」と回答しています。一方で、「利用したくない」という方は、なぜそう感じているのでしょうか?
Q.訪問理美容サービスを利用したくない理由(対象者のご家族)
出典:「訪問理美容サービスに関する利用実態調査」、全国、要支援・要介護の方と同居されているご家族
1位は「お金がかかる・かかりそう」39.1%。続いて「迎える準備が必要そう・大変そう」37.1%でした。具体的な料金や、必要な準備などを明確に伝えることで、こういったネガティブなイメージを払拭していきたいものですね。
訪問理美容の利用拡大のヒント
先ほどお伝えした通り、訪問理美容サービスの認知率や満足度は高い一方で、まだまだ利用率が低い状況です。また、非利用者が「今後も利用したいと思わない理由」のうち、「お金がかかる・かかりそう」といった金銭的なマイナスイメージがあることもわかりました。そんな中、今後の訪問理美容の利用拡大のヒントとして、次のデータをご紹介します。
「理美容チケット」の認知度
現在、多くの自治体で「理美容チケット」などのような補助制度が導入されています。訪問理美容の利用の際に使える金券のような存在ですが、79.5%もの方がその存在を知らない状況です。こういった補助制度の認知が高まることで、訪問理美容を利用する「はじめの一歩」を踏み出していただけたら嬉しいですよね。また、「訪問理美容が介護度の改善につながっていると感じている方」が多いことも、大いに伝えていきたい魅力です。訪問理美容には、お客さまを笑顔に元気にする力があることがわかっていますから、ぜひ今後さらに広げていきたいものです。