潜在的なニーズ見落としてない?”カウンセリング離れ”に要注意!

近年、美容サロンに対する「時短ニーズ」は高まっています。しかし、お客さまは効率を求める一方で、サロン離脱の大きな理由の一つに「カウンセリングに対する不満」が挙がっています。

時短を意識するあまり、ヒアリングの時間を削減してしまうということはないでしょうか?お客さまの潜在的な悩みを見落とし、結果的に満足度の低下につながることも考えられます。

今回は、「顧客満足調査(MOT)2023」「美容センサス2024年上期」「美容センサス2024年下期<美容意識・購買行動編>」の女性のデータをもとに、カウンセリング離れを防ぎ、リピーターが増えるためのポイントを解説します。

(ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子)

時短ニーズが高まる一方、カウンセリング不足に⁉

ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2024年上期」

近年、お客さまの美容サロンに対する「時短ニーズ」が高まっています。サロンで過ごす時間の「現実と理想」のデータからは、リラクゼーションサロン以外は、サロンで実際にかかった時間が理想の時間を上回っています。お客さまの「本当はもっと短く済ませたい」というニーズがうかがえます。

※女性15~59歳(サロン変更意向者)、TOP3
出典:ホットペッパービューティーアカデミー「顧客満足調査(MOT)2023」

一方で、「サロン離脱」(=そのサロンに通うのをやめること)の大きな要因として「カウンセリング」が挙げられています。

ホットペッパービューティーアカデミーの調査では、ヘアサロンでは「施術」(32.7%)に次いで「カウンセリング」(24.7%)が、離脱の理由の2位にランクインしています。さらに、エステサロン(フェイシャル)においては、なんと「カウンセリング」が1位(27.0%)という結果に。施術や仕上がり以上に、カウンセリングへの不満が離脱の要因となっていることがわかります。

※女性15~59歳(サロン変更意向者)、TOP3
出典:ホットペッパービューティーアカデミー「顧客満足調査(MOT)2023」

また、ネイルサロン、リラクゼーションサロン、アイビューティーサロンにおいても、カウンセリングは3位〜4位にランクインしています。「施術の質」だけでなく、「お客さまに寄り添うコミュニケーション」こそが、継続利用のカギを握っているのではないでしょうか。

特に初回のカウンセリングは、サロンに対する信頼感を築く大切な第一歩。時短ニーズに応えながらも、丁寧なヒアリングを通じて「このサロンは自分のことをわかってくれる」と感じてもらうことが、リピート獲得の重要なポイントになります。

カウンセリング不足が招くサロン離脱の実態とは?

生産性の観点でも、施術や施術以外の時間短縮を進めるサロンが増えていますが、見過ごされがちなのが“カウンセリング不足”による離脱ではないでしょうか。

実は多くのお客さまが、「きちんと話を聞いてもらえなかった」「自分に合った提案がなかった」と感じてサロンを離れていることが、調査からも明らかになっています。

「施術について説明や確認をしてくれない」:初めて施術を受けるときや、高価格帯の施術、専門性の高いケアを受ける場面では、施術内容や効果についての説明がないと、強い不安を感じさせてしまいます。
「話や希望、相談を聞いてくれない」:どれだけ技術が高くても、お客さまの悩みや希望に寄り添う姿勢が感じられなければ、「自分に合っていない」と判断されがちです。
「提案がない」:お客さまは専門家としてのアドバイスや提案を期待しています。カウンセリングでの「こうしたらもっと良くなりますよ」という一言が、信頼関係を築くカギになります。

※データはいずれも、女性15~59歳(サロン変更意向者)、出典:ホットペッパービューティーアカデミー「顧客満足調査(MOT)2023」

このように、「説明がない」「聞いてくれない」「提案がない」という3つの要素は、カウンセリング満足度を大きく左右する重要なポイントです。どれかが欠けても、お客さまは次第に不信感を募らせ、やがてサロンから離れてしまう可能性が高くなるでしょう。

“時短”に気を取られすぎて、カウンセリングがおろそかになっていませんか?いま一度、自サロンの接客を見直してみるタイミングかもしれません。