目指すは“高価格帯の固定客”!高単価客の意外なニーズを追え

サロン経営において「高価格帯の固定客を増やすこと」は、安定した収益を生み出すうえで欠かせません。では、高価格帯のお客さまは何を求め、どのようにサロンを選び、リピートをしているのでしょうか?

今回は「美容センサス2024年上期<美容室・理容室編>」のデータをもとに、女性の1回あたりの利用金額から、高価格帯(10,001円〜)・中価格帯(4,001〜10,000円)・低価格帯(〜4,000円)に分けて比較。高価格帯顧客のニーズや行動の特徴に迫ります。

分析を通して見えてきたのは、高価格帯顧客の”意外な重視ポイント”でした。

(ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子)

高価格帯女性が増加中。継続率も高く、注目の存在に

美容室で、1回あたりの客単価10,001円以上の「高価格帯」女性利用者は、年々増加しています。2020年には全体の15.1%だったこの層は、2024年には19.1%にまで拡大しました。
いまではおよそ5人に1人が“高単価”で美容室を利用していることになります。

※女性15~69歳・美容室1年以内利用者

ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2024年上期<美容室・理容室編>」

さらに注目したいのが、高価格帯層の「サロンリピート」です。
「基本的に一つのサロンを使い続けている」と回答した割合は、高価格帯では73.2%と、他の価格帯よりも高くなっています。

※女性15~69歳・美容室1年以内利用者

ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2024年上期<美容室・理容室編>」

中価格帯層と、低価格帯層との間には大きな差は見られない中で、高価格帯層では“満足できれば通い続ける”傾向がより強いのではないでしょうか

このように、高価格帯の女性は少しずつ増えており、かつ“リピーターになりやすい”という特徴も持っています。丁寧な対応や価値をしっかり感じてもらえる体験を提供できれば、長期的な固定客として定着しやすい層と言えるでしょう。

初回サロン選びは”信頼感”が決め手。高価格帯はクーポンにも注目?

※女性15~69歳・美容室1年以内利用者

ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2024年上期<美容室・理容室編>」

高価格帯(10,001円〜)の女性が初回来店時に重視するのは「自宅から近い」に次いで「ネットの口コミが良い」

「料金がリーズナブル」は中・低価格帯で重視されている一方、高価格帯では上位に入っていません。つまり、高価格帯では価格以上に“サロンを信頼できるか”が判断基準になっています。

※女性15~69歳・美容室1年以内利用者

ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2024年上期<美容室・理容室編>」

さらに興味深いのは「初回クーポンを重視する」割合は、高価格帯が14.9%と最も高い結果に。

中価格帯は14.7%、低価格帯は9.9%にとどまっており、価格に敏感なイメージがある低価格層よりも、高価格層の方が“初回クーポン”に注目していることがわかります。
高価格帯層にとって、納得して選ぶための“お試し”として、クーポンは有効な手段になってそうです。

SNSの約8倍!高価格帯女性が選ぶ、認知経路とは?

※女性15~69歳・美容室1年以内利用者

ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2024年上期<美容室・理容室編>」

高価格帯(10,001円〜)の女性が現在通っているサロンを知ったきっかけとして最も多かったのが、「予約・口コミサイト(ホットペッパービューティーなど)」でした。

※女性15~69歳・美容室1年以内利用者

ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2024年上期<美容室・理容室編>」

価格帯別に比較すると、「予約・口コミサイト」来店率が最も高いのは高価格帯層(37.8%)です。

※女性15~69歳・美容室1年以内利用者(1回あたりの利用金額が10,001円以上の高価格帯層)

ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2024年上期<美容室・理容室編>」

さらに注目したいのは、「SNS(LINE・Instagram・Facebook・Xなど)」との比較です。高価格帯でSNSをきっかけに来店した人はわずか4.8%に対して、「予約・口コミサイト(ホットペッパービューティーなど)」は37.8%。SNSの約8倍という差が見られました。

つまり、高価格帯層は「紹介やSNSの雰囲気」以上に、客観的な情報や口コミを自分で比較し、納得して選ぶことを重視しているようです。

そんな情報感度の高いユーザーにとって、ホットペッパービューティーは“信頼できる判断材料”が揃った場として支持されていることがわかります。