美容サロンは”二極化”時代へ
~「美容センサス2025年上期」解説②~

全体の市場規模は拡大しつつも、「2025年美容センサス上期」の調査からはサロンのジャンルごとに明暗が分かれる結果となりました。脱毛分野の減退からは、“すべてのサービスが選ばれるわけではない”現実が浮かび上がっています。今回は「選ばれるサービス」の条件を、エステ・ネイル・理容室とメンズの市場を通して読み解きます。

(ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子)

【エステサロン】脱毛は縮小、フェイシャルは維持

出典:「美容センサス2025年上期<エステサロン編>(ホットペッパービューティーアカデミー)

2025年、エステ市場の規模は3360億円。前年比−14.9%のマイナスとなっています。

特に大きな要因となっているのが脱毛分野です。2021年には1793億円あった脱毛市場は、2025年には1121億円まで減少し、4年間で672億円もの縮小が起きています。

出典:「美容センサス2025年上期<エステサロン編>(ホットペッパービューティーアカデミー)

また、女性の1年以内の脱毛サロン利用率は2021年の9.3%から年々減少し、2025年には5.2%にまで落ち込みました。

背景には、医療脱毛やセルフ脱毛機器といった新たな選択肢が登場し、「サロンでの脱毛」にこだわる理由が薄れてきたことが挙げられます。加えて、大手脱毛サロンの相次ぐ経営不振なども、消費者の不安要素となった可能性があります。

出典:「美容センサス2025年上期<エステサロン編>(ホットペッパービューティーアカデミー)
※フェイシャルサロン1年以内利用者が対象

一方で、フェイシャル分野では比較的安定した市場が維持されており、2025年は1393億円と2021年比でプラス87億円。さらに、客単価1万円超の高価格帯メニューの利用率が2022年の12.4%から2025年には19.2%にまで上昇するなど、“価値のあるメニューに投資する”という傾向が強まっています。

このように、エステ市場では脱毛のように選択肢の多様化でシェアを失う分野もあれば、フェイシャルのように“納得できる体験価値”が支持されて残る分野もあり、まさに“選ばれるサービス・選ばれないサービス”の二極化が進んでいるといえるでしょう。