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男性の利用が、女性を上回るケースも?

出典:「美容センサス2025年上期」(ホットペッパービューティーアカデミー)
※男女各15~69歳

これまで、男性のお客さまの中には、美容サロンが「女性向け」というイメージをもってしまうことも少なくありませんでした。このため男性のお客さまの中には、サロンに「入りづらい」「どこを選べばよいかわからない」といった心理的な壁が存在することも。しかし近年、「ドライヘッドスパ」や「シェービング」など、施術が明確で短時間・簡潔に利用できる専門サロンが増えたことで、男性の来店率にも影響しているのではないでしょうか。

実際の調査でも、「ヘアメイク専門サロン」「ドライヘッドスパ専門サロン」「シェービング専門サロン」といったジャンルでは、いずれも男性の利用経験率が女性を上回る結果に。これは、施術の内容が明快で、施設の雰囲気もカジュアルであることが、男性の来店意欲を高める要因となっていると考えられます。美容を“がんばること”ではなく、“日常ケア”として取り入れる男性が増えている背景がうかがえます。

「心理的なハードルの低さ」が男性の来店動機に⁉

出典:「美容センサス2025年上期」(ホットペッパービューティーアカデミー)
※男女各15~69歳(各専門サロン利用経験者)

さらに、男性のお客さまの中には「サロンに行くのは緊張する」「女性ばかりの空間に入りづらい」といった声が少なくありません。しかし今回の調査では、専門サロンに対して「気軽に入りやすい、サロンに緊張しない」と感じている人が一定数おり、専門サロンが安心して利用できる場所として認識されていることが明らかになりました。

たとえば、「ドライヘッドスパ専門サロン」では男性の15.5%が「気軽に入りやすい、サロンに緊張しない」と回答し、これは女性(11.7%)よりも高い数値です。さらに「髪質改善サロン」や「眉カット専門サロン」、「ネイルケア専門サロン」でも、同様に“入りやすさ”を評価する男性が多く見られました。

サービス内容や価格設定のわかりやすさに加えて、“緊張しなくて済む”という安心感こそが、これまで美容に消極的だった層の来店意識を高める要因となっているのではないでしょうか。専門サロンの存在は、こうした“心理的なハードルの低さ”を提供する場としても機能していることがわかります。

専門サロンは、スタッフの育成・復職の強い味方にも!

専門サロンの強みは、お客さまにとってわかりやすく選びやすいだけでなく、サロン経営者にとっても「育成しやすく、復職を促しやすい」サロン構造であることも、大きな利点となっています。

たとえば、ヘアカット・ショート特化・白髪ぼかしなど、施術内容を絞っている分、習得までの期間が短く済み、これによって新人スタッフの早期戦力化がしやすくなります。現場デビューまでのスピードが早まり、教える側の負担も少なくなるというメリットも。

また、ブランクがあるスタッフの復職にも向いているのが専門サロンの特徴でしょう。

出典:「美容サロン就業実態調査2025」(ホットペッパービューティーアカデミー)
※美容サロンの各職種で、復職意向がある人が回答

 

実際、美容師経験者に対して実施した調査では、復職時の不安として最も多かったのが「技術や接客スキルのブランク」(50.3%)でした。しかし、専門サロンでは施術範囲がしぼられているからこそ、「自分でもまたやれそう」と感じてもらえるきっかけになるかもしれません。

このように、「専門性がある」ことが、むしろ“働き方の柔軟性”を生む要因となっているのが専門サロンの特徴です。多様な人材が働きやすい環境を構築できることは、採用難が続く美容業界にとっても重要な意味を持つでしょう。

EDITORIAL NOTE

今回の調査から見えてきたのは、専門サロンが「気軽に通える場所」として利用者に支持されているだけでなく、サロン経営や人材採用の面でもさまざまな可能性を広げているという点です。

たとえば、施術内容をしぼっている専門サロンでは、技術の習得にかかる時間が短縮されやすく、スタイリストとして早期デビューが実現しやすいというメリットがあります。これは、教育の効率化だけでなく、「早く現場に立ちたい」「収入を得たい」と考える人材にとっても大きな魅力となります。

さらに近年では、ハイトーンカラーや髪質改善、韓国風スタイルなどトレンドに特化した専門サロンも増えており、「やりたい施術に集中できる」「好きな技術を極められる」といった点が若年層のモチベーションにつながっているように感じられます。

こうした専門サロンの広がりは、技術の多様化だけでなく、働く人にとっての「なりたい未来」を描きやすい職場づくりにも貢献していると言えるかもしれません。

ご紹介した調査はこちら

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文責

  • 田中公子

    田中公子(たなかきみこ)

    ホットペッパービューティーアカデミー研究員

    “美容業界の今とこれから”を、数字から読み解くリサーチャー


    Deloitte Tohmatsu Consultingでの経営戦略支援を経て、リクルート入社。2012年よりホットペッパービューティーのマーケティング・企画領域に携わり、現在はホットペッパービューティーアカデミー研究員として、美容に関する消費者行動の調査・分析、業界への提言を行っている。

    これまでに発表してきた美容業界の調査は200本以上。数字に裏打ちされた洞察力と、現場やメディアでもわかりやすく語れる伝える力に定評がある。業界誌・一般誌・テレビなどメディア取材多数。セミナー登壇や研修講師としても活動中。

    プライベートでは小学生2人の母。学校PTAの活動にも全力で取り組み中(2024年度、2025年度 PTA会長)。

    ~数字だけにとどまらず、その背景にある“サロンやスタッフのリアル”を伝えることを大切にしています~メディア取材はコチラよりお問い合わせください。


    ◎寄稿・連載
    「数字で読む美容トレンド」(Beautopia)
    「ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中 公子氏が見る『アイビューティー業界』」(アイビューティージャーナル)
    「一橋ビジネスレビュー : 日本企業の人的資本経営 2023年 SUM.(71巻1号)」(共著/東洋経済)
    「美容トレンド最前線!」(ファッション販売/~2023年)
    「美容サロンの経営塾」(国際商業/全100回)、「ビューティ・インサイト」(WWD/全6回)

    ◎書籍(共著)
    「美容師が知っておきたい50の数字」(女性モード社)
    「美容師が知っておきたい54の真実」(女性モード社)
    「データで見るエステティックの今とこれから」(フレグランスジャーナル社)

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