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口紅購入は男性にも⁉10代後半の16.7%が購入

出典:「美容センサス2024年下期<美容意識・購買行動編>」

近年、男性の美容意識の変化も口紅市場に影響を与えています。韓流アイドルブームやジェンダーレスな美容トレンドの浸透により、男性の口紅購入率が上昇傾向にあります。

特に10代男性では、口紅・グロスの購入率が16.7%に達しており、若年層を中心に利用者層が広がっています。

男性の口紅利用の目的としては、唇の血色を自然に補正することや、乾燥を防ぐための保湿ケアが挙げられます。また、ファッションの一環として取り入れる層も増加しており、特にナチュラルなピンクやベージュ系、透け感のある発色のリップが好まれる傾向があります。

口紅ブームで、美容サロンの店販チャンスはある?

美容サロンでは、店販商品としてクッションファンデーションやまつげ美容液が人気ですが、これらは施術との親和性が高く、サロンならではの強みが活かせる商品です。

一方で、口紅は色選びが多様にあること、他の販路(デパート・ドラッグストア)で手軽に購入できることなどから、サロン販売の優位性が低い点が課題となります。

また、口紅は他の店販商品と比べてリピート購入の頻度が低いため、店販としての成功が難しい側面があります。しかし、口紅の需要が高まっている今、サロンでの販売の可能性を探る余地はあります。

店販成功のカギは、提案型&専門性

では、美容サロンでの口紅販売を成功させるにはどうすればよいのでしょうか?ポイントは、単なる販売ではなく「プロとしての提案」と「サロンならではの高い専門性を活かす」ことです。

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「店販商品購入に関する意識・実態調査」(2021年9月)※女性20~59歳、店販購入経験あり

ホットペッパービューティーアカデミーの調査からは、サロンでの店販購入理由のトップは「サロンのスタッフの説明を聞いて良さそうだと思ったから」(31.9%)です。これは、単なる商品販売ではなく、プロの知識に基づいた提案が購入を後押しする重要な要因であることを示しています。また、「施術中の使用感が良かったから」(25.6%)という理由も多く、実際にサロンで体験することで商品の魅力が伝わることがわかるのでしょう。

例えば、以下のような提案シーンが考えられます。

    • ヘアカラーを施術したお客さまに、髪色に似合う口紅を提案することで、仕上がりの印象をより引き立てる。
    • 口紅をつけたことがない男性のお客さまには、自然な発色のリップを試してもらうことで、新しいスタイルの提案が可能。
    • サロン専売の高品質な口紅(美容成分配合やトリートメント効果のある商品)は、サロンならではの専門性があるため、お客さまにとっても信頼できる選択肢となる可能性も!

こうした提案を積み重ねることで、サロンならではの価値を提供しながら、店販商品の魅力をより伝えやすくなると考えます。

EDITORIAL NOTE

コロナ禍を経て、口紅市場は大きな変化を遂げました。従来の口紅に加え、ティントやリキッドルージュといった新しいカテゴリが広まり、消費者の選択肢が増えたことで、物価上昇以外の要因でも購買単価が上昇しているようです。

こうした変化の中で、美容サロンにおける店販の可能性も再考されるべきタイミングに来ています。ただし、単なる口紅販売ではなく、「提案型販売」を意識することが成功のカギとなるでしょう。

美容サロンならではのアプローチで、口紅市場の波をうまく活用していきたいところですね。

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文責

  • 田中公子

    田中公子(たなかきみこ)

    ホットペッパービューティーアカデミー研究員

    美容に関する消費者行動を調査・研究
    これまでに発表した美容関連の調査は200本以上


    ■Deloitte Tohmatsu Consulting(デロイトトーマツコンサルティング)を経て、リクルート入社。ホットペッパービューティーの事業企画から2012年より現職。

    ■調査研究員として、美容センサスなどの消費者調査や研究員コラムなどでの解説を担当。美容センサスデータブック数字で見る美容などデータのビジュアライゼーションに定評がある。セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。

    ■プライベートでは小学生2児の母、2024年から子供の小学校のPTA会長と学校運営評議委員を務める。

    ※メディア取材はコチラよりお問い合わせください。


    ◎寄稿・連載
    「数字で読む美容トレンド」(Beautopia)
    「ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中 公子氏が見る『アイビューティー業界』」(アイビューティージャーナル)
    「一橋ビジネスレビュー : 日本企業の人的資本経営 2023年 SUM.(71巻1号)」(共著/東洋経済)
    「美容トレンド最前線!」(ファッション販売/~2023年)
    「美容サロンの経営塾」(国際商業/全100回)、「ビューティ・インサイト」(WWD/全6回)

    ◎書籍(共著)
    「美容師が知っておきたい50の数字」(女性モード社)
    「美容師が知っておきたい54の真実」(女性モード社)
    「データで見るエステティックの今とこれから」(フレグランスジャーナル社)

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