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美容サロン経営を学ぶならホットペッパービューティーアカデミー

2025/06/23

2025年1〜3月の美容消費係数は2.77%
モノ消費・サービス消費ともにやや減速

【美容消費係数】から読み解く美容トレンド!

美容消費係数は、家計に対する理美容の支出割合です。お客さまの「美容財布」を知ることで、サロンの打ち手につなげていきましょう!

【最新】2025年1-3月解説

1.美容消費係数の推移

2025年1月〜3月期の「美容消費係数」は2.77%となり、前年同期比で-0.16ポイント、前四半期比で-0.18ポイントと、いずれもマイナスとなりました。

1年間の推移をみると、2024年の年間平均はおおむね2.95%前後で推移していましたが、直近の2025年1〜3月期は大きく減少しました。

これは、通常の季節要因だけでなく、生活者の美容支出に対する選別傾向や、コメを始めとする物価高の中で節約志向の高まりなどが影響している可能性があります。

2. 景気動向指数(CI)との関係

2025年1〜3月期の美容消費係数は2.77%と、前期・前年よりやや減少。一方で、景気動向指数(CI一致指数)は116.6と上昇を続けています。景気の回復とは裏腹に、美容への支出比率が縮小しており、美容消費は慎重姿勢が強まっている可能性があります。

時系列グラフ(美容消費係数)

  • 1年推移
  • 5年推移
  • 10年推移
過去5年のトレンド
過去5年の推移を振り返ると、美容消費係数はコロナ禍の影響を経て一時的に2.6%台まで低下したものの、2023年7~9月以降、急激に回復。2024年には平均して2.9%台を維持し、堅調な回復傾向が見られていました。今回の2025年1〜3月期の数値は、その反動減としても位置づけられるでしょう。
また、景気動向指数(CI一致指数)は116.6と上昇基調を維持しており、全体の消費環境は堅調です。2025年に美容消費係数のみが下がったことは、「美容への支出意識の鈍化」や「節約志向の再燃」などが潜在している可能性も示唆します。

【理美容】サービス・モノ消費額

2025年1〜3月の理美容サービス消費額は3,076円。前年同期比で▲50円、前四半期比では▲102円とやや減少しました。

物価上昇や生活コストの上昇により、サービスの頻度が見直された可能性も。一方で金額そのものは底堅く、一定の需要は安定しています。

2025年1〜3月の理美容用品支出は4,049円。前年同期比で▲90円、前四半期比では▲501円と大きく減少しました。

モノ消費は価格変動や季節要因に左右されやすく、前年よりも消費者の節約志向が強まった兆しとも読めます。

時系列グラフ(理美容サービス・モノ消費額)

  • 1年推移
  • 5年推移
  • 10年推移

過去5年間で、理美容サービス・用品ともにコロナ禍から回復し、支出額は着実に上昇してきました。特にモノ(用品)は、コロナ禍による外出制限が緩和され、マスク着用が任意となったことでメイク需要が回復し、外出機会の増加とともに2023〜2024年にかけて大きく伸長しました。

一方、2025年1〜3月期はモノ・サービスともに前期比・前年比でやや減少。これは「美容への支出意欲が冷えた」というよりも、高水準に達したことで“選んで使う”段階に入ったと捉えられます。

今後は、「本当に価値を感じられる美容」への支出がますま重視され、価格以上の体験価値がより問われていくでしょう。

今後の展望

2025年1〜3月期は、美容消費係数(2.77%)、理美容サービス支出(3,076円)、理美容用品支出(4,049円)すべてが前期・前年比でやや減少しました。これは消費意欲の後退というよりも、コロナ禍以降続いてきた「回復・拡大フェーズ」から、「選別・最適化フェーズ」へと転じた兆しといえます。

今後は、単純な金額の増減以上に、「どのような美容体験・商品が選ばれるのか」がより重要に。特に以下の視点がカギになりそうです。

  • 価格以上の納得感や実感価値の提供
  • セルフ・サロン・ECなど多様な接点の最適化
  • 日常の中での美容”の再定義

消費者の美容支出は今後も堅調に推移すると見られますが、「なんとなく使う」から「意味を感じて選ぶ」消費へと進化していくことが予想されます。

美容消費係数の算出方法

美容消費係数(%)=
消費支出
×100

○出典 総務省「家計調査」より、「ホットペッパービューティーアカデミー」にてデータ編纂。
(※美容消費係数は「家計調査」を元に、独自算出)

【用語解説】美容消費係数とは?

ホットペッパービューティーアカデミーでは、美容消費(サロン消費+モノ消費)のトレンド見立てに、「美容消費係数」という指標を使っています。

「美容消費係数」とは、総務省が公開している「家計調査」から、「毎月の全世帯での消費支出」に対する「理美容サービス(サロン消費など)」+「理美容用品(化粧品などのモノ消費)」の消費支出割合をホットペッパービューティーアカデミーで独自に編纂した指標です。

つまり、「美容消費係数」は家計における美容消費シェアであり、この数字が上がっていれば、カスタマーの美容投資の優先順位が上がっているということが分かるのです。

文責

  • 田中公子

    田中公子(たなかきみこ)

    ホットペッパービューティーアカデミー研究員

    美容に関する消費者調査を、業界・社会に発信
    調査データから、美容サロンの「売上UPのヒント」を読み解いています!


    ■経営コンサルティングファームを経て、リクルート入社。ホットペッパービューティーの事業企画から2012年より現職。

    ■調査研究員として、「美容センサス」などの消費者調査や「研究員コラム」等での解説を担当。「美容センサスデータブック」「美容センサス動画」などデータのビジュアライゼーションに定評がある。

    ■セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。

    ※メディア取材はコチラよりお問い合わせください。


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