イノベーターが
見ている未来
vol.42
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
株式会社バルクオム
代表取締役CEO
野口卓也さん (age.30)
ブランドを根付かせるのが難しいと言われているメンズコスメ市場において、頭角を現している「BULK HOMME(バルクオム)」。2013年に誕生し、現在は自社サイトに加え国内900店舗以上で取り扱われるまでに。ブランドを生み出したのは、現在30歳の野口卓也さん。いかにしてブランド力を高め、市場を開拓していったのか?若き経営者の視点に迫りたい。
https://bulk.co.jp/
第1章起業と失敗を経て
「イケてるメンズコスメが見つからなかった。
じゃあここを攻めてみよう、と。」
メンズコスメの市場は「そろそろ来る、来る」と言われながらなかなか爆発的に来ない。そうしたなかで一歩抜きんでたブランドとして注目されている「BULK HOMME(以降バルクオム)」についてお話をうかがいます。野口さんはこの事業を手がける前も、起業経験があったそうですね。
両親ともに会社を経営していることもあって、昔から「自分も起業するんだ」というマインドがありました。本当は高校卒業してすぐにでも起業しようと思っていたんですが、親から「大学に行ってくれ」と言われて進学することに。それで、ちょっとだけ通いました(笑)、3カ月くらいかな。2学期に入る前には中退して、友達とWEB系の制作の仕事を始めたんです。
Flashを使ったサイトを作ったり、電子書籍アプリを作ってみたり、20歳のときには会社を法人登記もしました。だけどあまりうまくいかず、一度会社をたたんで。その後も違う仕事にトライしながら、また会社を起こそうとしたのですが資金が調達できなくて…。いったん父親の会社に所属することにしました。
うまくいかなかったとはいえ、10代のうちから自分で仕事を立ち上げ、法人も設立して、その経験値はすごい財産ですよね。
自分でやりたいことをしてきたので、父親の会社の事業を言われるがままやらなきゃいけないのは、とても嫌でした。ただ、いま思うと給料をもらって少し冷静な時間を過ごせたから、「OEM生産による男性向け化粧品」という新しい可能性がある領域を選べたのかな、とは思います。
それまで携わっていたIT系の業種とまったく異なる、男性向けコスメにトライしようと思ったのは?
WEBサービス業で何度か失敗したので、次はリアルな商品を扱いたいなと思ったのがまず一つ。なかでもコスメを選んだのは、打算的なんですけど「儲かりそう」ってイメージがあったからです(笑)。また自分で事業を始めたい、何がいいかなと考えたとき、「品質が良く、高価格でも日常生活において身近な存在になれる」ものがビジネス的にはいいなと。
とはいえ調べてみると、化粧品会社は大小いろいろあってライバルも多い。でも、男性用はスーパーの棚を見ても数が少ないので、ここを狙うのはいいかなと思ってリサーチを始めました。すると海外を含めて、イケてるメンズコスメブランドというのが特に見つからない。じゃあここを攻めてみよう、と決めたんです。
当初は、お父さまの会社の一部門としてスタートしたんですよね。
そうです。新規事業をさせてほしいとプレゼンをして、承認してもらいました。初めはメーカーから仕入れて小売りをしようと思ったのですが、いい商品がない。自分に化粧品開発の知識が足りなくても、製造会社が手伝ってくれるOEMという方法があるとわかったので、オリジナルを作ることにしました。
世界のメンズコスメ市場を、
バルクオムから変えてみせる。