Vol.05
坂狩トモタカさん
AnZie
ヘアサロン「AnZie」代表
1983年、福岡県生まれ。資生堂美容専門学校卒業。都内のヘアサロンを経て、2008年「newshotel(現AnZie)」に参加、店長に。ディレクターを歴任し、2015年「AnZie」のリニューアルオープンと同時に代表就任。サロンワークをはじめ、一般誌や業界誌、全国でのセミナーなど幅広く活躍している。コンテスト受賞歴も多数。
http://www.anzie.jp/
刺激を受けた映画
最近の映画も面白いけれど、
じっくり考えさせられる
昔の映画が好み。
往年の名作には、
学びがたくさん
自分の哲学構築のために、よく映画を観ています。好きなのは昔の映画。最近のものより、説いていることが多いように感じられるので。今回は、なかでも社会性の強い3作品を選びました。
①『ゴッドファーザー』は、時代の流れによる価値観の変化を描いた作品。二代目のボスが先代と同じことをやっても、時代が違うので上手くいかない。自分自身も今の流行を受け入れながら、新しい価値観を生み出していかなければという教訓に。
②『イージー・ライダー』は衝撃の結末が待っていて、何が善で何が悪かが分からなくなります。世の中にはさまざまな見解がある。だからこそ、自分のものさしで判断することの重要性を感じました。店のスタッフにも「自分のフィルターを持つべき」と教えています。
③『スター・ウォーズ』シリーズで僕が感じたのは、「ストイックに頑張ることも大切だけれど、自分の弱さを受け入れることも必要」というメッセージ。弱さを受け入れないと、人の気持ちも分からない。美容師としても、上手なカットの押し売りではなく、お客さまを感じて、その人に合ったデザインをするべき。「ヘアデザインは対話である」という現在の考え方は、そこから生まれました。
ヘアスタイルのヒント
写真集やピンタレストで
いいなと思うビジュアルを見つけたら
参考にします。
美容師は、技術も感性も
常に“旬”であること
僕が提案する「色気ヘア」は、動いた時に綺麗にまとまって、崩れても色っぽくてかわいいスタイル。色気といってもエロじゃないんです(笑)。品のある色っぽさを、海外フォトグラファーの写真集などから学んでいます。
フォトコンテストをはじめ、ものづくりのヒントには「ピンタレスト」を活用。ポージングや光の使い方など、魅せ方を作品づくりの参考にします。
最近取り入れたのは、古いファッション誌。ファッションの流行は30年周期と言われているけれど、スマホの普及でその速さが変わったんじゃないかと。実際に古いファッション誌を数冊買って検証してみたら、今から15年前のスタイルが一番新しく見えたんです。つまり現代では、流行のサイクルは15年周期。その速さの中で、僕ら美容師は技術も感性も常に旬でないといけない。そのための情報収集や勉強は欠かせないことだと思っています。
接客の信条
スキルアップし続けることは大前提。
人間力を上げることも
美容師としての価値になる。
ストイックに努力して
お客さまの“一番”であり続けたい
スタイリストになった時に掲げた信念が「お客さまに誠実であること」。そのためには、美容師としてずっと上手くなり続けなければいけない。何歳になっても努力を怠らず、技術的な勉強を続けていこうと心に決めています。
その努力は趣味においても同様。僕を選んで来店してくださったお客さまに、パワーをあげられる美容師でいたい。だから自分自身がアクティブに生きていかなければ、と。サーフィンや英会話などいろいろなことに挑戦して、楽しみながら努力する。現状維持が一番嫌いなので、ストイックに負荷をかけて、レベルアップしていきたい。向上心があってこそ、お客さまにとって“一番の美容師”でいられるのだと思うから。
おおらかな笑顔とユーモアあふれる話術が魅力の坂狩さん。
「何かを与えられる人でないと、人は寄ってきてはくれない」。
・・・だから趣味にも、ストイックなほど全力投球。
そこで得たものを“人間力”という魅力に変えて、今日もサロンに立っています。
企画/柳澤真実 編集・文/加藤愛 撮影/久保田敦
※掲載されている情報は2017年08月28日現在のものです