Vol.07
久保雄司さん
SIX
ヘアサロン「SIX」代表
1982年、東京生まれ。美容師としてサロンワークをする一方、インスタグラムでのハッシュタグ「#クボメイク」で脚光を浴び、雑誌などでヘアメイクとしても活躍。2016年に講談社より書籍『#クボメイク』を出版。2017年4月、表参道に「SIX」をオープンさせた。
http://six-salon.com/
[instagram] https://www.instagram.com/six_kuboyuji/
大切にしている6つのこと
がむしゃらに練習したら
休みもしっかりとること。
いい仕事には心のゆとりも大切。
スタッフに大切にしてほしい
“SIX=6つ”のこと
美容師としてだけでなく、1人の社会人としてスタッフと一緒に成長していきたい。その思いを込めて、「SIX」というサロン名にしました。
振り返れば僕が20歳の頃に「将来の自分の店の名前」を上司に尋ねられ、答えたのが「ゼロ」。「何もない状態から、多くのお客さまに来ていただけるように」という理由です。それから15年経って、僕には大切なことが6つできた。家族や仲間たちが支えてくれているからこそ、今の自分がある。だから自分のことだけではなく、周りの人も大切にしていかなければいけないと。
美容師は勤務時間が長くて休みが少ないというイメージがあるけれど、それじゃダメだと考えています。休みはちゃんと取って、楽しんだ方がいい。スタッフたちには、家族や恋人、友人との時間を充実させてほしい。そうやって心にゆとりを持っている方が、いい仕事ができると思うんです。
メイクのこだわり
先入観は持たない。
けれど、
事前準備は抜かりなく。
大事なのは、その人に似合っていること
ヘアメイクではほとんどの場合、撮影現場に用意されたコスメを、初見で選んで使用します。けれど僕は、それを事前に見せてもらうことが多いですね。触ったり塗ったりしてみないと、発色も質感もわからないので。色出しをして、自分ならではのカラーバランスを考え、下絵に落としてから本番に臨みます。
新作コスメは続々と出てきますが、「最新のコスメを使えば、今の顔になれる」とは思っていません。例えば新作リップを使おうとした時、アイシャドウはワンシーズン前のものの方が合うかもしれない。撮影でも、既存品を使用することは多々あるんですよ。
モデルさんをメイクする際に気を付けているのは、先入観をなくすこと。「この子はこれが似合う」という情報は取り払って、自分の感覚に任せるようにしています。事前に計画したメイクがあっても、実際に顔に塗ってみて違和感があったら落としてしまうことも。「本人に似合っている」ことを、一番大事にしています。
女性活躍への取り組み
長く一緒に働きたいから
結婚・出産後も戻れる環境に。
一般企業の当たり前を、
SIXでも叶えていきたい
「SIX」のスタッフは、僕を含め男性が2名と女性が5名。みんなと長く付き合っていきたいので、女性が働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
例えば、「産休・育休制度」。これまで美容業界では、女性スタッフのほとんどが結婚や出産を機に退職していました。でも一般企業なら、産休・育休を取って長く働き続けていける。その当たり前を、「SIX」でも実現していきたい。
最も力を入れているのは、休暇制度です。僕自身が4~5年前までは、年間ほぼ休みなしで仕事していました。休日返上の撮影は楽しかったけれど、歳を重ねるとやっぱり疲れがたまるんです。そこで年齢が上がってきたスタッフには、毎月の休みを1日増やすことに。その他、ランクアップをするほど休みを増やしていく計画です。この制度は男性と女性、共通で考えています。
サロンワークってすごく楽しいもの!それをスタッフにも感じてもらいたい。みんなが前向きに働ける環境を、これからも整えていきたいですね。
ヘア&メイクアップアーティストとして絶大な人気を誇る久保さん。意外にも、今回語ってくださったのは「美容師の仕事」への愛と誇りでした。
取材中に何度も出てきたのが、「サロンワークは楽しい」という言葉。
原点を大切にしているからこそ、新たなフィールドでも安定感をもって活躍できるのかもしれません。
企画/柳澤真実 編集・文/加藤愛 撮影/新見和美
※掲載されている情報は2017年10月11日現在のものです