学ぶ。つながる。発信する。美容の未来を創る場所。
女性が活躍するサロン
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
HAIR SPACE 'EWALU
兵庫県姫路市
姫路駅から歩いて10分。静かな街角に佇む「HAIR SPACE ‘EWALU(エワル)」は、ファミリーで訪れるお客さまも多いアットホームなヘアサロンです。スタッフ5名のうち、4名がママ美容師。子どもの行事が重なる日も多いといいますが、全員がプライベートを大切にしながら活躍できているとか。代表の大坂千夏さんに、ママスタッフを輝かせるための取り組みと、背景にある思いを伺いました。
1取り組み
HAIR SPACE ‘EWALUには、オープン当初から定休日がない。代わりに、子どもの行事などスタッフたちの用事が重なって、誰も出勤できない日を休業日にしている。シフトの決定は前月の20日。全スタッフの出勤希望日を店のPCで管理し、スタッフ同士が話し合いながら人手が足りない日時を調整する。このため、お客さまからの指名予約は前月20日まで受け付けていない。
「子どもが熱を出した時や学校行事がある時などに、スタッフがちゃんと休める職場にしたかったんです。そのためには、みんなの都合がつかない日を休業日にすればいいかなと思って」と大坂さん。休業日を定めないことでシフトの柔軟性が増し、スタッフが休みたい時に休める環境に。
翌月の指名予約がぎりぎりまでできないという不便さについて、お客さまからのクレームはない。「うちのお客さまには子育て中の主婦の方が多いため、お子さんが理由の急な予約変更やキャンセルがしばしばあります。同じ状況にあるからか、この予約システムを理解してくださる方がほとんどです」(大坂さん)。
子どもの熱などでスタッフに急な欠勤が生じた時は、大坂さんが代わりに入ることもあるという
2取り組み
新しいことを始める際は、経営者だけで決めるのではなく、まずスタッフみんなに相談して意見を聞くのが大坂さんの運営スタイル。店づくりもスタッフと共に取り組み、出してもらったアイデアを積極的に採用しているという。
大坂さんの胸にあるのは、「みんなでお店を育てていきたい」という思い。自分の視点では見えない部分について、「こうしたらよくなるのでは?」とスタッフから提案してもらえることはとてもありがたい。キャリアの長いママスタッフは特に知識や経験が豊富で、さまざまなアイデアを出して店舗を盛り上げてくれている。また、こうして店づくりに参加することでスタッフ側も当事者意識が高まり、時短勤務でもやりがいを持って働くことができているようだ。
全員でミーティングする時間はなかなかとれないが、営業中の空いた時間を使って意見交換している
3取り組み
事情があって店舗へ来られないお客さまを訪問して施術する、「訪問美容」を11月からスタート。それにあたり、訪問美容の経験があるママ美容師を最近1名採用した。今後、取引先を開拓しながらさらに、訪問美容専門のスタッフを増やしていく予定だ。
「ママになっても仕事を続けたいと思っている美容師は多いんです。でもサロンで働くには自由になる時間が足りない。その問題を解決できるのが訪問美容だと思ったんです」と大坂さん。訪問美容なら丸1日の出勤は不要。1回2~3時間という限られた時間で働くことができるので、時間のないママ美容師の活躍の場として最適だ。子育て経験のあるスタッフは人のお世話をする感覚が身についているので、訪問美容に向いているとも考えられる。
「ママ美容師の活躍の場を作ることはもちろんですが、お店に来られないお客さまをこちらから訪ねる、という活動がしたかった。少しでもお役に立てればと思って取り組んでいます」(大坂さん)。
訪問美容を立ち上げる際もスタッフ全員に相談した。「現場で使えそうな道具を持って来てくれたりして、みんなに助けられました」と大坂さん
代表の大坂千夏さんは、大阪や神戸でヘアサロン勤務を重ね、2017年に「HAIR SPACE 'EWALU」をオープン。元同僚と2つのサロンを共同経営し、2018年に訪問美容もスタートさせた。10歳の女の子のママでもある
A. 自分自身が育児と仕事の両立に悩むママ美容師だからです。
私は子どもが1歳の時に職場復帰したのですが、仕事が忙しくて子どもと過ごす時間がとれず、すごく葛藤しました。当時の美容業界にはまだ、時短勤務などありえないという風潮があって、美容師を続けるためには子どもを犠牲にするしかなかったんです。時短スタッフとして働けるサロンへ転職しても、自分のお客さまが増えると融通がきかなくなり、勤務時間がどんどんのびていく結果に。私自身がそういう不便な職場環境に悩んできたので、ママ美容師が働きやすいお店をつくりたいと思いました。
ママスタッフは子育てでメンタルが鍛えられるためか、忍耐力があってコミュニケーション能力の高い人が多いと感じています。おかげでうちのお店は人間関係がとても円満です。
A. スタッフのための託児所を設けたいです。
ずっと先のことになると思いますが、現在取り掛かっている訪問美容が軌道に乗ってきたら、スタッフの子どもを預かれる場所をつくりたいです。子どもが熱を出してしまったとか、パパに子どもを見てもらう予定がだめになったとか、預け先に困った時に頼れるような環境をママスタッフたちに提供したい。安心して働いてもらえるお店になるのが理想ですね。
Salon Data
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