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女性が活躍するサロン

女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣

結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。

vol.49年間95日以上の休日でも、売り上げは昨対UP。
ママスタッフの活躍を武器とする戦略とは?

dowku【ドゥーク】

仙台市泉区

仙台市郊外の閑静な住宅街で洋館のような佇まいを見せる「dowku」。ヘア、エステティック、まつげエクステ、ネイル、フェイシャルなど、すべてが揃うトータルビューティーサロンとして、高感度な女性たちに愛されています。現在3人のママスタッフが活躍する「dowku」は、実は「女性が働きやすいサロン」として地元の美容師や関係者の間でも評判のお店。時間の制約があるママも多い中でスタッフのやる気を引き出し、サロンの業績を伸ばしてきた秘密は何なのでしょうか。オーナーの工藤欣弘さんに聞きました。

1取り組み

繁忙期以外は、月曜日と火曜日が定休日。
日曜日が休みのママスタッフには3連休もあり。

どんな取り組み?

3月、7月、8月、12月の繁忙期を除いて月曜日と火曜日がサロンの定休日で、スタッフ全員が週休2日に。繁忙期の定休日は月曜日だけだが、8月はお盆休みがあるため、実質出勤日は週休2日の月と同じくらいだ。年間の休日はフルタイム社員で95日以上。さらにママスタッフは隔週日曜日を休みとしているので、月に2回は3連休が取れる。

始めたきっかけと、メリットは?

サロン創立から10年間業績を伸ばしてきたが、「同じやり方では頭打ちになる」と危機感を持ったことがきっかけ。それまで月曜日のみだった定休日を「増やす」という逆転の発想で、3年前に導入した。これにより特に3連休が増えたママスタッフは、子どもと接する時間が多く持てるようになった。サロン全体としても、限られた日数で工夫して単価を上げ、売り上げを伸ばす意識が浸透。閑散期の休みを増やして働き方にメリハリを付けたことで、繁忙期はスタッフが今まで以上にがんばれるようになった。また、休日の多さというほかにはない好条件によって、稼ぎ頭となる良い人材を確保することもできた。「最初は売り上げが落ちて我慢の1年でしたが、2年目からはその前の10年間よりも業績がアップしています」と工藤さん。

2取り組み

ママスタッフには「子ども手当」を支給。
毎月の保育園代の約半分を会社で負担する。

どんな取り組み?

女性を対象に産休・育休を完備し、復帰後も正社員のまま時短で働くことができるなど、労働条件は各自と相談したうえでフレキシブルに対応。また、ママ社員が子どもを保育園に預けて働いている間は、保育費の半額に当たる金額を「子ども手当」という名目で支給している。

メリットは?

まだ子どもが小さくてフルタイムで働けない時期は、収入が少ない割に保育園代などの出費がかさむ。「子ども手当」は、家計を理由にママ社員が職場復帰を諦めることがないよう、会社がサポートをする目的で支給している。子どもが保育園を卒園したら、ママ社員のモチベーションをキープするため支給額をそのまま給与に上乗せ。子育てしながら仕事を続けたい女性に手厚くするのは、それにより優秀な人材が確保できるからだ。キャリアと技術がある人の条件は良くしていきたいと考えている。

「スタッフごとに待遇面を柔軟に対応することで、会社側のメッセージをはっきりと伝えているので、今のところスタッフから不満の声はありませんね」と工藤さん

「スタッフごとに待遇面を柔軟に対応することで、会社側のメッセージをはっきりと伝えているので、今のところスタッフから不満の声はありませんね」と工藤さん

3取り組み

作業順まで考えた予約管理で、時短勤務に対応。
新しい技術の勉強も、仕事の時間内に。

どんな取り組み?

現在16:00と17:00に仕事を上がるママスタッフがいるため、仕事を時間で区切って引き継ぎやフォローが上手くいくよう、スタッフ全員が意識している。そのためにフロントに予約専門のアルバイトを配置。「カット」のお客さまと「カット&カラー」のお客さまを誰と誰が同時進行するなど、あらかじめ作業順を管理しながら予約を受け付けている。また、新しい技術や製品の勉強も、基本的にママスタッフのいる時短勤務時間内に行う。

メリットは?

予約管理を工夫することで、接客の質を下げることなく、4人のスタイリストで1時間枠に同時に4〜5人のお客さまに対応することができる。このことはママのフォローになるだけでなく「カット&カラーは100分で終わらせる」などスタッフ全体の時間管理意識が高くなり、効率アップに繋がる。勉強会などは極力夜間ではなく営業時間内に行うことで「時間が来たらサッと帰る」空気ができ、時短のスタッフも精神的な負担を感じずにすむ。

外から人を招いて休日や閉店後に行う勉強以外は、なるべく営業中に合間を見て、オーナー自らがレクチャーする

外から人を招いて休日や閉店後に行う勉強以外は、なるべく営業中に合間を見て、オーナー自らがレクチャーする

4取り組み

欠勤に対応できるようスタッフ間でお客さま情報を共有。
預け先に困ったら子連れ出勤もOK。

どんな取り組み?

ママスタッフがいると、子どもの病気による急な欠勤は避けられないことも。その場合に備えて普段からお客さまの情報を共有。それによってほかのスタッフがスムーズに連絡を取り、日程の変更や代わりのスタイリストの提案でフォローすることができる。また、子どもを保育園に預けられない場合に備えて、サロン内の個室にはおもちゃやアニメのDVDなどを充実させ、子連れ出勤にも対応できるようにしている。

取り組みの背景とスタッフの反応は?

急な欠勤はサロンにとって大変だが「あると分かった上で採用しています」と工藤さん。普段から想定しておけば、ママにもほかのスタッフにとっても負担が軽くなる。郊外という場所柄、お客さまも育児経験のある女性が多いため、理解を得やすいのは幸いという。また子どもをサロンで見ることは、3人の育児をしながら夫婦で働いてきた工藤さんにとっては自然なこと。「実際に子どもを連れてきたことはありませんが、OKと言われるだけで精神的に楽です」。そう歓迎するのは、2歳の子どもを育てながらエステティシャンとして働く佐藤裕子さんだ。

東北ならではの「芋煮会」は、スタッフもその家族も楽しみにしている秋の恒例行事

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サロンの飲み会も、子連れOK。「時にはパパが子どもを迎えに来て、ママは2次会へというシーンもあります」(工藤さん)

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オーナーインタビュー

千葉市内で美容師として7年間キャリアを積んだ後、独立して「dowku」を立ち上げたオーナーの工藤欣弘さん。女性が長く働ける環境を整備しながら「自分自身もできるだけ美容の現場で働き続けたいと考えています」

Q. 女性支援の取り組みを進めたきっかけは何ですか?

A. キャリアと実力のある女性スタッフに来て欲しかったからです。

率直にいえば、一番はサロンの売り上げに貢献できる力のある人材が欲しいから。キャリアがあり、技術の高い女性に来てもらうためです。この場所で人材を確保するには、街中のサロンとは違う、郊外ならではのメリットを打ち出す必要があります。社会保険や産休・育休完備で、ほぼ週休2日という条件を揃えているのは、仙台でもうちだけではないでしょうか。それともうひとつ、美容業界は男性よりも女性が長く働けるから。男性は年を取ると美容の分野では接客に向かなくなることもありますが、女性はいつまでも年齢に応じた美を追究し、ベテランになるほど力を発揮できる。それは僕が美容師の仕事を始めてからいつも感じていたことです。

Q. サロンにママスタッフがいるメリットは何ですか?

A. サービスの質の向上に貢献。若手にも刺激になっています。

ママスタッフは実働時間が短いですが、今まで獲得した熱心なお客さまを連れてきてくれるのがお店にとって大きなメリット。また、良いと思った技術や製品をすぐに取り入れてお客さまに提案できるので、少ない時間で単価を上げる能力も高いです。最近では「女性が働きやすいサロン」と業界で口コミが流れ、自然に優秀な人が集まるようになりました。さらに若い子たちにとっても良い見本。ママスタッフの働き方から自分の将来像を結ぶことができるので、より一層がんばってくれますね。

Salon Data

dowku【ドゥーク】

アクセス
仙台市営地下鉄・泉中央駅から車で15分。泉プレミアムアウトレットより徒歩10分
創業年
2003年
店舗数
1店舗
設備
セット面9席
スタッフ数
9名(スタイリスト4名、エステティシャン1名、アシスタント3名、フロント1名)
URL
http://beauty.hotpepper.jp/slnH000288636/
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