【離職・復職①】美容サロンで離職率が改善した理由は?
2021年度の美容室軒数は26.4万軒(厚生労働省「衛生行政報告例」)。サロンは増える一方で、サロンの人手不足はますます課題になっています。
ホットペッパービューティーアカデミーでは、2023年4月に「美容サロン就業実態調査」を発表!今回は「離職・復職」をテーマに2回にわたって解説していきます。(ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子)
目次
離職率の高い美容業界
「美容業界は離職率の高い業界」と言われています。厚生労働省の「令和3年雇用動向調査結果」からは、美容業の属する「生活関連サービス業・娯楽業」の離職率は、全産業のワースト2位。採用難の美容サロンでは、離職は大きな課題です。
ホットペッパービューティーアカデミーでは、美容ジャンルごとに、「離職率」=美容サロンに一度は就職したが、離職した人の割合と定義して、各業界の離職率を今回算出しています。
さっそく美容師の離職率から見てみましょう。
美容師の離職率が改善し46.5%に!
美容師の離職率は?
※離職率:美容師として一度就職したが離職した人の割合、「免許保有者かつ美容師経験はあるが、現在美容師ではない人」÷「免許保有者かつ美容師経験者」
出典:「美容サロン就業実態調査」(2023年4月)(ホットペッパービューティーアカデミー)
美容師の離職率(美容師として一度就職したが離職した人の割合)はここ5年で減少傾向。2022年にやや悪化するも、2023年には過去最も低い46.5%に!
休眠美容師率は?
※休眠美容師率:美容師免許を持っているが現在美容師として働いていない人の割合(就職経験を問わない)
出典:「美容サロンの就業実態調査」(2023年4月)(ホットペッパービューティーアカデミー)
離職率のほぼ裏返しになりますが、業界でも課題感の大きい「休眠美容師率」(美容師免許を持っているが現在美容師として働いていない人の割合)も改善傾向に。
ここ数年、美容業界では「ママ美容師が働きやすい環境づくり」、「スタッフの福利厚生改善」、「アシスタントの早期デビュー」など、働き方改革が進んでいます。
離職率や休眠美容師率が低下している背景にはこういった取り組みの影響もありそうです。
エステ、リラク、ネイル、アイの離職率は?
美容サロン離職率【ジャンルALL】
※離職率:各美容ジャンルで一度就職したが離職した人の割合、「過去に従事経験あり」÷「現在従事している+過去に従事経験あり」
出典:「美容サロン就業実態調査」(2023年4月)(ホットペッパービューティーアカデミー)
ヘア以外のジャンルもみてみましょう。ヘアと比較すると、離職率は高めです。
背景ですが、美容師は国家資格があるため就職するのにも一定の難易度があるのに対して、エステ・ネイル・リラクは国家資格がないぶん、就職の難易度が美容師に比べて低いことも考えられます。
このため「職業に就きやすい」ことが、裏返すと離職率の高さにつながっているのかもしれません。(※「アイ」については、「まつげエクステ」の施術には美容師資格が必要です)時系列でもみていきましょう。
エステ、リラク、アイも離職率は改善傾向
美容サロン離職率【ジャンルALL】
※スコアは各領域、もっとも低い年をハイライト
※離職率:美容サロンで一度就職したが離職した人の割合
出典:「美容サロン就業実態調査」(2023年4月)(ホットペッパービューティーアカデミー)
時系列でみると、エステ、アイではヘアと同じく離職率が改善しており、2023年がもっとも離職率が低いスコアになっています。
一方、リラクは改善傾向にあるものの、コロナ禍前(調査は毎年2月に実施、2020年はコロナ禍前と設定)の水準に回復するにはもう少し、というところ。ネイルは2022年以降、離職率のスコアが上昇した状態が続いています。