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業種別で見るZ世代のホンネ

ただし同じ20代以下でも、美容サロンの中では業種によって退職理由は大きく異なるものもあります。

※20代の「美容師」(n=59)「理容師」(n=29)・複数回答
ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査2025」

美容師・理容師:「雰囲気」は共通、しかし理容師は「評価」を重視

  • 美容師:先ほどの「20代以下」の美容サロンの平均データとほぼ同様の傾向で、「仕事とプライベートとの両立」「サロンの雰囲気やテイスト」を重視します。
  • 理容師:1位は「サロンの雰囲気やテイストが合わなかったから」(44.8%)と非常に高いですが、2位に「給与に関して不満があったから」(31.0%)、5位に「評価・昇給制度が充実していないから」(24.1%)が入っています。

理容師のZ世代は、雰囲気との相性に加え、「明確な報酬と評価制度」を求めていることがわかります。

※20代の「ネイリスト」「アイデザイナー」を合算(n=27)・複数回答
ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査2025」

ネイリスト・アイデザイナー:「仕事のハードさ」と「将来性」

  • 1位は「仕事内容がハードだったから」(33.3%)です。
  • また、他の業種では圏外だった「結婚・妊娠・出産のため」(18.5%)が4位にランクインしています。

これは、長時間の施術による身体的負担(ハードさ)に加え、女性比率が高い職種ならではの悩みが見えます。定着率を高めるカギは「業務負荷の軽減と、ライフステージ変化へのサポート体制」にありそうです。

※20代の「リラクゼーションセラピスト」「エステティシャン」を合算(n=59)・複数回答
ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査2025」

リラクゼーションセラピスト・エステティシャン:「給与」よりも「拘束時間」への不満

  • 1位は「サロンの雰囲気やテイスト」や「仕事とプライベートとの両立」ですが、5位に「拘束時間に関して不満があるから(休みが少ない、労働時間が長いなど)」(18.6%)が入っています。
  • 一方で、他の業種で上位に入りがちな「給与不満」がトップ5圏外(6位)なのが特徴です。

スタッフにとっては、給与額そのものよりも、「時間的な拘束(休憩・労働時間)」が大きな不満に繋がっていることが推測されます。

Z世代の離職を防ぐ「採用」のヒント

ここまで見てきたように、Z世代は「仕事とプライベートとの両立」や「サロンの雰囲気やテイスト」を理由に辞めていきます。 実は仕事探しの段階からこの傾向はあるのです!

※20代の美容サロン従事者回答(n=174)・複数回答
ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査2025」

20代以下が、サロンの求人情報で「特に知りたい情報」のトップ2は、 1位:スタッフの勤務状況(日々の出退勤時間、休日取得情報など)(39.4%) 2位:スタッフ情報(顔写真掲載、スタッフの経歴、普段の勤務風景が分かる情報)(38.8%) でした。

これは先ほどご紹介した、退職理由の「仕事とプライベートとの両立」「サロンの雰囲気やテイスト」と表裏一体!

求職の際には、入社後に「こんなはずじゃなかった」というミスマッチが起きないよう、「リアルな労働実態」や「スタッフの素顔」を注意深く調べているのです。

メディアを効果的に使った求人PRは?

ここまで見てきたZ世代のインサイトに対し、サロンが注力すべきことは「採用情報の透明性を高めること」です。

例えば「ホットペッパービューティーワーク」では、以下のような情報発信もできるでしょう。

  • 「〇時までに退勤可」「月〇回の土日休みOK」など、具体的な勤務実態を明記。
  • 「給与」や「評価制度」を重視する理容師の募集では、キャリアパスや給与テーブルをなるべく具体的に示す。
  • 「仕事のハードさ」を気にするネイリスト・アイデザイナーの募集では、休憩の取り方や、産休・育休の実績などをアピールする。
  • 働き方が分かるように、スタッフのミーティング風景やオフショットなど、「普段の雰囲気」が伝わる写真を載せる。

Z世代は、自分に合わない環境で無理をするより、自分らしく働ける場所を求めます。 Z世代の価値観を理解し、「リアル」をオープンに伝えることが、採用のミスマッチを防ぎ、早期離職率を改善する最大の近道となるでしょう。

ご紹介した調査はこちら

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文責

  • 田中公子

    田中公子(たなかきみこ)

    ホットペッパービューティーアカデミー研究員

    “美容業界の今とこれから”を、数字から読み解くリサーチャー


    外資系コンサルティングファームを経て、リクルート入社。2012年よりホットペッパービューティーのマーケティング・企画領域に携わり、現在はホットペッパービューティーアカデミー研究員として、美容に関する消費者行動の調査・分析、業界への提言を行っている。

    これまでに発表してきた美容業界の調査は200本以上。数字に裏打ちされた洞察力と、現場やメディアでもわかりやすく語れる伝える力に定評がある。業界誌・一般誌・テレビなどメディア取材多数。セミナー登壇や研修講師としても活動中。

    プライベートでは小学生2人の母。学校PTAの活動にも全力で取り組み中(2024年度、2025年度 PTA会長)。

    ~数字だけにとどまらず、その背景にある“サロンやスタッフのリアル”を伝えることを大切にしています~メディア取材はコチラよりお問い合わせください。


    ◎寄稿・連載
    「数字で読む美容トレンド」(Beautopia
    「田中公子氏が見る『アイビューティー業界』」(アイビューティージャーナル

    ◎これまでの寄稿
    「一橋ビジネスレビュー : 日本企業の人的資本経営 2023年 SUM.(71巻1号)」(共著/東洋経済)、「美容トレンド最前線!」(ファッション販売/~2023年)、「美容サロンの経営塾」(国際商業/全100回)、「ビューティ・インサイト」(WWD/全6回)

    ◎書籍(共著)
    「美容師が知っておきたい50の数字」(女性モード社)、「美容師が知っておきたい54の真実」(女性モード社)、「データで見るエステティックの今とこれから」(フレグランスジャーナル社)

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