コロナによる収入影響はありつつも、美容師の仕事の満足度は大幅向上!

ホットペッパービューティーアカデミーで発表するデータを、研究員の解説や事例を交えながらご紹介するページです。

今回はリクルートが2021年3月に実施した「就業実態調査2021」より、コロナ禍における美容師の「仕事に対する価値意識の変化」について解説します。

(解説:ホットペッパービューティーアカデミー研究員 岡本華奈子)

コロナ禍での給与変動有無は?

2020年4月の緊急事態宣言期間中は、大都市圏を中心に休業をしたサロンも多くありました。

その後も「時短」や「席数の間引き」など変化があった1年。ヘアサロン従事者にコロナ禍での給与に関して質問したデータをご紹介します。

結果は37.7%と4割近くが「変化はなかった」との回答でした。一方で、収入が上がった(「上がった」と「どちらかというと上がった」の計)という人は約25%、下がった(「下がった」と「どちらかというと下がった」の計)という人は37.7%。

美容師に限らず給与変動があった職種も少なくないかと思いますが、今回の調査では「上がった」人より「下がった」人のほうが多いという結果になりました。

約4割で収入が減少するも、仕事の満足度は大幅上昇!

では次に仕事の充実度について見ていきます。

なんと、仕事の満足度・成長実感ともに、「満足している」との回答が3年間でぐっと上昇!2019年から2020年の伸び幅よりも、2020年から2021年の伸び幅のほうが大きいことがわかりました。
この理由として、私は2点あると考えておりそれらを詳しく解説します。

仕事満足度上昇の理由①労働環境の改善

まず1点目。こちらはコロナには直接的には関係ない理由となりますが、働く環境整備に取り組んでいるヘアサロンが年々増加しており、労働環境が改善されていることにあると考えます。

少し前は、「労働時間(拘束時間)が長い」「休みが少ない」といったイメージを持たれることもありましたが、近年では休日や働く時間が選べる、といったヘアサロンも増加。

今回の調査でも勤務日・勤務時間を選ぶことができるか?という問いに対し、6割近くがあてはまる(「あてはまる」「どちらかというとあてはまる」の合計」)と回答しており、こちらも年々上昇傾向 にあります。

仕事満足度上昇の理由②ヘアサロンが必需であることがコロナ禍で再認識

そして2点目は、コロナにおいて美容室・理容室が人にとって必需のものであることが再認識された(=職業価値が上がった)ことで、やりがい、モチベーションのアップにつながったのではないかと考えられます。

今までは当たり前のように通っていたヘアサロンも、2020年4月の緊急事態宣言による休業で、初めて「行きたいときに行けない」状況に陥りました。自分でカットするわけにもいかず「緊急事態宣言が明けたら真っ先にヘアサロンに行く」という人も多かったのではないでしょうか。

また、以前にも研究員コラム「【サロン経営2021】コロナ禍でも成功するサロンとは?(2)

」の中でもご紹介しましたが「信頼できるいつもの美容師さんにお願いしたい」というニーズは非常に高く、コロナ禍でお客さまとのつながりの濃さを改めて感じる機会になったのではないでしょうか。