「バーバー」人気の理由
今「バーバー」が人気の理由
近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。
BARBER kaie(栃木県宇都宮市)
“男の居心地の良さ”を追求。
宇都宮郊外のこだわりバーバーとは?
今年5月に宇都宮でオープンしたこの店は、シックな雰囲気で初めての人はちょっと入りにくい印象。にもかかわらず、順調に顧客が増えているのは、ステータスや上質さなど“男目線”を意識しているから。都内の注目店で腕を磨き地元で独立した福田拓也さんに、バーバーにかける思いをお聞きしました。
通うことがステータスになる、上質なインテリアと雰囲気。
入りにくい店構えも計算のうち。
宇都宮市中心部から南へ6kmほど。国道から少し外れた通り沿いにある「BARBER kaie」は、都会的でシックな外観が道行く人の目を引きつける。落ち着いたブラウンを基調にした店内も、昔ながらの理容室とは一線を画したモダンな雰囲気。このエリアにはなかったタイプゆえ、オーナーの福田拓也さんは「初めての人は入りにくいと思います」と笑う。でも、それは計算してのこと。「うちの店が話題に上ったとき、『知ってる』ではなく『そこに行ってる』と答えることで『へえ、そうなんだ!』と言ってもらえたら誰だって嬉しいじゃないですか」。あえて敷居を高くし、行くことがステータスになればいいというのが福田さんの考え。その狙いは当たったのだろう、オープンして3カ月でリピート率は約65%。すでに予約で席が埋まる日もあるほど滑り出しは順調だ。
男性にとっての居心地の良さを追求。
来店するお客さまに聞いてみると、約8割がそれまで美容室に行っていたという。「当たり前のように通っていたけれど、若い女性に囲まれるのが気になるようになったというのが30代以上。最近バーバーがはやってるから来てみたというのは若い方に多い」と福田さん。そんな顧客のために意識するのは居心地の良さだ。インテリアはアンティーク調で統一したヨーロピアンクラシックの重厚な雰囲気。お客さまがゆったりとした気分になれるよう、BGMでスローテンポのジャズを流す。接客中に福田さんが身にまとうのは、ブラックスーツ。男目線での“上質さ”をそこかしこに散りばめる。それが、女性客が多い美容室では満たすことのできない満足感へとつながっていく。
お客さまだけでなく、スタッフも集まる店を目指す。
心がけるのは手を抜かないとことん丁寧な仕事。
インテリアや雰囲気作りだけではなく「技術面でのこだわりも多い」と福田さん。例えば、約4割の人が利用するというシェービング。「顔そりが苦手な人は、過去に痛かったり熱かったりという経験をしています。人の顔って痛点が多いですし、ヒゲの濃い薄いでも感じ方が違ってくるんです。そこをしっかりと見極めて、深く剃るのではなくスッキリと仕上げていく。気持ち良いシェービングを追求しています」。つい手を抜いてしまいがちなことも、ちゃんとやるのが福田流。ひとりのシェービングで6枚程度使用するスチームタオルは、1回使うたびにきっちり洗濯。首に巻いた時にひんやりしないようシャンプーケープは必ず乾かしてから使うなど、細かい点まで気を配る。「今までの店と何か違うな、と思ってもらえればOK。流れ作業はせず、丁寧であることを心がけています」。
業界全体が盛り上がるために。
福田さんは専門学校を卒業後、都内のバーバーに就職。その後10年間過ごしたのが業界の第一人者のひとり、ヒロ・マツダ氏率いる「THE BARBER」だった。最初から独立開業を目指して働いていたわけではない。「10年という節目にある程度の達成感があり、次の目標として独立を考えるようになったんです」。注目のバーバーから巣立つ形で、出身地・宇都宮に凱旋。新たな道を歩み始めた。現在バーバーチェアは2台だが、もう1台増やせるスペースを確保。働き手が集まる店にしていきたいと言う。「各地に今風のバーバーが増えていますが、かっこいい店がもっとあっていい。若い人の憧れる職業にしたいですね」。お客さまに満足してもらうのはもちろん、職業としての魅力も発信――。福田さんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
オーナーインタビュー
Q.メニューの特徴を教えてください。
A.5つのコースを主軸にしています。
多くの方にご利用いただいているのが、カット&シャンプーのコース(4000円)と、そこにシェービングを付けたコース(5500円)です。40代以上の方にはヘッドスパを組み込んだコース(7000円)も好評。最上級コース(1万2000円)は、カット、ヘッドスパ、スペシャルシェービング、フェイスマッサージ付き。自分へのご褒美にぴったりだと思います。
Q.宇都宮で開業するにあたり、どのようなことに気をつけましたか?
A.立地は慎重に選びました。
東京とは違い、車での来客が多くなると予想しました。そのため片側2車線ある大通り沿いや、交差点の近くは候補から外しました。店の前に駐車場があっても車を入れにくいからです。東京で店を開く気がなかったのは、それまでの店と顧客が競合してしまうから。ターゲットは狙い通り30~40代を中心にご来店いただいています。
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