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「バーバー」人気の理由

今「バーバー」が人気の理由

近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。

下北沢BAD-NICE(東京都世田谷区)

下北沢で30年繁盛するバーバー。
”本物のクラシカル”の魅力とは?

若者で賑わう下北沢の一角で、ひときわ目を引くクラシカルな店構えの「下北沢BAD-NICE」。昨今のクラシカルバーバー隆盛の流れにあやかった店ではありません。1987年の創業から30年以上、この地でロンドンスタイルを貫いてきた老舗なのです。美容室ブームに伴うバーバー苦難の時代を乗り越え、時間をかけて独自の立ち位置を確立してきたこのバーバー。流行に左右されずスタイルを守り抜いてきた道のりを、二代目として店を守る新井錠二さんに伺いました。

30年前の創業当時から、コンセプトは“クラシカルバーバー”。

1980年代では異例の、個性派バーバーとしてオープン。

「下北沢BAD-NICE」は、前オーナーが雑誌で見かけたロンドンのバーバーに触発されて開いた店。開業4年後の1991年に入社したという新井さんも、当時のことをよく覚えている。「当時はバーバーといえば街の理髪店のこと。美容室全盛の時代で、バーバーにスタイリッシュさは求められていませんでした」。実家が理容室で、自然な流れで理容専門学校を出た新井さんは「入りたいと思うバーバーがここしかなかった」と振り返る。当時として異例の、際立った存在感を放つバーバーだったのだ。

  • 看板のイラストは一見ユニークだが、古い理髪技術書の挿絵をモチーフにしたもの

  • 今でこそ各所で見かけるクラシカルスタイルのバーバー。こちらは東京におけるその先駆け

時間をかけて、いつしか本物のクラシカルに。

シンプルだが洗練されたロゴ、白黒格子の床、壁に飾られた白黒写真や鹿の角、わざわざ買い付けたというアンティークのバーバーチェア。インテリアはどれも創業当時のまま。つまりオープン当初からここのコンセプトは“クラシカル”だったのだ。それから30年の月日が流れ、現在店に漂うのはロンドンの街角にあるような老舗バーバーの雰囲気。時間をかけて、“作られたクラシカル”から”本物のクラシカル”へと徐々にシフトしてきたのだ。

  • バーバーチェアは1960~70年代のアンティーク。修繕を繰り返しながら大切に使われている

  • 水栓ひとつからも伝わる歴史。それが古臭く見えないのは、一貫したテーマの賜物だ

箱は変わらず、技術は変える。一貫するのは”カッコいい男”を生み出すこと。

個性的な人が集う下北沢の土地柄もプラスに。

“独自のスタイルを貫くバーバー”という価値の確立には、下北沢という場所柄も役立った。もともと音楽、芝居、映画に関わる人々が多いエリア。望まれるヘアスタイルも単一的ではなく、個性的で主張が強いものだったのだ。とくに創業間もない1990年代は、ドレッドヘアやリーゼントを希望するお客さまが多かったという。パーマやカラーリングの需要も高く、そのすべてに応えることで、このバーバーは信頼を高めていったのだ。

  • 求められるスタイルが変わっても“お客様の希望を叶えるカット”が、ここの変わらない持ち味

  • 気に入ったハサミを「一生分」買ったという新井さん。使い続けるこだわりの道具が、時代を超えて流行のスタイルを生む

雰囲気は変えず、しかし時代に合った技術は追求する。

店の全体像は変わらずとも、望まれるヘアスタイルが変わればすぐさま対応する。そんな柔軟性も、長く続く経営の大切な要素だ。近年はフェード(刈り上げ)の需要が増えたため、その精度を上げるために、時間がかかるハードパーマは廃止にした。他にもヒゲのトリミングやアドバイスにも力を入れる、現代の需要に対応した器具があれば積極的に取り入れる、ポマードを中心とした店販品の刷新など、時代に応じた変化はいろいろ。一方でカット4,200円という界隈では安めの価格設定は、昔のまま。変わることと、変わらないこと。そのバランス感覚が、長期的な経営の秘訣なのだ。

  • 気に入れば新たな道具を取り入れることも辞さない。変えないことと変えることのバランスがこのバーバーの魅力

  • 流行を取り入れつつ、雰囲気にも溶け込む店販品。近年はコームの売れ行きが良いという

各スタッフが独自の裁量で働くことで、幅広い客層を獲得する。

師の技を見て弟子が育つような、昔ながらの師弟関係。

スタッフ教育についても独特だ。新井さんとスタッフは経営者と従業員という関係でありながら「どこか昔ながらの師弟関係の雰囲気もあります」という。ゆえに細かなルールで縛るのではなく、それぞれの裁量に任せるのが基本。スタッフは新井さんの背中を見て技術を磨き、店の伝統を感じ取って自身の判断でサービスを実践するのだ。たとえば服装の規定はないが、気づけばどのスタッフも、クラシカルなスタイルに身を包んでいたという。

4台のセット面が、常にフル稼働。

現在の体制は4台のセット面に4名のスタッフ。シフト制ではなく、営業日は全員が出勤する。46歳の新井さんは同年代のお客さまをメインとするが、20代のスタッフには若いお客さまもついている。この「20代から50代までまんべんなく」という幅広い客層の理由も、スタッフそれぞれが自身の裁量で仕事に当たる結果だろう。もちろん技術研修もあるが、基本は実践を通して覚えること。「狭い店なので、全体がよく見えますから」という新井さんに見守られながら、それぞれのスタッフが日々、技術を磨いているのだ。

  • 自身の作業をしつつ、全体にも目を配る新井さん。「大きな舵取りが私の仕事」という

  • 師弟を思わせるスタッフとの距離感。ときに気さくに話し合い、ときに厳しく指導することで若いスタッフを導く

代表インタビュー

新井錠二さん。1971年生まれ。理容専門学校を卒業後「下北沢BAD-NICE」に入店。前オーナーの下で技術を学び、後に二代目として店を受け継いだ。フェードをはじめとしたクラシカルなバーバースタイルを得意とする

Q.最近のお客さまの傾向をお教えください。

A.時代とともに、よりシンプルなスタイルのご希望が増えています。

とくに下北沢において、かつてヘアスタイルは個性を主張するものでした。最近ではそれが変わり、お客さまのご希望はよりシンプルなスタイルに移っています。そしてシンプルだからこそ、違いを出すために高い技術が必要になります。刈り上げの濃さひとつでも印象は大きく変わります。そういった細かい部分を重視し、ご満足いただけるスタイルを心がけています。

Q.理容業界自体は、どのように変わってきていますか?

A.志望者が増え、若い世代が育っている。とても良いことだと思います。

いまはバーバーブームもあって、こだわりのある理容室が増えたことから、労働環境自体も良くなっている印象。私が修業していた頃は昔気質の厳しさがありましたので、これは良い変化といえるでしょう。若いスタッフが夢とやりがいを持って楽しく働けることは、業界の未来にとっても良いことだと思います。

Salon Data

下北沢BAD-NICE

アクセス
下北沢駅北口より徒歩5分
創業年
1987年
店舗数
1店舗
設備
カット面4席
スタッフ数
4名

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