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「バーバー」人気の理由

今「バーバー」が人気の理由

近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。

BARBER NEOS(名古屋市名東区)

次回予約率8割超!
貸切バーバーのファン獲得術とは。

名古屋市名東区上社。閑静な住宅街が広がるこの街の一角に「BARBER NEOS」はあります。「お客さま一人ひとりを大事にしたい」との思いから完全貸切制のマンツーマンにこだわる同店は、2018年4月の開店からわずか1年弱で予約が取れないほどの人気店に。週末に同店を訪れるお客さまの次回来店予約率は、なんと8割を超えるといいます。

徹底した“お客さま目線”で、多くのファンを生む「BARBER NEOS」。その人気の理由と経営哲学を代表の松浦健治さんに伺いました。

挫折が育んだ「お客さまのために」という思い。

下積み時代の挫折、そして再び理容の道へ。

実家が理容室だったことから、この道に進んだという代表・松浦健治さん。専門学校卒業後は名古屋市中心部の老舗サロンなどで経験を積んでいたが、実は一度“挫折”を味わっている。「逃げ、ですよね。実家の理容室では自分のやりたいスタイルはできないし、同じ店で修業していた後輩たちはどんどん独立していく。すでに妻と子供がいたこともあり『もう、理容の道で食っていくのは諦めよう』と転職することを決めたんです」と松浦さん。その後、約2年間にわたって不動産の営業マンや建設現場の施工管理業務などを経験するも、持ち前の“職人気質”や理容への思いが消えることはなく、一念発起。再び理容の道に戻ることを決意する。「かつてのお客さまに『また理容師をやります』と連絡したら、2人の方から『だったら髪を切ってほしい』というお返事をいただいたんです。あの時は本当にうれしかったですね。『この2人のためにも、絶対に自分の店を持とう!』と決めました」と松浦さんは話す。

  • 「誰でも入りやすい居心地の良いバーバーを作りたい」と代表の松浦健治さん

  • 子育て世代が多く住む住宅街、上社に佇む「BARBER NEOS」。店の前はバス通りで交通量が多いこともポイント

トリプルワークを経て、念願のバーバーをオープン。

理容の道に戻った松浦さんは、開業資金を貯めるために2つのサロンに加えて飲食店で働くトリプルワーク生活を続けた。その間、店のコンセプトや立地、設備、サービスなどについて検討を重ねていったという。「自分のお客さまは車で移動される方が多いので、駐車場は必須。中心部から多少離れても、店の前に駐車場を確保できる物件を探していました。また、初めてバーバーを利用する方も気軽に入れるようにしたかったので、外観や内装はハードすぎないようにしよう、と。なにより、一人ひとりのお客さまを大事にしたいので、マンツーマンの貸切制にすることにしました」と松浦さん。そして、3年間におよぶトリプルワーク生活の末に、松浦さんは理想の条件を備えた物件を発見。「お客さまのために」という思いを実現するべく「BARBER NEOS」を2018年4月に開業する。

  • 車で移動するお客さまのために、店の前には車を2台駐車できるパーキングスペースがある

  • 店内にはポップな小物やアートが。敷居が高くならないように、ハード過ぎない雰囲気を心がけている

1対1のコミュニケーションが、ファンを生んでいく。

1対1のコミュニケーションを生み出す仕掛け。

本レンガを使った重厚な壁、オーダーメイドで設えた鏡、フルフラットになるバーバーチェア、バーボンやシングルモルトが並ぶバーカウンター……。「BARBER NEOS」に足を踏み入れると、そこには松浦さんのこだわりや趣味に満ちていた。広々とした店内にセット面は3席あるが、利用するのは通常一面のみ。ゲストはこの贅沢な空間で、髪を切り、くつろぎ、松浦さんとの会話を楽しむ。「1対1の価値は、お客さまときちんと向き合えること。そのためには、やっぱりコミュニケーションが必要だと考えています」と松浦さんは話すが、コミュニケーションを生み出すための仕掛けは店内の随所に垣間見える。たとえば、バーカウンターに並ぶお酒や名作映画のDVD、80年代〜90年代ロックのCDなどもその一つ。「お客さまがチェアに座ると、鏡越しにカウンターが見えるんです。ここには僕の好きなものが置いてあるから、もし興味を持ってもらえれば会話のきっかけになる。僕がどういう人間か知ってもらうことが第一歩だと思っています」と松浦さん。こうして始まったコミュニケーションは、来店回数を重ねるうちに信頼に変わってゆくのだろう。「BARBER NEOS」には、仕事場や家庭ではできない深い話をする方や閉店後に一緒に飲みに行く方など、さまざまなファンが生まれているという。

  • お酒や映画のDVD、ロックミュージックのCD、自転車などが置かれたカウンター周りは、松浦さんの”自己紹介コーナー”でもある

  • 店内にはお客さまからプレゼントされた自転車も。「BARBER NEOS」がファンに愛される店であることを物語っていた

お客さまと向き合う姿勢がファンを生む。

30代〜50代の男性を中心に、下は2歳から上は90代と幅広い顧客層を持つ「BARBER NEOS」。来店頻度は月1回から2週間に1回ほどで、来店時に次回の予約を取るお客さまが大多数。そのため、同店の予約リストは、数週間先までびっしりと埋まり、特に土日はほとんど空きがないほどだ。最も人気のメニューは、プレミアムカットフルコース5,000円。カットとシェービングに加え、頭皮クレンジング、眉カット、フェイスパック、フェイスマッサージなどを含んでこの価格はかなりリーズナブルだ。「お客さまのなかには『値上げしてくれればもっと予約が取りやすくなるのに』と言ってくださる方もいますが、あまり高くはしたくないですね。気軽に毎月来て、ゆっくりしてもらえるような店でありたいんです。それに、予約が取りにくいからといって人を増やす予定もありません。僕自身がマンツーマンでお客さまと向き合い、丁寧に仕事をする。それがうちの主義であり、価値だと思っていますから」と松浦さん。そんな松浦さんの人柄と技術に惚れ込むファンが多いのだろう。名古屋市内はもちろん市街から訪れるお客さまも多く、なかには異動先の東京から通う常連も。「お客さまのために」というオープン当初の哲学を守り続けていることが、「BARBER NEOS」の人気の理由なのだ。

  • もともとは喫茶店として利用されていた店内。かつてのインテリアや壁を活かしながら、独自の空間を作り上げている

  • 店販アイテムではグリースとコームが人気。「実際に自分で使ってもらってから、購入してもらうようにしています」と松浦さん

代表インタビュー

松浦健治さん。愛知県出身。専門学校を卒業後、栄や名古屋駅の老舗理容室に勤務。一時期は転職するも、理容の道に復帰し、数店舗の理容室で経験を積む。2018年4月1日、名古屋市名東区の上社に完全貸切制の「BARBER NEOS」を開店

Q.お客さまの信頼を得るために必要なこととは?

A.お客さまの視点に立って考えることだと思います。

たとえば初めてバーバーを訪れるお客さまのなかには、バリカンでの刈り上げに抵抗のある方もいます。そういう場合には、まずハサミで軽く刈り上げてから「バリカンでやってもこういう感じになりますよ。もっと短くもできますがどうしますか?」と確認するようにしています。少し手間はかかりますが、そういう細かいコミュニケーションを取りながらお客さまの求めるカットを追求できることが、マンツーマンの良さだと思います。

Q.今後、どのようなバーバーを目指していきますか?

A.かっこいい床屋を作っていきたいですね。

今、バーバーというと流行りモノみたいに思われることもあるじゃないですか。でも、僕らがやってることって、ずっと変わらないんですよね。昔から刈り上げもあったし、ツーブロックもあった。それが「かっこいいもの」として受け入れられるようになっただけだと思うんです。もちろんバリっとしたスタイルのバーバーはかっこいいと思うけれど、その一方で昔ながらの“床屋”に対しての誇りもある。だから自分は、より多くの人に開かれた「かっこいい床屋」を作っていきたいですね。

Salon Data

BARBER NEOS(バーバー ネオス)

アクセス
名古屋市営地下鉄東山線上社駅から徒歩5分
創業年
2018年
店舗数
1店舗
設備
セット面3席
スタッフ数
1名
URL
https://beauty.hotpepper.jp/slnH000414109/

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