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女性が活躍するサロン

女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣

結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。

vol.118朝営業に独立支援…。多様な働き方を提案するサロン。

EYELA

東京都千代田区

AOE株式会社が、東京をはじめ全国に32店舗を展開するまつげエクステサロン「EYELA(アイラ)」。40名いるスタッフの全員が女性で、ママスタッフはうち4名、育休・産休中のスタッフも4名在籍しています。創業まもなくから進めてきたという女性活躍の取り組みは徐々に浸透し、昨年初めて、時短勤務の幹部スタッフが誕生しました。「キャリアは前倒しで積んでおくべき」と語る代表取締役の小笠原槙さんに、女性中心の職場ならではの制度や工夫について伺います。

1取り組み

ママスタッフが朝の時間を有効活用できる「朝EYELA」。

どんな取り組み?

通常では10時または11時に設定しているサロンのオープン時間を、一部店舗で1~2時間早めて9時オープンに変更。該当店舗のスタッフが、朝9時から希望の時間まで働ける時短勤務制度「朝EYELA」を2018年に導入した。現在、時短正社員のママスタッフは3名おり、全員がこの制度を利用している。

背景とメリットは?

「朝EYELA」は、ふたりの育児をしながら11時~17時の時短勤務をしていたママスタッフの発案により始まった制度。「保育園のお迎えがある18時に間に合わせるために、ママスタッフの退勤時間は17時がリミットになります。もっと長く働きたいから、始業時間を早めてほしいという提案があったので、取り入れることにしました」と小笠原さん。導入したことでママスタッフが働ける時間は長くなり、お給料もアップ。出勤が早くなった分、退勤時間を少し早めることで、保育園のお迎えに焦ることもなくなり、気持ちに余裕ができたという声も聞こえてきている。「お客さまの中にも、育児や仕事の都合で朝の時間帯しかサロンに行けないという方がいらっしゃいます。そういった方々に便利に利用していただいているようです」と小笠原さんは話す。

「朝EYELA」発案者の美里彩さん(写真右)は、現在9時~16時勤務。「子どもを保育園に預けてそのままサロンへ直行できるので、朝の時間を持て余すことがなくなりました」

「朝EYELA」発案者の美里彩さん(写真右)は、現在9時~16時勤務。「子どもを保育園に預けてそのままサロンへ直行できるので、朝の時間を持て余すことがなくなりました」

2取り組み

ライフステージの変化に対応できる、多様なキャリアプランを用意。

どんな取り組み?

アイドレッサー(施術者)として入社後、技術や経験を積んだスタッフは店長や部長など管理職へのステップアップが目指せる他、フランチャイズ本部でのスーパーバイザー業務や美容商材を扱うグループ会社への勤務など、多彩な選択肢からキャリアを選べる。

背景とメリットは?

女性は結婚・出産などのライフイベントによって、仕事とプライベートのバランスに変化が生じやすいもの。働き方が固定化していると、育児などで家庭に重きをおかなくてはならない状況になった時、対応できなくなってしまうことも。「仕事とプライベートのバランスが変わってもずっと働き続けてもらえるように、多種多様なキャリアプランを用意していきたいと考えています」と小笠原さん。出産を機にキャリアを転向したスタッフは、現在のところ1名。アイドレッサーから教育部長へとステージを変えたそのスタッフは、店舗を離れたことで、時間に縛られない働き方ができるように。子どもの発熱などによる急な呼び出しにも対応しやすい、というのが大きな利点だ。「みんなが活躍できるポジションを増やすためにも、さらに事業規模を広げていきたいですね」と小笠原さん。

「社員のみんなが後悔することのないように、女性のライフステージの変化が仕事にどう影響するかについて、常々話はしています。先々を見据えてキャリアを考えてほしい」と小笠原さん

「社員のみんなが後悔することのないように、女性のライフステージの変化が仕事にどう影響するかについて、常々話はしています。先々を見据えてキャリアを考えてほしい」と小笠原さん

3取り組み

「EYELAのオーナー制度」でスタッフの独立を支援。

どんな取り組み?

自分のサロンをオープンしたいというスタッフの、独立開業をサポートする制度。フランチャイズ加盟店として不動産初期費用や店舗家賃を補助する他、開業後はメニュー作りや求人業務など経営面を本部がサポート。新入社員の教育や月1回の検定試験、オーナー・店長・スーパーバイザーで行う月1回の会議、2カ月に1回開催する全店舗の店長会議など、教育サポートも充実。オーナーはロイヤリティを支払うことで、本部と二人三脚での運営体制が得られ、店舗マネジメントに専念できる。小笠原さんいわく、「男性のように大きく借り入れをして事業を始めようと考えるスタッフは少ないので、リスクを抑えて挑戦できる機会を提供していきたいと考えています」。

きっかけとメリットは?

約8年前、独立志向を持っていた優秀なスタッフに、開業後も一緒に仕事をしていかないかと提案したことがきっかけになった。この制度を使って自分の店舗を持ったスタッフはこれまでに2名。うち1名は独立から6年で3店舗目をオープンさせている。
「最近、そのオーナーに子どもが生まれました。出産前後は働けない期間がどうしても出てきてしまいますが、そういう時こそ『EYELAのオーナー制度』が役に立つと思います」と小笠原さん。妊娠・出産でオーナーが休んでいる間も、本部が店長をフォローし、営業促進業務を遂行するため、サロンは滞りなく動き続けることができるのだという。おかげで本人が働けない期間も、サロンの売上は途絶えることがない。「個人でサロンを経営しているとこういったサポートがないので、不安が大きいはず。『EYELAのオーナー制度』はライフイベントの影響を受けやすい女性にこそ、おすすめの独立スタイルだと思います」と小笠原さん。

「EYELA」の店舗は現在、日本とインドネシアに全33店舗。今年中に7店舗のオープンも決まっている

「EYELA」の店舗は現在、日本とインドネシアに全33店舗。今年中に7店舗のオープンも決まっている

代表取締役インタビュー

小笠原槙さん。短大卒業後に飲食店を経営。その後、まつげエクステ業界の成長性を感じ、2007年に「AOE株式会社」を設立。AOEグループとして、まつげエクステサロン「EYELA」、まつげエクステ商材卸会社「Pro Shop」などを展開する

Q. 小笠原さんは昨年出産されて、お母さんになられたそうですね。経営者として考え方に変化はありましたか?

A. 女性は早めにキャリアを積むべきだと考えるようになりました。

妊娠・出産による女性のキャリアの中断については、以前から課題を感じ、ママスタッフをサポートするための仕組みづくりを進めてきました。私自身は出産後も育児をしながら無理なく働けているのですが、それはオーナーという立場だからこそできていることだと思うのです。これまでに積んできた経験と実績があるから、出産後も働きやすい環境を得ることができているのではないかと。そう感じるため、社員たちには「時間のある若いうちに、前倒しでキャリアを積む」ことを呼びかけています。早くから頑張ってキャリアを積んでおけば、働き方の選択肢が広がります。いざ妊娠・出産となった時に、時間に縛られない働き方ができるステージにいれば、好きな仕事を続けていくのは難しいことではないはずです。

Q. 今後、新たに計画されている女性支援の取り組みはありますか?

A. 出産後のスタッフのイレギュラーな勤務体制を計画しています。

産休・育休期間に指名のお客さまが離れてしまうことは、アイドレッサーにとって大きな痛手です。出産してすぐに時短勤務で働くのは難しいけれど、指名のお客さまにだけは施術したいというスタッフもいると思うので、それが叶う勤務スタイルを新たに設けたいと考えています。例えば、復帰後の一定期間は指名のお客さまの予約だけ受け付けるなど。今、産休に入っているスタッフに話してみたところ「やってみたい」ということだったので、これから詳細を固めていく予定です。

Salon Data

EYELA【アイラ】

創業年
2007年
店舗数
33店舗
スタッフ数
40名
URL
https://eyela.jp/
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