メイク復活の波に乗れる⁉
口紅ブーム到来に、サロン店販の可能性は?

物価高が続く中でも、化粧品などの「理美容用品」にかける消費は増加しています。特に、コロナ禍で落ち込んだ口紅の需要が回復し、購入単価も上昇傾向にあります。

消費者のメイクアイテム購入意欲の高まりが、サロン店販の追い風となるチャンスはあるのでしょうか?

今回は「美容センサス2024年下期<美容意識・購買行動編>」、総務省「家計調査」などのデータを基に、メイクアイテム市場の変化を解説し、美容サロンにおける店販の可能性について考察します。

(ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子)

口紅消費が回復!コロナ禍を超える支出額に

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「数字で見る美容」(総務省「家計調査」(費目分類)を元に図表作成)

総務省の家計調査によると、「理美容用品」の毎月の消費額は前年を上回るペースで増加を続けています。

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「数字で見る美容」(総務省「家計調査」(費目分類)を元に図表作成)

特に、2024年12月の口紅消費額はコロナ禍の影響を受けた2020~2022年の水準を上回り、2019年を超える水準に回復しています。

若年層の購入意欲が回復!市場の変化とは?

若年層を中心に、口紅の購入意欲が上昇していることも見逃せません。ホットペッパービューティーアカデミーの調査では、「口紅・グロス」の1年以内の購入率は、コロナ禍で大きく減少したものの、近年は顕著な回復傾向を示しています。

出典:「美容センサス2024年下期<美容意識・購買行動編>」15~19歳、20代女性

ティントリップやリキッドルージュといった新しいカテゴリのリップが浸透し、購入意欲を刺激していることも影響しているとも考えられます。

コロナ禍では、マスク着用が当たり前となり、口紅市場は一時大きく縮小しました。しかし、マスク対応型の「落ちにくい」リップが登場し、口紅市場の新たな柱となっています。

出典:「美容センサス2024年下期<美容意識・購買行動編>」※「口紅・グロス」1年以内購入者が回答

口紅の購入単価の上昇も確認されており、特に中心購入者層である15~19歳、20代女性の単価上昇が顕著です。物価高に加えて、消費者が「より高品質な商品」や「付加価値の高い商品」にシフトしていることも考えられます。