白髪染め市場は6061億円。物価高で増えるサロンと自宅の「併用派」

白髪染めは、多くのサロンにとってお客さまとの長いお付き合いのきっかけとなる大切なメニューです。実は、この白髪染めの市場規模が6061億円にもなる巨大なマーケットだということはご存じでしたか?

この巨大な市場で、物価高の影響も受けたお客さまの行動変化が起きています。ホットペッパービューティーアカデミーの「白髪・グレイヘアに関する意識調査2025」(2025年9月)から、これからのサロン経営のヒントを探りましょう。

(ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子)

【市場概観】6061億円の巨大市場。主役は引き続きサロン染め

※月間の平均金額、人口推計からの推計
出典:ホットペッパービューティーアカデミー「白髪・グレイヘアに関する意識調査2025」

はじめに、白髪染め市場の全体像を見ていきましょう。調査からは、2025年の白髪染め市場規模は6061億円と推計しています。

その内訳は、「サロン染め」が4454億円、「自宅染め」が1607億円となっており、サロンでの施術が市場の7割以上を占めていますお客さまがプロの技術に高い価値を感じていることがうかがえます。

※月間の平均金額、人口推計からの推計
出典:ホットペッパービューティーアカデミー「白髪・グレイヘアに関する意識調査2025」

また、年代別に見ると40代以上の層が市場の中心を担っていることが分かります。

※数値回答
出典:ホットペッパービューティーアカデミー「白髪・グレイヘアに関する意識調査2025」

白髪染めは40歳前後で始め、60代前半から後半まで続けられることが多く、ライフステージの変化があるなか長期的な需要が続くのが特徴です。

物価高がもたらしたお客さまの変化。「自宅染め」と「サロン染め」の新たな関係性

※各単一回答、現在実施している白髪対策ベース
出典:ホットペッパービューティーアカデミー「白髪・グレイヘアに関する意識調査2025」

お客さまの行動には変化が見られます。物価高の影響により、理美容室での白髪染め頻度は「減った」(15.5%)が「増えた」(9.2%)を上回りました

一方、自宅で市販品を使って染める頻度は「増えた」(19.0%)が「減った」(11.1%)を上回り、自宅でのケアが増える傾向が見られます。

※本調査全体ベース n=1,031
出典:ホットペッパービューティーアカデミー「白髪・グレイヘアに関する意識調査2025」

ここで注目しているのは、サロンと自宅を使い分ける「併用派」が19.1%存在し、前年から3.3ポイント増加している点です。これは単なるサロン離れではなく、お客さまがライフスタイルに合わせてサービスを選択し始めていることが影響していると考えられます。

「併用派」をロイヤル顧客にするためのコミュニケーション術とは?

※複数回答、実施者ベース
出典:ホットペッパービューティーアカデミー「白髪・グレイヘアに関する意識調査2025」

「併用派」の増加は、自宅染めを「競合」と捉えるのではなく、サロン・自宅それぞれの長所を生かしながら、お客さまとの新しい関係性を築く機会とも捉えられます。

例えば、サロンでの施術を「ご褒美メンテナンス」、自宅でのケアを「パーツメンテナンス」と位置づけ、お客さまのライフスタイルに合わせた最適なケアプランを提案することも方法の一つ。自宅でのケアも肯定しつつ、定期的なサロンでのメンテナンスの重要性を伝えることが、お客さまの信頼に繋がります。

お客さまとの継続的な関係を築くには、プロとしての情報提供が重要です。例えば、ブログやこだわりページを使って、サロンでの白髪染めに対して効果的な「自宅ケアの方法」などを発信してみましょう。専門知識を提供することで、サロンの信頼性を着実に高めることができるでしょう。