「興味関心あり」53%、でも「恥ずかしい」―サロン接客が越える、フェムケアの心理的ハードル

「肩、こってますね」「お疲れですか?」―サロンでよく交わされる、何気ない会話ですが、お客さまの肩こりの背景には、生理痛、PMS、更年期症状、ホルモンバランスの揺らぎなど、言葉にしにくい”女性特有の悩み”が隠れているかもしれません。

前回(第1回・マーケット解説編)では、女性の7割が不調を抱える一方、フェムケア対策としてサロンを選ぶ人はわずか5%に満たない現実を見ました。そして、その5%の女性たちは、整体・よもぎ蒸し・フェイシャル・腸セラピーといった定番メニューを”対策”として選び取っていることも分かりました。

一方、“気になっている。でも、自分から言い出しにくい”―そんなお客さまに、サロンができることは何でしょうか。今回は「女性の健康・美容(フェムケア)に関する意識調査」(2026年6月)からお客さまが求める情報・嬉しい気遣い・心理的ハードルへの向き合い方、3つの視点から読み解きます。

(ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子)

お客さまが求めているのは「自分にあった提案」と「専門的なアドバイス」

まずは、お客さまがサロンスタッフに何を求めているのか?その中身を見ていきます。

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「女性の健康・美容(フェムケア)に関する意識調査」

不調・悩みを抱える20~59歳の女性に「美容サロンのスタッフとの会話で、実際に参考にしている情報、求めている情報」を尋ねた結果、上位に並んだのは次の項目でした。

  • 1位:自分にあったサロンメニューの提案(19.1%)
  • 2位:悩んでいる症状への専門的なアドバイス(15.9%)
  • 3位:スタッフやお客さまの体験談(15.4%)

一方、「サプリ・健康食品の紹介」(6位)、「サロンで購入できる商品の使用方法」(7位)は1割前後です。

ここから見えてくるのは、お客さまが求めているのは”商品提案”よりも、まずは“私に合わせた提案”と”リアルな体験談”だということです。

カウンセリングの中で得た情報から「あなたの状態を見て、あなたにあうのはこれですよ」とメニュー説明につなげる接客と、「自分と似た人がどうだったか」が分かる体験談をサロンのスタッフに期待をしています。

年代別にTOP3を並べてみても、並ぶ顔ぶれはほぼ共通です。

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「女性の健康・美容(フェムケア)に関する意識調査」

「自分にあったメニュー提案/専門的なアドバイス/体験談/セルフケア」の4項目が、世代を超えた共通したニーズだということが分かります。20代~40代では1位が「自分にあったメニュー提案」で共通し、50代だけが「専門的なアドバイス」がトップに来ます。

ただしスコアの絶対値を見ると、30代がピークで、40代、50代になると下がっていきます。30代はサロン側の情報提供への期待値が最も高い層です。30代には、TOP3すべての要素(提案・アドバイス・体験談)を丁寧に届けることが満足度に直結するでしょう。

一方、40代、50代と年代が上がっていくと、情報提供の前に”会話の心地よさ”などの配慮も大切になってきます。

嬉しい気遣いは「話しやすい雰囲気」と「体への配慮」

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「女性の健康・美容(フェムケア)に関する意識調査」

次に、お客さまがスタッフからあると”嬉しい”と感じる気遣いを見ていきます。トップ2を見ると、1位が「話しやすい雰囲気づくり」(31.7%)、2位が「体の疲れ具合に配慮して対応してくれる」(30.6%)で、メンタルへの配慮(話しやすさ・親身さ)とフィジカルへの配慮(体の疲れ・体調)との両方が、お客さまの満足を支えていることが分かります。

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「女性の健康・美容(フェムケア)に関する意識調査」

年代別の数字をみていきましょう。20代は、1位「施術中の痛み・刺激・違和感がないか聞いてくれる」:32.7%(全体平均+5.1pt)、2位「会話量や距離感を気にかけてくれる」:29.9%(全体平均+2.9pt)がそれぞれ全体平均を上回っており、他の年代以上に心理的安全性を感じられる場の作り方を重視していることが分かります。

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「女性の健康・美容(フェムケア)に関する意識調査」

30代は、こちらの調査でも、全項目で最もスコアが高い世代でした。フィジカル・メンタルどちらの気遣いも強く求める、最もフェムケアニーズの高い層です。

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「女性の健康・美容(フェムケア)に関する意識調査」

40代、50代は全体平均よりも下回るスコアのものが多いですが、50代では「話しやすい雰囲気づくり」が36.6%で全体平均を上回っています。
また、「話しやすい雰囲気づくり」は40代、50代ともに1位で、この世代は、話しやすさ・親身さといったメンタル面への配慮を重視しています。

つまり、20代は”心理的距離感のコントロール”を、30代は”フィジカル+メンタル両方”を、40~50代は”親身な傾聴姿勢”を、それぞれ「嬉しい気遣い」として受け取っていることが分かります。「全員に同じトーンで話しかける」のではなく、年代別のトークの引き出しを持っておくことが、スタッフ教育のポイントになるでしょう。

例えば、

  • 20代のお客さまには、「今日はどのくらいお話ししたい気分ですか?」と最初に聞く
  • 30代のお客さまは、最もケアニーズが高い世代。体調確認・施術中の声かけ・寄り添う姿勢を全項目で丁寧に実践する
  • 40~50代のお客さまには、「前回から体調の変化はありますか?」と継続性を示し、傾聴の姿勢を見せる。カルテに好まれる会話量や距離感をメモして、次回以降に活かす

特に20代は、前回の記事でも見たようにSNSや生成AIで情報を得てから来店する世代です。「自分のペースで受けたい」というニーズが強く、接客の主導権を尊重する姿勢が信頼につながります。