「バーバー」人気の理由
今「バーバー」が人気の理由
近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。
BARNEYS BARBER'S SHOP by KAMISORI CLUB 148(神奈川県横浜市)
舞台は高級セレクトショップ。
“ヒゲデザイン”に特化したバーバーとは?
「BARNEYS BARBER’S SHOP by KAMISORI CLUB 148」があるのは、「バーニーズ ニューヨーク横浜店」の中。ショップインストアとしてカフェなどを併設するケースはあるものの、バーバーが入っているのは全国の「バーニーズ ニューヨーク」を見渡してもここだけです。店頭にサインポールはなく、ビラ配りでの告知もなし。それでもお客さまがこの店を目指すのは、“男の身だしなみ”ともいわれるヒゲへのこだわりにありました。
「バーニーズ ニューヨーク」初の試み。
店内にバーバーを併設するということ。
リニューアルを機にメンズフロアにバーバーが誕生。
2013年12月、「バーニーズ ニューヨーク横浜店」20周年のリニューアルにあわせて店はオープン。「バーニーズ ニューヨーク」の狙いは、スペシャリティストアとしてモノを売るだけでなく、お客さまにプラスαの付加価値を提供していくこと。メンズフロアを見直すなかで行き着いたのが、男性が集うサロンであり、ファッションとも親和性の高いバーバーだった。横浜店はみなとみらいなどの繁華街からは離れた立地。お客さまは何かのついでに立ち寄るのではなく、買い物のためにわざわざ足を運ぶケースが多い。少しでもゆったりと、快適に、館内で過ごしてもらうためにもバーバーは効果的だ。
バーバーの枠を超えた提案をすることも。
例えば、カップルで買い物に訪れた場合。女性がじっくりと商品を見定めている間に、男性はバーバーで過ごすことができる。お気に入りのスーツを見つけ、裾上げを待つ間に利用するのもいい。バーバーがあることで、自ずと滞在時間は延びていく。
バーバー側のメリットも大きい。「バーニーズ ニューヨーク」を訪れるのは、おしゃれに興味がある人ばかり。だから、スタッフのモチベーションも高い。スタイリストはスーツに身を包んで接客。頭のてっぺんからつま先までトータルでコーディネートする意気込みで仕事に臨む。実際、お客さまに服のご提案をすることも。オープン当初は買い物のついでに来ていた人が、今はバーバーを目的に訪れるようになったという。
本格的なヒゲのデザインで
既存のバーバーとも差別化を図る。
ヒゲ文化の伝道が出店の理由。
現在は多くのリピーターに支えられ、時に海外からの旅行客がわざわざ来店することもある。成功の秘訣は、ただ「バーニーズ ニューヨークにある店」だからではない。注目すべきは「本格的なヒゲのスタイリング」というコンセプトだ。バーバーの母体となる「カミソリ倶楽部」は、1903(明治36)年創業の老舗カミソリ専門店。オープンに際し、髪をカットするだけでなく、ヒゲ剃りの技も極めたスタイリストを揃えた。「バーニーズ ニューヨーク」からの話を受けて出店を決めたのは、横浜からヒゲ文化を広めていきたいという思いがあったから。ファッションへの感度が高い人の集まる「バーニーズ ニューヨーク」は、うってつけの場所でもあった。
カットのおまけではない、洗練されたヒゲのデザイン。
男性がヒゲを整えるのは、女性が化粧をするようなもの。顔立ちにあったデザインにすれば、俄然見栄えがよくなる。ヒゲを剃るのはバーバーの仕事のひとつだが、技術だけでなく文化まで突き詰め、お客さまに伝えているケースはほとんどない。この店舗ではカット同様、ヒゲのスタイリングを主要なメニューに採用。その場でデザインの提案をするだけでなく、日常的な手入れの仕方や道具の使用方法まで指南するコースを設ける。お客さまの中には、カットはいつものバーバーに行き、ヒゲのためだけに訪れる人も。海外客が来るのも、ヒゲデザインの噂を聞きつけてのこと。「バーニーズ ニューヨーク」という場所で、ヒゲに特化したコンセプトが、多くの人を惹きつけている。
インタビュー
Q.「バーニーズ ニューヨーク横浜店」で営業することに特別な思いがあるとお聞きしました。どのようなことですか?
A.横浜の山下町は西洋理容室発祥の地なのです。
もともと「ヒゲ文化を伝えていけるような店をやりたい」という思いがあり、どうせなら山下町でと考えていました。明治時代に西洋理容室が生まれた場所こそ、我々の理念に合うと思ったからです。そんな時に声を掛けていただいたのが「バーニーズ ニューヨーク」。しかも住所は山下町。運命を感じましたね。店名の148は、その西洋理容室があったという番地名。伝統へのリスペクトと、ここからヒゲ文化を広めていくという決意です。
Q.オープン後、営業が軌道に乗るまでご苦労はありませんでしたか?
A.店舗の告知ができないという、特殊な事情がありました。
通常、バーバーでしたらサインポールを目印に掲げます。また、呼び込みのためにビラを配ることもあるでしょう。でも、そのような手法を使わずとも、まずは口コミで存在が知られていき、マスコミの取材が入ることで広く認知されていきました。そうなったのも、ヒゲに特化していたからこそ。アピールできる武器を持つことの大切さと、「バーニーズ ニューヨーク」というブランド力の大きさを実感しました。
Salon Data
BARNEYS BARBER'S SHOP by KAMISORI CLUB 148
- アクセス
- みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩1分
- 創業年
- 2013年
- 店舗数
- 1店舗
- 設備
- セット面2席
- スタッフ数
- 3名(常時1名体制)