｜第１章｜固定概念をとっぱらうと、風景も発想も変わってくる

　ご紹介に預かりました、西 樹です。
　今日はどんな話をしたらお役に立てるかなあと悩んだんですが、シブヤという街の変化や多様性についてキーワードを拾っていきながら、その中で、みなさんのお店の経営で使えることを見つけてくだされば、と思います。
　最初のトピックスはこれ。この１か月私がはまってる、バランスボールです。最近、バランスボールをイス代わりにした状態でパソコンに向かっています。先月の『WIRED』という雑誌の表紙にも出ていて、イタリアのフィットネス機器会社の本社800人がオフィスで自社製品のバランスボールを使っているのが話題になっています。これまでのものと違って、下に重心があって転がらないし、ゴムの上にメッシュのカバーがついていて高級感がある。日本でも、京都の化粧品メーカーが400個導入したそうです。応接のイスもこれだから、お客さんが来るとすごく戸惑うそうです（笑）

　で、私が言いたいのは、バランスボールがオススメということではなく（笑）、ふだん何気なく見ているものでも、「イスはこうじゃなくちゃ」といった固定概念を省いてみると、風景も発想も変わってくるということ。そして、面白いことにつながっていくかも、ということなんです。

　シブヤ経済新聞（以下シブケー）は、2000年にJ-WAVEの番組とコラボして始まりました。飲み歩いては「こんなのあったら面白いね」なんて言ってたところに、「じゃあ、番組でコラボしよう」と。ちょうどマークシティができた頃です。「広域渋谷圏」という言葉を作って、渋谷から一駅圏内を定圏観測する。そこでおきた変化を書き留めていくというニュース媒体です。シブ経作って、ラジオで毎週話さなくちゃって4年間追われていましたね。

　気がつくと、いろんな地域の小さな事業者さん、ウェブ関係とか編集プロダクションなどコミュニケーション関係の仕事をやっているところから、「面白そうだから」って問い合せをいただいて。結果的に、「みんなの経済新聞ネットワーク」ということで、それぞれのエリアで「◎◎経済新聞」が誕生しました。今では、カンナム、バンクーバー、香港などの海外でも、日本人が日本人向けにやっている。たとえばシンガポールだとここ数年、日本のラーメン屋さんが進出して人気で。そういうことを紹介していたりします。

　経済新聞という名前だからマジメな記事もあるけれど、たとえば井の頭通りに面白い自販機があって。その名も「ジャパニーズ・スーベニア・ベンダーマシン」。普通のドリンクの自販機だったのを、渡辺さんという方が、筒の中に千代紙の折り鶴ピアス2000円、とか日本土産を入れて売ってみたそうなんですね。ただ自販機を置くだけじゃなくて、知恵を絞って試行錯誤している。そんなクチコミを拾って、様々なネタを紹介しています。

　その他、去年ヒットした記事は、「渋谷モヤイ像、動く」。工事のためにモヤイを動かすというネタがヤフートピックスで紹介されると、いろんなツッコミが入りまして。「動いたんじゃなくて、動かしたんだろ！」とか（笑）。こういうツッコミがある記事や、「上野に一人焼肉屋ができた」みたいな意見がまっぷたつに分かれる記事。こういうのは話題になりますし、PVがハネますね。誰かが何かをしようとしていること、読んでちょっとハッピーになれるような街ネタやニュースを配信しています。