エステサロン領域
2012.01.25
経営コンサルタント出身のエステサロン経営者という経歴を持つ榎戸さん。現在はオーガニックコスメの販売と、エステサロンの経営を手がけています。もともとはエステ業界のコンサルティングを手がけていた彼が、自ら立ち上げたエステサロンとコスメの販売戦略、そして今後のエステ業界に見る光明とは。
PROFILE
榎戸 淳一
新卒で船井総合研究所に入社しエステ業界を担当する。「エステティック業界の健全化、イメージ回復」に使命感を感じ、船井総研内で自らエステティック業界のコンサルティングを立ち上げ、業界内で多大な実績を残す。現在は、株式会社ES-ROOTSを設立し、東京都目黒区で「fruits roots(フルーツ ルーツ)」というオーガニックコスメの販売とエステティックサロンを経営。さらにエステティシャンの目標となるエステティックグランプリを牽引する存在。「週刊粧業」「セラピストBEAUTY」の連載、業界イベント「ビューティーワールド」「ダイエット&ビューティー」での講演など幅広く活動。
|第2章|オーガニックコスメで道を拓く
野嶋 フルーツルーツで扱っている商品についてもう少し教えていただけますか。
榎戸 もともといろんなサロンに関わってきたのですが、いつも気になっていたのがエステティシャンの手荒れでした。毎日化粧品を使うエステティシャンにとっても、肌に優しくて安全なものを作らないと業界の発展もないのではないかと考えていたのです。
野嶋 そこでオーガニックという発想になったのですね。
榎戸 そうなんです。オーガニックというと、香りもなく色もなくというイメージが強かったと思います。それを、もっと楽しくなるように色や香りもしっかりついていて、デザインも可愛いものが作れないかと考えていました。もちろん、エステで使うのですから、結果にもしっかりこだわらなくてはいけません。どんな素材がいいかと考えていたときに、フルーツはどうだろうと思ったんです。海外にはフルーツスパというスパがあるんですよね。でも日本では、アロマやハーブは取り入れられても、フルーツをメインにしたスパや化粧品ってあまりなかったと思うんです。
野嶋 確かに新しい切り口ですよね。店の名前も「フルーツルーツ」とわかりやすい。この可愛らしいネーミングがエステのハードルを下げているのではないでしょうか。
榎戸 日本では、明確なオーガニックの基準というのはないのです。ですから、自社基準も作り、透明性を出しました。例えば、自然化粧品は合成原料を含まない。もう一段階上のボタニカル化粧品はそれだけではなく動物鉱物由来の原料を含まない。そして最高レベルのリアルオーガニック化粧品は無農薬証明、栽培履歴がない植物原料を含まないという厳しい条件を自ら課しています。
野嶋 境界が曖昧だったオーガニック表示に一石を投じる行為ですね。でも例えば自然由来で香りを出すというのは、難しいのではないでしょうか?
榎戸 そのとおりです。例えばうちの商品の中でも人気のマスカットの香りですが、これはアロマテラピーのテキストにも出てこない香りなんです。うちの商品が初だと思います。独特の優しい香りですね。こちらを実現するために試行錯誤しました。
野嶋 エステで求められる効果という観点では、オーガニック商品はいかがなのでしょうか?
榎戸 オーガニックにこだわりながら、結果も出る商品にするというのは、確かにチャレンジでした。やはりエステは結果が出ないといけない場所です。そうでなければエステというよりリラクゼーションサロンになってしまいます。実際には顧客のリピート率も高い、満足のいくものができたと思います。
野嶋 百貨店でも取り扱いされていますよね。
榎戸 突然バイヤーの方がこの店にいらっしゃったんです。国産のオーガニック化粧品を探していて、ホームページでたどり着いたとおっしゃっていました。オーガニック商品は多いのですが、全て国産というところも評価してくださったようです。
野嶋 榎戸さんが目標とされていた店販率の向上ですが、だいたいどれくらいの比率ですか?
榎戸 お店単位でいうと、だいたい35パーセントから40パーセントの間です。メーカーとして卸もやっているので、全体としては8割以上が物販での売り上げになります。