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結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。

vol.54小学6年まで時短OK、「復帰アカデミー」完備。
他業種も注目する先進的な「働きやすさ」とは?

UNIX蕨店

埼玉県蕨市

東京・埼玉・神奈川・千葉に30店舗を展開する「UNIX」。その原点である「UNIX蕨店」は、約半世紀にわたって地域で愛されてきた老舗サロンです。スタッフ8名中3名がママで、4名の女性スタイリストは全員キャリア10年以上。創業以来育まれた女性支援の社風のもと、進めてきた環境整備により、今では全社で毎年約10名のママが産休・育休を経て復帰するようになりました。自らも3人の子どものママである蕨店・店長の田中さんに会社、そして店舗の取り組みについて聞きました。

1取り組み

小学校卒業まで正社員のまま時短勤務を適用。
休日もママの希望を優先し、働きやすさに配慮。

どんな取り組み?

産休・育休からの復帰後は、パート勤務と正社員での時短勤務のいずれかを選ぶことができる。時短勤務の適用期間は法定の「3歳未満」か「小学校就学前まで」とする企業が多い中、UNIXでは昨年から「子どもが小学校を卒業するまで」適用範囲を広げた。さらに蕨店では休日のシフトを組む際に、できる限りママスタッフの希望を優先している。

取り組みの背景とメリットは?

保育園を卒園しても、小学生はまだ保護が必要な年齢。子どもが成長して時短勤務がなくなると、放課後の預け先に困ることも多い。今回の改善は「子どもが小学生になっても安心して働き続けたい」という現場の声を取り入れて実現。それにより、学童保育などのお迎えにも余裕を持てるようになった。現在、時短勤務を利用する正社員は全社で8名おり、年々増えているという。
また、ママスタッフは土日の両方が出勤になると、本人だけでなく育児を分担する家族の負担が大きい。そのため蕨店では、ママが毎週末少なくとも1日は休めるようにシフトを組む。「本当は週末は人手が欲しいのですが、育児中のスタッフがご家族に賛成されて仕事を続けられることも大事です」と田中さん。出勤メンバーでの効率アップを徹底しているという。もちろん、ほかのスタッフの希望にも負担感がないようきめ細かく対応。それにより、困った時はお互いに自然にサポートし合う雰囲気づくりができている。

「日常からの密なコミュニケーションが、自然に助け合う土壌を育てていると思います」と田中さん

「日常からの密なコミュニケーションが、自然に助け合う土壌を育てていると思います」と田中さん

2取り組み

ブランクを埋める研修施設「復帰アカデミー」で
復帰したママが勤務時間内にスキルアップできる。

どんな制度?

「復帰アカデミー」とは産休や育休、子育てによる休職などで、ブランクがある経験者の現場復帰をサポートする研修制度。職歴や休職期間、スキルに応じたカリキュラムが用意されている。各人のレベルに合った研修を行い、復帰への不安を解消するとともに、技術の習得やレベルの向上を目指すことが目的だ。美容師、セラピスト、ネイリストの3職種のコースがあり、勤務時間内に研修を受けることができる。

背景とメリットは?

「スタイリストなどの技術職はある程度キャリアがあっても、一度現場を離れてしまうと感覚が鈍り、復帰が不安なものです」(田中さん)。このように業務内でプログラムされた研修制度があれば、女性スタッフも安心して産休・育休を取ることができる。さらに一度退職したものの、子育てが一段落し、6年ぶりにスタイリストとして戻ってきた元店長の例もあるという。何かの事情でハサミを置いても、また戻れる可能性があればスタッフの人生の選択肢が広がる。それは本人にも、優秀な人財を育てたい会社にとっても有益なことだ。
「休業中の人や、退職した人にも折に触れて連絡を取り、繋がりを持ち続けるようにしています」と田中さん。積極的な声かけによって、元いた会社に戻りやすい環境を作っておくことも、店長としての役目だ。

「近況などを聞きながら、復職に関する相談なども受けていきたいと思っています」(田中さん)

「近況などを聞きながら、復職に関する相談なども受けていきたいと思っています」(田中さん)

3取り組み

「社長懇親会」などで本部と現場の意思疎通を強め
問題解決やスタッフのスキルアップを後押し。

どんな取り組み?

UNIXでは、閉店後のサロンで社長・役員とスタッフが飲食しながら交流を深める「社長懇親会」を各店で年に3〜4回開催している。さらに社長・会長へのホットラインが公表されており、直接電話やメールで相談ができるなど、トップと社員との距離がとても近い。本部役員の多くは現場出身で、今も現役のスタイリストとしてサロンに出ている幹部も多い。

狙いは?

定期的な「社長懇親会」は、本部と現場のコミュニケーションを深めるのが目的だ。リラックスした雰囲気の中で、スタッフの本音が引き出せるとともに、本部の方針も現場に伝えやすいメリットがある。ほかにも日常的に幹部が社員の生の声を聞く機会を持つことで、現場にある問題をいち早く吸い上げ、改善に繋げることができる。
「そうした機会を通じ、社長自らが“女性も管理職に挑戦してほしい”と発言し続けていることは大きな影響がありますね」と田中さん。家庭があり時間の制約があっても、上のポストを目指す意欲さえあれば会社がバックアップするという方針だ。それが、主任クラスの5割、管理職の3割に女性を登用することにも繋がっているという。

くつろいだ雰囲気で開催される「社長懇親会」だが、間延びしないよう1時間ジャストでお開きにするのが原則

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店長インタビュー

20歳でUNIXに入社、働きながら2男1女を出産し、現在は蕨店の店長を務める田中さん。同社のママ美容師第1号として、女性支援のための改革とともに歩んできた

Q. ママスタッフの支援体制が大きく進化したきっかけは?

A. 創業から土壌があり、現社長が本格的に整備に着手しました。

もともと創業者が美容師の地位向上を目指していたので、産休・育休の導入や会社ぐるみでママを支援する風土はありましたが、多くはまだ制度化されていませんでした。私自身も、長男(12歳)のときも次男(9歳)のときも、育児中の勤務体系をその都度話し合うような状況で、試行錯誤の連続だったんです。ただ、その間にも出産退職が続いたために急ぐ必要があり、6年前に現社長が就任してから整備が大きく進みました。特に時短勤務の延長や、復帰研修などの福利厚生は注目度が高く、異なる業界の知人からも「気になる存在」「働いてみたい」と言われるまでになりました。

Q. 今後、取り組んでいくべき課題は何だと考えますか?

A. 個別のケースに合わせてママをフォローする仕組みづくりです。

福利厚生以外では、店舗により対応が違うという課題も残っています。たとえばシフト編成は店長の裁量ですが、サロンによってはママスタッフの意向を受け入れにくい環境もあります。そういう話を聞いた時は、個人的に電話をかけて意見を聞いたり、必要に応じてママと店長の間に入り、橋渡しをしたりしています。私は埼玉エリアを中心に活動していますが、横浜エリアでも多くのママが頑張っていて、同じように世話役的なことをしているスタッフがいます。今は私自身に時間の制約があるため、組織立てて動くことができませんが、将来的に、そうしたケースを拾い上げてフォローする仕組みが作れればと思っています。

Salon Data

UNIX蕨店【ユニックス蕨店】

アクセス
JR京浜東北線・蕨駅東口から徒歩3分
創業年
1959年
店舗数
30店舗
設備
8席 ※蕨店
スタッフ数
8名(スタイリスト5名、アシスタント2名、レセプション1名)※蕨店
URL
http://www.unix.co.jp
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