【ヘア】新卒の離職は「3年未満の抑止」がカギ!

美容専門学生が就職活動で動くこの季節。学校説明会なども開催されています。今回は2023年4月25日に発表した「美容サロン就業実態調査」から、美容室の新卒の就業実態について解説します。(ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子)

卒業後は「美容室・理容室」が約8割

※単一回答、美容室従事者(男女15歳以上)
出典:ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査」(2023年4月)

美容室で現在働いている人に、初職(学校を卒業(または中退)してから初めてついた所得を伴う仕事)を聞いたところ、76.7%が美容室、7.0%が理容室と8割超が、美容室・理容室を初職に選んでいます。

美容師は国家資格取得が必要なため、他業種からの転職が少ない業種といえそうです。では初職(=初めて働いたサロン)ではどのくらいの期間、働いているのでしょうか?

初職の就業期間、3年未満が4割弱

※単一回答、美容室従事者(男女15歳以上)
出典:ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査」(2023年4月)

初職の勤務先(=新卒で入社した美容室)で働いた期間は、1年未満が9.2%、1年以上~3年未満が29.0%と3年未満が約4割に。

これは全国の平均値なので、多くの競合店が密集する都心部ではより転職しやすい環境にあるため、スコアは上がると思われます。

入社3年未満の新人の定着が、美容室にとって大きな課題であることが分かります。

離職者は、就業期間がさらに短縮傾向

※単一回答、美容室従事者、(現在は従事していない)過去美容室従事者(男女15歳以上)
出典:ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査」(2023年4月)

さらに、現在は美容室で従事していない「離職者」の初職就業期間を調べてみると、1年未満は13.6%、1年以上3年未満が31.1%と、現在美容室で働いている人よりも離職者の方が初職の就業期間が短い結果に。

離職者は、初職から美容室に転職するのは約半数。残りは、「美容サロン以外の勤務先」(39.7%)、もしくは「退職後、どこにも就職していない」(12.3%)と初職を辞めた後は、美容業界から離れてしまう傾向にあります。(「詳細データ」P19より)

初職での就業期間が延びる(=新卒で入社したサロンに定着する)ことは、業界の人材流出を食い止めることにもつながります。