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2023/03/07

【3/8は国際女性デー】女性の働き手が多い美容業界、「オーナー」の比率は?

3/8は国際女性デー。ジェンダーレスが広がる中で、女性が組織や企業の幹部を務める割合も徐々に拡大しています。美容業界は女性の働き手が多い業界です。業界の男女比を数字で振り返ってみましょう。
(解説:ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子)

美容室の女性スタッフ比率は6割超え。一方、オーナーの女性比率は…?

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「就業実態調査」(2022年2月)、美容室で働く(オーナーを含む)男女

最初に美容室の従事者の男女比率を見てみましょう。左がオーナーを含む従事者のすべて、右がオーナーに絞った数字です。

美容室は従事者全体では、女性比率は6割超え。女性比率が高い職業ですが、オーナーに絞ると女性比率は3割です。

美容業界では、結婚・妊娠・出産を機に退職する女性スタッフが多く、このため数年前から女性の産休・育休制度を整えたり、ママ美容師が働きやすいように環境を整備する美容室も増えてきました。しかし、オーナー(独立)は、男性のほうが多く、男女比が逆転しています。

エステ&ネイルのオーナー女性比率は、それぞれ8割超え

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「就業実態調査」(2022年2月)、各サロンで働く(オーナーを含む)男女

それでは美容室以外のジャンルも見ていきましょう。

美容室と近しいのは「リラク」。女性比率は53.1%と男性と約半数ずつになっています。顧客にも男性が多いため、男性も働きやすい職場ともいえます。一方で、オーナーの女性比率は35.3%と、美容室と同じく、従事者全体の女性比率と比べると低めです。

次に「エステ」「ネイル」「アイ」サロンを見ていきましょう。女性比率はエステ、ネイルでは8割以上、アイは7割以上と、美容室やリラクに比べると高めです。施術を受けるお客さまに女性が多いこと、肌を見せたり直接肌に触れる施術も多いため、同性のスタッフから施術を受けることを好む傾向にあるのかもしれません。そのためか、「エステ」「ネイル」「アイ」はオーナーの女性比率が高く、従事者全体の女性比率とほぼ同じスコアになっています。

「美容室」女性比率が2021年に大きくダウン

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「就業実態調査」(2022年2月)、美容室で働く(オーナーを含む)男女

今度は時系列で業界ごとの女性比率と、オーナーの女性比率をみてみましょう。美容室では、【ALL】女性比率も【オーナー】女性比率も2021年に大幅に下がっています。

調査は毎年2月に実施されているため、コロナ禍の影響が最も大きく出た年ではないでしょうか。コロナ禍で離職したスタッフも影響していると考えられます。

またオーナーの女性比率が下がっているのは、コロナ禍での開業に男性以上に慎重になったのかもしれません。また、オーナーにならずに(独立せずに)、フリーランスや業務委託で働くという選択をする女性が増えていることも考えられます。

ネイルの女性オーナー比率がコロナ禍で過去最高に!

エステ、リラク、ネイル、アイも時系列でみていきましょう。

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「就業実態調査」(2022年2月)、各サロンで働く(オーナーを含む)男女

エステは、オーナーの女性比率のアップダウンの動きが年によってあります。ただ美容室と同じく、2021年に女性従事者の比率やオーナーの女性比率が下がっています。コロナ禍で離職する人が多かったり、独立する人が男性以上に減った影響かもしれません。

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「就業実態調査」(2022年2月)、各サロンで働く(オーナーを含む)男女

リラクは2018年以降、全体での女性比率もオーナーの女性比率も減少傾向にあります。男性従事者の比率が高まっており、女性が多かった職場に男性が参画する機会が増えてきたともいえますね。

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「就業実態調査」(2022年2月)、各サロンで働く(オーナーを含む)男女

ネイルは異業種から転職してスタッフとなる方も多い職種です。ネイルはこれまでのジャンルとは逆に2021年のコロナ禍にもっともオーナーの女性比率が高くなっているのです。ネイルは一人サロンも多いため、コロナ禍を機に独立をして自宅マンションで始める…といったケースが増えたのかもしれません。

出典:ホットペッパービューティーアカデミー「就業実態調査」(2022年2月)、各サロンで働く(オーナーを含む)男女

アイビューティーサロンも従業員の女性比率とオーナーの女性比率とがほぼ等しい業界です。ネイルやエステと比べてオーナーの女性比率が少し低めなのは、美容室がアイを展開する事例も多いので、オーナーは美容室経営者というケースもあるのかもしれません。

女性活躍は、「ES」&「CS」&「採用力UP」につながる!

女性活躍はSDGsでも重要なテーマ。イキイキと働くスタッフを増やすことは、ES(スタッフ満足)につながります。同時に来店するお客さまも気持ちよくサロンで過ごすことができ(CS)、さらに採用の良い口コミにもつながっていくのです。年に一度、世界中で定められた「国際女性デー」に皆様のサロンにおける女性のスタッフの働き方について振り返ってみるのもよいかもしれません。

EDITORIAL NOTE

ホットペッパービューティーアカデミーでは、「女性活躍」を支援する情報提供を連載記事・調査・動画セミナー等で実施しています。

キャリアの在り方は、多様化しています。

「男性だから」「女性だから」ではなく、やりたいことをやりたい人が取り組める・成果を出せる環境を業界全体で作っていくことが重要です。

※ホットペッパービューティーアカデミー「女性活躍」特集ページは、こちら


データ出典

「就業実態調査2022」
・調査主体:株式会社リクルート
・調査実施機関:株式会社インテージ
・調査実施期間:(スクリーニング調査)2022年1月11日~2月16日 (本調査)2022年2月18日~2月24日
・対象者条件:15歳以上の男女 かつ現在職業が美容師1,337人を対象に調査
・回答者年齢構成:15~19歳 0.5%/20~29歳 11.7%/30~39歳 27.6%/40~49歳 31.9%/50~59歳 19.1%/60歳以上 9.2%
※「就業実態調査」は2017年から経年で実施しています。


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文責

  • 田中公子

    田中公子(たなかきみこ)

    ホットペッパービューティーアカデミー研究員

    前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。

    調査研究員として、「美容センサス」をはじめとした美容サロン利用調査や、美容消費の兆しを発信。セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。

    ◎寄稿・連載
    (2022年5月~2022年10月)「ビューティ・インサイト」(WWD)、以下連載中「数字で読む美容トレンド」(BEAUTOPIA)、「美容サロンの経営塾」(国際商業)、「美容トレンド最前線!」(ファッション販売)

    ◎共著
    『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)、『データで見るエステティックの今とこれから』(フレグランスジャーナル社)

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