動画で学ぶ!店長が持つべき5つの意識とは 店長の意識改革動画で学ぶ!店長が持つべき5つの意識とは 店長の意識改革
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サロンで始める
訪問美容~データ&実例編~

超高齢化社会を迎え、サロンの潜在市場として注目される “訪問美容”。
データや実践事例を交えて訪問美容の可能性について考えていきます。

vol.14

実例編サロンクオリティを施設や居宅で提供。
5年で110施設と契約し、成長し続ける秘訣とは?

訪問美容専門の移動美容室「trip salon un.」(以下「un.」)を経営する湯浅さん。共同経営者である櫻庭太さんとともに、2012年の起業からわずか5年で、110施設と契約を結ぶ急成長を遂げています。青山や表参道のヘアサロンで経験を積んだ、平均年齢32歳という若いスタッフでの活躍は、テレビや新聞など、さまざまなメディアでも注目されています。訪問美容では異例ともいえるサロン並の料金体系で契約数を伸ばし続けている秘訣について、お話をうかがいました。

trip salon un.(東京都港区)

  • 全スタッフ15名
代表取締役CEO:
湯浅一也さん
訪問美容開始:
2012年
訪問施設数:
110施設(1回の訪問で1〜80名)
施設訪問頻度:
半月〜3カ月に1回
訪問個人顧客数:
約120名(1カ月で約20名訪問)
個人顧客訪問頻度:
2週間〜2カ月に1回
訪問スタッフ:
15名(正社員5名、登録パートナー10名)
価格(カット):
【施設】※人数、内容により相談【在宅】6,000円、パーマ1万4,000円〜、カラー1万4,000円〜

Q

訪問美容を始めようと考えたきっかけはどんなことでしたか?

A

高齢者の方々にかわいがられて育ったため、自然と移動美容室に関心をもちました。

高齢者の方への想いがあったんだね

スタイリストとして力をつけたら、将来、訪問美容をやりたいと思っていました。

専門学校時代から、「将来は、移動式美容室をやりたい」と言っていました。子どもの頃から近所のおじいちゃん、おばあちゃんからかわいがっていただいて、高齢者の方が身近な存在だったからかもしれません。北海道出身で、中学生の頃に美容師を目指したときから「雪深い冬に、高齢者の方はどうやって美容室に行っているのだろう」と漠然と考えていたのです。移動美容室があれば、そうした方々の役に立てるのではないかと。けれどそれは将来の夢で、卒業後は原宿の若者向けの有名店に就職して、しっかりと技術とサービスを身につけることにしました。
サロン勤務時代にお客さまから「施設に入った祖父母が、似合わない髪型にされてしまうので、祖父母の施術もやってもらえないか?」と言われたことがありました。「ご本人の要望が聞き入れられない施設のカットって、どういうことなんだろう?」と不思議でした。ネットで調べてみたら、当時の介護施設のヘアカットはボランティアが多かったのです。「自分だったら、介護施設でもサロンと同じクオリティでできる!」とそのとき思いました。

共同経営者の櫻庭と出会って2カ月で起業を決意しました。

福祉美容に関心をもちつつ、ジュニアスタイリストのトップになってがんばっていた頃、サロンが突然閉店することになったのです。職場を失った状態でしたが、「新しいことができるチャンス」ととらえました。業務委託のスタイリストを集めて新設したサロンのオープニングメンバーとして参加し、そこで現在の共同経営者の櫻庭太と出会いました。自分は訪問美容への気持ちが高まっていて、櫻庭は長時間労働の美容師の働き方に疑問をもっていた。お互いの問題意識がちょうどかみ合ったのです。「訪問美容なら、正社員でも長時間労働ではない働き方ができる」と。出会って2カ月後に、ふたりで起業することを決意しました。自分も櫻庭も25歳のときです。でもまだ訪問美容だけでは食べていけないので、最初は業務委託のサロンとのダブルワークでスタートしました。

  • 「un.」の経営スタッフ。左が共同経営者である櫻庭さん。右がCOOの星野祐太さん。もちろん3名とも、現場でも活躍中

Q

起業してから訪問美容専業になるまでの道のりは?

A

飛び込み営業から始め、黒字が出る前に訪問美容1本に絞りました。

有言実行!

ビジネスの基礎から勉強。「サロンクオリティを施設に」のコンセプトはぶれさせない。

起業はしたものの、最初は営業の仕方もわかりませんでした。社会人1年生に戻ったつもりで、営業や経営に関する書籍を読んだり、セミナーに参加してビジネスについて学びました。美容福祉師の資格も取り、チラシを作って施設に飛び込み営業に行きました。チラシを作成しながら、だんだんと自分たちのアピールポイントが明確になっていった感じです。
コンセプトは最初から「美容室をそのまま施設にもっていく」と決めていました。ボランティアだとどうしても経費をかけられないため、使う道具が安価で低品質になります。我々は「サロンと同じクオリティの技術とサービスを提供する」と決めていたので、シャンプーやカラー剤はもちろん、施術する空間もサロンのような雰囲気を出したい。そのために、おしゃれな小物をもっていったり、アロマをたくなどこだわりをもっています。料金もサロンと同等でいただけるよう交渉し、そうしたこだわりをチラシにも盛り込み、会社のホームページやSNSを充実させて、情報を発信してきました。

  • サロン風の雰囲気づくりのために、毎回このような小物類を施設にもちこんでいる

  • 明るい窓辺で、利用者さまがくつろぎながら施術を受けられている

退路を断って、「訪問美容の専門家」を目指す。

そうは言っても、当初の1年くらいは首都圏一円で東京・神奈川・千葉・埼玉の施設を日々飛び込みで営業しつづけました。最初の契約はサロン時代のお客さまからご紹介いただいた精神科病院でした。起業してから2カ月目のことです。その後も業務委託サロンとのダブルワークを2年くらいつづけましたが、「訪問美容専業でやらなければ何も変わらない」とある日思ったのです。その頃はまだ契約施設は3〜4件で、訪問美容のスケジュールはスカスカ。それでも「高齢者の方の専門家として、しっかり向き合っていきたい」という想いが強くなっていたのです。自分を追い込む気持ちで、サロンのお客さまは勤務時代の後輩たちに引き継いで、専業として再スタートしました。訪問がない日は飛び込み営業を続けて、契約が取れてスケジュールが埋まっていくのが楽しかったですね。

メディア出演によって契約数が劇的に増えていった。

契約数がグンと伸び始めたきっかけは、メディアで取り上げられたことです。最初はNPOのWEBマガジンに取り上げていただき、その後はテレビやラジオ、新聞、雑誌などさまざまなメディアに取材していただくようになりました。テーマも福祉だけでなく、ビジネスや働く人としてなど、多様な内容です。こちらから働きかけたわけではなく、メディアの方が人づてや我々のホームページで見つけてくれたようです。それで、うちのコンセプトをおもしろがってくれて。自分たちもホームページでの情報発信は意識しています。おしゃれなサロンのようなサイトデザインにしたり、ネイルや写真撮影など新しいサービスを始めるたびに発信して、またメディアで取り上げていただけるよう心がけています。出演したラジオを聞いた方が直接コンタクトを取ってきてくださるなどして、契約数がどんどん増えていきました。
現在は110施設と契約し、個人のお客さまは約120名で、15名のスタッフで対応しています。5名の正社員以外は、フリーでスタイリストをしている人、子育てと両立しているママスタイリスト、サロンとダブルワーク中などの登録スタッフたちです。訪問地域が1都4県にわたるため、6つのルートを設定し、毎日ルートごとのシフトを組んでいます。在宅の個人のお客さまは指名も可能。1度訪問するとほぼ2回目からは初回の担当者がご指名をいただけています。

  • 「訪問1本でやる」と宣言することで自分を追い込み、有言実行してきた湯浅さん

Q

サロンと同等の価格でお客さまからの反応はどうでしたか?

A

サービスの内容をきちんと話せばご理解いただけます。

価格は決して安くないけど…

サロンクオリティ=サロン価格は当たり前。

訪問美容というと、「カットのみ」とか「低価格」が当たり前と思われがちです。けれど本当にそれが利用者や施設の職員の方々、ご家族のご希望なのか疑問でした。私たちは施設の方々と一緒に課題を解決したいと考えているので「今何に困っていらっしゃいますか?」と、率直にうかがうようにしています。すると例えば、「利用者さまたちは日々同じような生活をしているので、美容のときは特別感があると喜ばれそう」とか、「カットだけでなくシャンプーも希望されている」、「移動式のシャンプー台がないと前屈みのシャンプーで、利用者さまが大変そう」といった課題を知ることができます。自分たちはその課題をサービスにつなげていけばよいのです。
特別なことをしている意識はなくて、サロンで「目の前のお客さまに、どうしたら喜んでいただけるか?」を考えるのと同じです。自分たちにとってそれが高齢者の方や、施設の方であるというだけのことです。そして、その方々は、「サロンと同じものを求めれば、サロンと同等の料金がかかる」ことにご納得くださいます。

  • 移動式シャンプー台も課題解決のひとつ。利用者さまもサロンと同じ楽な姿勢でシャンプーができる

関係者の方々とのコミュニケーションが大切。

私は現状維持が嫌いなので、サービスも技術もよりよくしていきたいと思っています。そのために、わからないことがあると、教えていただけそうな方にすぐ直接会いに行きます。お目にかかれると質問攻めに。すぐ聞ける状況をつくるためにも、施設でのイベントに参加するなど、日頃からご家族や施設の職員の方、介護士さんなどとのコミュニケーションが大事ですね。こちらからもヘアショーなどのイベントに職員の方々をお招きしたりします。美容業界以外の方がヘアショーを見る機会は少ないので、喜んでいただけますし、「訪問美容師ってかっこいい」と思っていただけます(笑)。

Q

今後、訪問美容をどのように展開していきたいですか?

A

今以上のサービスを、全国で展開していきたいです。

必要とされる場所に進出!

質の高いサービスを提供しつづけ、高齢者美容の選択肢を増やしたいです。

今までやってきたことが間違いじゃなかったと感じられるのは、やはりお客さまから反応をいただくときです。外出が困難になった方に、サロンと同じような空間でサービスを提供し、「こんな経験がまたできると思わなかった。ありがとう」と泣いて喜んでいただけたときは、本当にやってよかったと思いました。想いの基本にあるのは「自分の親だったら、どういうサービスを受けさせてあげたいか」ということです。自分の親がもし施設に入って、流れ作業のような人と同じカットをされたら淋しい気持ちになると思うのです。もっと言えば、自分が高齢になったときに、どんなサービスを受けて、どんな生活をしたいかですね。
介護度の高い利用者さまにとっては、施設での生活が最後の生活になるかもしれません。その方たちに、どれだけ質の高い生活をご提供できるかです。ただ、美容に費用をかけられない方もいらっしゃるので、「選択肢を増やす」という意味で、質を追求する我々のような訪問美容が増えていってもいいのではないかと思っています。

  • 「人生の先輩であるお客さまに、どうしたら喜んでいただけるかしか考えていません」と湯浅さん。高齢者、障がい者、一般の方と、相手がどんな方でも特別視せず、「一人ひとりのお客さま」としてとらえている

施設の中に「un.」の美容室をつくる!

サロンクオリティを施設に取り入れるために、現在進行しているのは、「施設内に『un.』の美容室をつくること」です。今までは、我々が持ち込んだ小物などで、サロンのような空間づくりをしてきました。それを、新規で建設中の施設や、もともと美容所がある施設などで、「我々が内装やインテリアからやります」と。ホテルのトリートメントルームのように、一歩足を踏み入れたらハッとするような空間をつくりたいと思っています。これも施設の方から「そういう場所が施設内にあるといいね」という話があって思いついたことです。スタッフの向和樹は、そのために自主的に「インテリアコーディネーターの資格を取る!」と言って勉強中です。

  • スタッフの向さん。テレビで見た湯浅さんと櫻庭さんに惚れ込み、福祉美容師、ヘルパー2級の資格を取ってから「un.」の門をたたいたそう

千葉・名古屋・大阪進出のための説明会を開催。

今後、千葉・名古屋・大阪に進出する計画も進行中です。全国に系列施設を持つ契約者さまから、以前からお声掛けいただいていたのですが、今までは追いついていませんでした。そのため、訪問美容を志して私たちの想いに賛同してくれる美容師を募って、支店をつくりたいと考えています。
それで今秋、勉強会と説明会を開催します(「un.のいろいろ説明会」http://c-b-un.com/un-iroiro)。1部で訪問美容についての勉強会、2部で「un.」の会社説明会を行いますので、興味のある方は是非お越しください!

湯浅さんからひとこと

訪問美容に興味があっても、最初の一歩をどう踏み出していいか迷っている人もいるかもしれません。「やりたいと思ったらとりあえずやろう」というのが私の信条です。やりたいことをやらずに後悔したくないですよね。訪問美容は確かに大変なこともあり、高齢者の方のことや福祉についての勉強や準備は必要で、始めてからも日々勉強です。でもそれはどんな仕事でも同じ。やりたいことをやって、結果がでたときは本当に幸せな気持ちを得られます。こういう若い仲間が増えてくれるとうれしいですし、そのために私が力になれることがあれば、一緒にやっていきたいです。

次号では、化粧療法で高齢者を元気にする取り組みをされている、化粧品メーカーの方にご登場いただく予定です。

Salon Data

trip salon un.【トリップサロン アン】

創業年
2012年
スタッフ数
15名
URL
http://c-b-un.com/
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