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訪問美容~データ&実例編~

超高齢化社会を迎え、サロンの潜在市場として注目される “訪問美容”。
データや実践事例を交えて訪問美容の可能性について考えていきます。

vol.31

実例編美容の力が、障がいをもつ方の就職の後押しに!

千葉県の松戸で丁寧なカウンセリングが好評のサロン「anphi(アンフィー)」を経営する和田将一さん。ご自身のお祖母さまへの想いがきっかけで訪問美容を志しました。営業で苦戦しながらも、現在携わっている障がいをもつの方向けの就労支援施設で確かなやりがいを実感。和田さんの訪問美容への想いと道のりについてお話をうかがいました。

anphi

  • 全スタッフ5名
  • 1店舗
オーナー:
和田将一さん
訪問美容開始:
2019年
訪問施設数:
1施設(1回の訪問で約10名)
施設訪問頻度:
1カ月に1回
訪問スタッフ:
兼任2名
価格:
カット3,300円〜、パーマ7,500円〜、カラー7,500円〜

Q

訪問美容を始めようと考えたきっかけは?

A

祖母への想いと、経営者としての展望からです。

祖母に施術できずに終わってしまった後悔がありました。

独立してサロンを立ち上げた直後に、施設に入っていた私の祖母が亡くなりました。その施設にも訪問美容の業者は入っていましたが、自分も美容のプロなので孫としてもやってあげたいと思っていました。でもその頃はサロン経営の忙しさと、まだ訪問美容のスキルに自信がなかったことから祖母に施術をしてあげられなかったのです。
その後悔から、祖母が亡くなった後に、インターネットで訪問美容をやっている人のブログなどを見て調べました。でも、施設に営業に行かなければならないことなどにハードルを感じて、自分からは踏み出せずにいました。また、サロンのお客さまにも介護施設関係者の方が大勢います。その方々に相談してみると、「もう訪問美容の業者が入ってるしね」と。価格をうかがっても、カットで1,500円くらいと私が思っていた価格よりもかなり安く、そうした施設ではビジネスとしては難しいと思っていました。

「訪問美容ゼミ」の1期生となって道がひらけた。

そんな想いを抱えていた頃にホットペッパービューティーアカデミーの「訪問美容ゼミ」一期生の募集を知りました。「これは自分に訪問美容をやれということだ」と感じて応募しました。祖母への個人的な想いのほかに、スタッフの将来的な生涯雇用にも役立ちます。訪問美容は経営者としての視野も広げられると思いました。そうした思いを面接で伝えることで、ゼミの1期生として訪問美容を具体化する道がひらけました。

  • 「経営者の立場から、固定費が少ない新規事業としても、訪問美容に魅力を感じていました」と和田さん

Q

訪問美容を具体的にどのように始めましたか?

A

営業にびびりながらも、困っている人に役立てる施設と契約できました

「訪問美容ゼミ」の講師の方々の熱い想いが自分たちを動かしました。

「訪問美容ゼミ」に参加してよかったのは、技術やノウハウを学べただけでなく、同じ志をもった同期の仲間と出会えたことです。サロンのオーナーが多く、具体的なイメージをもって訪問美容に取り組んでいる姿勢など、学ぶことが多かったですね。私の営業がうまく進んでないときにみんなに心配してもらったりしていました。一般的な講習会などではお互いに心配し合うような関係性にはなかなかならないですよね。
そうした関係性になれたのは、講師の方々の訪問美容に対する熱い想いが伝わったからだと思います。特に「ふくりび」の赤木勝幸さんの叱咤激励は、ゼミ生全員が感化されたと思います。最初はみんなかっこつけてしまい、本音を話せていませんでした。でも、赤木さんから「素直になれ!なぜ訪問美容を始めたいと考えたのか、自分の想いを人に伝えてみよう!」と言われて、みんなが変わっていきました。

  • 2018年9月〜2019年3月に開催された第一期「訪問美容ゼミ」。熱い仲間が集い、全員が半年間で施設からの契約成立に至った

高齢者施設は飽和状態。そのときに障がい者施設から声がかかった。

それでもやったことのない営業にはかなりびびっていました。特に私のサロンがある地域は、高齢者施設にすでにかなり訪問理美容業者が入っているため、価格競争になっていたのです。「利用者さまをキレイにしたい、美容で心のケアもしたい」という想いを伝えても、「それで値段は?」となってしまう。
シェアの取り合いをする営業に疲れていたころ、障がいをもつ方向けの就労支援施設に勤める友人から「来てほしい」と言われました。障がいをもつ方々が就職するための技術や、社会人としてのコミュニケーションなどを訓練する施設です。利用者の方々は人と話すことが苦手だったり、光に弱くパニックを起こしてしまうこともあり、サロンに行くことが困難です。でも、社会人としての身だしなみとして髪を整えることは必要なため、訪問美容に来てくれる美容師を探していたそうです。
「困っている人を助けたい」という私の想いとも一致していたので、施設長さんから厚生労働省に訪問美容業者を受け入れて良いか確認をとってもらいました。その結果、「美容室に行けない人が訪問美容の対象なので大丈夫」という回答をもらい、月に1回通わせていただくことになりました。

Q

訪問美容をやってよかったことは?

A

「美容の力はすごい」と感じることができました。

だんだんと心をひらいて、訪問を待っていてくれるようになりました。

施設に通い始めて、もともとコミュニケーションが苦手だった方々が、私の施術を楽しみに待っていてくれることがうれしかったです。対人関係が苦手でも手先が器用だったり高い技術をもっている人が多数入所されています。それで、絵が上手な人が私の似顔絵を描いてくれたり、私に娘がいると聞くと、娘のために編み物をプレゼントしてくれたり。だんだん心をひらいてくれて、その気持ちを示してくださることがありがたいですね。

  • 利用者の方から贈られた手作りのプレゼントの一部。和田さんにそっくりな似顔絵の技術に驚かされる

卒業生が成長を遂げてサロンのお客さまに!

最もうれしいのは、利用者の方々が就労支援施設を卒業して、就職されていくことです。そうした方々が、卒業後に私のサロンに来てくださるようになりました。施設で出会ったときには、サロンに行くことができなかった人たちが、おひとりで来てくださるまでに成長しているのです。施術を受けてキレイになることで、「社会と関わろう」という意識が芽生えていくのです。施設からも、もともとそうした効果も期待されていました。実際に卒業生を目の当たりにすることで「美容の力ってすごい!」と実感することができます。
施設にとっても訪問美容を導入することで、就労支援の一環として「身だしなみの整え方」も指導できる施設として差別化できるため、お互いに win-winの関係性が築けています。

  • 就労支援施設の特徴は、利用者の方々が成長していくこと。その成長に関われることが和田さんのやりがいとなっている

Q

今後は訪問美容をどう展開していきたいですか?

A

「困っている人」のもとへ行けるよう、広げていきたいです。

「訪問美容実施サロン」の求人でベテランのスタッフを採用。

スタッフの生涯雇用としての訪問美容は将来的な展望として、今までは私ひとりで実施してきました。でも、先日サロンの求人の際に「訪問美容もやっている」ことを記載したところ、それを目当てに応募がありました。訪問美容の派遣会社に登録して、以前いたサロンの休みの日に訪問美容をやっていたベテランのスタイリストを採用することができました。私よりもずっと経験があるので、この7月からは彼とふたり体制で施設に行けるようになりました。

  • この7月に入社された山岸陽介さん。ベテランの訪問美容スタッフを採用することができた

高齢者の方以外にも美容師を待っている人はたくさんいる。

私のポリシーは「困っている人を助けたい」ことなので、すでに訪問美容業者が入っていて困っていない高齢者施設に営業をかけることは考えていません。美容室に行けなくて困っているのは、高齢者の方だけではありません。訪問美容の裾野はまだまだ広がっています。
そして美容は人をしあわせにします。サロンに来られない大勢の人を、これからもしあわせにしていきたいです。

和田さんからひとこと

実は私は現在、カットしかやっていません。カットだけから始めることもできるのです。ゼミに参加して最初にハードルに感じたのは、シャンプーがともなうパーマやカラーのこと。そのために、移動シャンプー台などの道具を揃えたり、それを運ぶための車を用意するなど経費がかかります。そのことで踏み出せない人もいるのではないでしょうか。実際に私はそれらの準備をしましたが、移動を考えると電車などの方が都合がよい場合もあります。正直に施設に「カットだけでもよいか?」と尋ねたらまったく問題ありませんでした。カットだけなら低料金から始められるので、施設にとっても取り入れやすいのです。
困っている人は大勢います。勇気を出して、今できる小さなことから始めてほしいです!

Salon Data

anphi 【アンフィ—】

アクセス
JR松戸駅東口から徒歩3分
創業年
2015年
店舗数
1店舗
設備
セット面6席
スタッフ数
5名 
URL
https://beauty.hotpepper.jp/slnH000325093/
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